【21日目:1997/10/10:大分県大分市】     

 10月も中旬。朝方は肌寒い。それでも、歩き始め
て30分間もすれば身体が暖まって、Tシャツ1枚で
丁度よくなる。この日も、宿をたってから間もなく
綿のベストを脱ぎ、Tシャツ姿になった。    

 ほどなく国道 217号線に別れを告げ、山越えにか
かった。臼杵市から大分市への近道だ。道路は「臼
杵坂ノ市道路」。自動車・バイク専用の有料道路で
ある。当然歩行者は通行できない。       

 この道路が自動車・バイク専用という事は、後に
なってわかった。と言うのは、料金所が大分市側に
あり、臼杵市側から大分市側へ向かって歩いた私に
は詳しい情報を得ることが出来なかったからである
。道路地図や道路標識にも「この道路は自動車専用
道路である。人は歩いたらだめだ」なんて書いてな
かった。                   

 ただ、30分間ほど歩いた頃から、自転車や人が全
く通らないことに気付き、更には歩道がないこと等
から「人の通行は出来ないのでは」と思い始めたこ
とは事実だ。                 

 道路は上下2車線で、やたらとカーブが多く、当
然のことながら歩道はない。トンネルはいくつかあ
った。                    

 中でも「臼坂トンネル」は2km位もあり、ものす
ごく長かった。トンネルは真っ暗だったように記憶
している。50cm位の人の通れるスペースがあった。

 臼坂有料道路を無料で通行した訳だが、歩道はな
く、そのうえ狭い道路幅のため、歩くには非常に危
険だった。大変疲れた。            

 どうにかこの道路をクリアし、県道 205線に入っ
た。危険な環境から開放され、ほっとした。   

 腹が減ってきたので、レストランに入り昼食を摂
った。そのレストランで、昨夕のホテルの女将さん
とばったり会った。激励してくれた。      

 この日は、この後のことを全く覚えていない。 

 つづく。