【24日目:1997/11/02:福岡県行橋市】     

 この日のコース設定には悩まされた。距離が上手
く割れないのだ。宇佐市から出発すると、1日コー
スとしては、中津市では近すぎ、行橋市では遠すぎ
る。私の習性としては、こんなときは、苦しい方を
選択する。つまり、行橋市を当日の停止点とした。

 このコースは、全線フラットで、全線歩道ありの
超安全コースであった。だから、ただひたすらに、
黙々と歩いた。                

 中津市を過ぎ、山国川を渡った。九州一周旅行の
最終到着県に入った。だが、正確に一周するには、
当日を入れて、あと3日を要する。       

 吉冨町と豊前市を過ぎ、椎田町に入った。ここに
は、椎田道路がある。この道路は、田んぼと、山を
通り、景色もよいし、道もきれいだ。以前からこの
道を歩いて見たくて、狙っていたのだけど、調べた
結果、人の歩行は禁止されている事がわかり、がっ
かりした。                  

 仕方がないので、海岸に近い方の道路、昔流に言
えば「中津街道」を北上した。椎田町の次は、築城
町。あの「田舎生活向上委員会」のウェブサイトを
運営しているI氏のお住まいがあるところ。   

 そして、航空自衛隊の築城基地でもお馴染みであ
る。軍隊がなくても、平和な国だといいが、人間は
愚かだから、軍隊が要るのかな。難しい問題ではあ
る。その基地の傍で休憩していると、通りがかりの
自転車旅行の青年が、挨拶をしてくれながら、通過
して行った。特に、会話はなかったが、お互いに、
相い通じるものを感じた。           

 そのあとは、一気に行橋まで飛ばしかったのだが
何せ、コースは長丁場。築城までで、既に37Km
を歩いていた。かなりエネルギーを消費していた。

 その日は、それからが大変だった。夕方の日没は
早く、もうすっかり夜って感じ。あとやく8Km。
ここで大変。足の痛みが出てきたのだ。右の足も、
左の足も。痛くて歩けない。50m歩くと、休憩が
必要になってきた。両足にマメができたのだ。  

 今回の九州一周旅行で最高に歩いたのは40Km
で、4日ほどある。当日は、過去最長の45Km。
とうとう試練がやってきた。何度、靴を脱いで、裸
足で歩こうと思ったことか。時間だけが、どんどん
過ぎ去っていく。裸足になれば、怪我をする事は、
日を見るよりも明らかだった。         

 足が痛むので、痛みをかばおうとして、姿勢が不
自然になる。そのため、両脚の至るところが痛みだ
した。だけど、最後まで頑張った。終わりの8Km
を、3時間以上かけて、走破した。やったぞと思っ
た。行橋駅に到着した頃には、両足、両脚は、かち
かちに固まっていた。本当に痛かった。     

 つづく。