【13日目:1997/07/21:宮崎県都城市】    

 当日は、鹿児島シリーズ3日間の最終日。夕方は
都城から高速バスで帰宅する。そのため、何が何で
もバスの発車時刻に間に合うようにと思って、早朝
から歩き始めた。               

 朝は清々しかった。気持ちが良かった。と、思う
間もなく上り坂に入った。つかの間の清々しさも、
噴出す汗で何処かに吹き飛ばされた。夏の朝はすぐ
に気温が上昇する。              

 かれこれ1時間程過ぎた。峠は未だだ。 「結構
長い坂だな」と思った。よく見ると、下り車線に短
い引込み車線の様なものが所々にあった。後から判
ったのだが、ブレーキの効かなくなった車が、止む
を得ず突っ込むための緊急避難用緩衝帯だ。   

 とにかくその坂は長かった。上りきったところに
下り車線用の標識があった。それには確か「長い下
り坂8Km」と書いてあった。それはそうだろう、
上りきるのに悠に3時間は費やしたのだから。  

 昼食は、坂の頂上付近にあったレストランで摂っ
た。3時間歩いて初めて目にした店だった。ここの
高菜ラーメンは美味しかった。体が生き返った。 

 上りきった所は峠ではなく、台地状の高原だった
。牧の原というきれいなところだ。面白いことに、
山の上に「錦江湾」というバス停があった。日差し
は強いが、空気が爽やかだった。眼の前が開けてき
た。眼下に錦江湾。対面に櫻島。絶景だった。  

 後は山中の立派な道路を、ただただ歩くだけ。 
店があったら、必ず立寄った。店がオアシス代わり
だ。水の補給は本当に大切だ。水の有り難さが良く
分かった。                  

 途中の駄菓子屋さんから、バス会社に帰りの便の
予約を入れた。それは、どうにか予定の時間までに
バス停に到着できる目処がついたからだった。  

 気持ちの良かった高原地帯に別れを告げ、下界に
降りてきた。雲がでてきて、雨が降ってきた。そう
強い雨ではなかった。             

 都城に到着した。駅前の食堂でちゃんぽんを食べ
た。年配の夫婦でやっている食堂だった。    

 高速バス乗り場まで、急ぎ足で1時間以上かかる
。もう歩けないので、駅前からタクシーでバス乗り
場まで行った。タクシーの運転手さんと色んな事を
話した。ついでに、次回宮崎シリーズで役に立つ情
報を、彼から聞き出した。有益だった。     

 バス乗り場に着いた。青年が一人でバスを待って
いた。色々話をした。彼は自衛隊員たっだ。彼らも
40Kmくらいの道のりを歩く訓練があるそうだ。彼と
は、かなり色んな面で共通点があったので、話に花
が咲いた。好青年だった。           

 バスが来た。バスに乗って間もなく、熟睡タイム
に入った。                  

 つづく。