【23日目:1997/11/01:大分県宇佐市】     

 自宅を車で早朝5時に出発。家族の運転で、前回
の歩行停止ポイントの大分県日出町へ。8時50分に
同地に到着し、宇佐市へ向け、国道10号線を北上開
始した。                   

 この日のコースは、伊予灘へたんこぶの様に突き
出た、あの国東半島の付け根部分であり、当日の目
的地である駅館(やっかん)川までの距離は約40km
弱というところであった。           

 道中は、海抜150m程度の峠が2箇所あったけれど
、全体を通してフラットな平坦地が多く、時計の針
の止まったような、のどかな田園風景が続いた。 

 峠越えの時、突然「ババーン」と銃の発砲音の様
な音が聞こえた。山の中で、車の往来が途絶えてい
た事もあり、「ビクリ」とした。後で勝手に解釈し
たのだが、どうもあれは、鳥追いのためにスピーカ
ーから威嚇音を発する仕掛けではないかと思った。
遠くでからすが「クワァークワァー」と・・・。 

 峠から下りて暫らくすると、目の前に平野が広が
ってきた。道路もストレート・オン。当日は、長丁
場だったので、後半をスピードを上げて歩いた。 

 そうしていると、途中で土地のおじさんに声をか
けられたので、10分間位道草をした。おじさんは私
に「歩く速さが速い」と言った。それはそうである
。普段でも速いのに、更に速度を上げているのであ
る。ちなみにその頃には、若い女性が、小走りに駆
けて行く位のスピードを継続することが出来るよう
になっていた。                

 おじさんとは、短い時間だったけど、色んな話を
した。その話のなかの一つを、紹介しよう。   

 それは、飽食の世を嘆く話であった。「世の中、
金さえ出せば食べる物は簡単に手に入る。」「買っ
た食べ物も、全部食べるとは限らない。」「コンビ
ニでは、賞味期限を過ぎた弁当を直ぐに処分、つま
り捨ててしまう。」「コンビニの裏口に行けば、栄
養満点の弁当が手に入り、食べることに困ることは
ない。」等などであった。           

 そのおじさんは、コンビニの裏口に通っているか
どうかは、定かでない。聞きもしなかった。ただ、
はっきりいえる事は、今の日本のシステムって、食
べ物の問題だけではなく、何か全体がおかしくなっ
てる様な気がする。例えば、国会議員の犯罪率って
一般国民のそれとは全く比較にならない位の高率で
ある。                    

 そう言った国のリーダー達がこの様に出来がよく
なかったら、当然一般国民への影響も避けられない
と思う。中には、「この国民にしてこの国家あり」
って言う人もいますね。また逆も真なりかもね。な
んと嘆かわしいことか。            

 おじさんと別れて、道草分を取り戻そうと、更に
歩を速めた。                 

 そうこうしている内に、宇佐駅を過ぎ、宇佐神宮
を左に見て、ここで一言「神様、どうか今と将来の
日本を良くして下さい」。目的地の駅館川の傍のビ
ジネスホテルに到着した。「今日はよく歩いた。風
呂上りのビールが旨いだろうな」と思った。   

   つづく。