【17日目:1997/08/19:宮崎県日向市】    

 夏真っ盛りと言うのに、台風の日以来涼しい日が
続いていた。過しやすくて大変助かったのだが、季
節感が狂ってしまって・・・異常気象の事がついつ
い脳裏をよぎった。              

 宮崎はこの様な気象状況だったが、ラジオの放送
によると、北九州地方は猛暑だと言う事だった。 

 ここ10年くらい、いや、もっと前からかも知れ
ないが、狭い範囲で特異な気象現象が見られたり、
特定の地域で特定の気象現象が繰り返されたりする
ようになってきた。              

 例えば、狭い地域に記録的な降水があったり、突
風や竜巻が急に発生したり、また、特定の地域にヒ
ートアイランド効果による強い上昇気流がおこった
り・・・。                  

 結果的に、今までにはなかった様な災害が、着実
に目に見える形で増加の一途を辿っている。   

 地球の生態系は、確実にしかも人為的に、破壊さ
れている。我々人類は、この現象と原因をほぼ把握
しているが、何の手を打つことも出来ない。   

 我々は自らが思い込んでいるような「高等動物」
ではないのではないか・・・と思われる。    

 話を「回想録」に戻そう。          

 私は、ラジオを聞きながら歩く。今回の旅行もず
ーと放送を聞いていた。ラジオは、ニュース、歴史
の話題、スポーツの実況や結果、いろんな人の夫々
の体験談、教育番組、それに音楽。 知識の宝庫。
ラジオは大好きです。             

 そんな感じで、川南町を通過し、都農町に入った
。都農町は、リニヤモーターカーの実験線のある所
で有名なところである。            

 当日も前日同様に、変化のない時間が流れていた
。だが、夕方近くになった頃、日向市の中心街に至
る直前に「塩見大橋」のたもとで、男性から声をか
けられた。                  

 その男性は、塩見大橋傍の第百生命の看板の架か
った店舗兼自宅の方だった。 その彼曰く「今朝、
高鍋町であなた(私のこと)を見かけました」。 
人の良さそうな顔と、その笑顔が印象的だった。 

 多分、朝方40Km弱離れた高鍋町で見かけた男
が、夕方に自宅の前に現れたので、興味を持たれた
のであろう。                 

 彼は、早速自宅の中に声をかけた。すると、直ぐ
に中から奥さんと子供がでてこられた。一家揃って
の歓迎だ。私は、余りにも唐突で予期しなかったこ
とに、戸惑いながらも嬉しさで顔が緩んだ。   

 彼は、私の徒歩旅行の話を聞いて、大変羨ましが
っていた。また、感動を身体全体で表現していた。
彼は、渓流釣が趣味とのこと。アウトドア活動と言
う共通点があったのかも知れない。       

 ほんの10分間位の出会いだった。でも、この出
会いは、生涯、嬉しい想い出として残るだろう。 

 冷たい麦茶。オアシスの湧き水の様でした。皆さ
んありがとうございました。          

 つづく。