【8日目:1997/06/25:鹿児島県阿久根市】

 当日も朝から快晴、若干雲はあるが高層の雲だ。
 前日までつけていた、両脚膝のサポータを外した
。脚力に自信が付いたのと、暑さ対策からだ。  

 JR袋駅。袋とはまた面白い駅名だ。駅舎は幅7
m高さ3mで、長方体。角が丸みをおびている。何
とまあ、遊び心のある構造物だこと。      

 道路幅は狭いが、ここまで来ると車の通行量がか
なり少なくなっており、のんびりした気分で歩く事
ができた。                  

 JR袋駅を通過して間もなく、鹿児島県に入った
。鶴の飛来地で有名な出水市。先の土石流災害でも
話題になった所だ。後日、時の建設大臣K氏が災害
の視察に訪れ、被災者に対し大声をだし、その無神
経さが報道されたことを記憶されている方もいらっ
しゃると思う。                

 鹿児島県。さすが南国。道端の植物の相が変化し
ている。また、日差しが強い。強烈だ。暑さとの戦
いだ。水分の補給を頻繁に行った。水、お茶、アイ
スクリーム、そして氷。水分を摂り過ぎた。何とな
く胃が気持ち悪い。のどは乾くし、胃はガボガボと
いった感じ。「これからは、水分の補給も、考えな
がらやらないと・・・」と思った。       

 紫外線が強い。サポータを外した個所の日焼けが
ひどい。阿久根駅に到着した時には、脚膝はやけど
状態。ヒリヒリ痛んだ。日陰にいるときは未だしも
、太陽光に当てると我慢できなかった。暑くなるの
を覚悟の上、やむなく短パンを長い綿パンにはき替
えた。                    

 「もう、今日は歩けない」と思い、宿を探そうと
した。駅舎内の広告を見て、ダイヤルを回した。 
国民宿舎「あくね」。予約が取れた。大まかな位置
関係を調べ、歩き始めた。「もう歩けない」と思っ
た後に歩くのはつらい。            

 国民宿舎は海辺の山の頂上にあった。車なら別に
何とも問題は無いのだが、脚で歩くとなると、急な
坂道はつらかった。上り坂の手前でお茶が無くなっ
た。辺りには自動販売機は見当たらない。のどが渇
く。「神様は私に修行させている」と思う程、本当
に辛かった。思わず独り言を呟いていた。何度も何
度も、同じ文言を繰り返し繰り返し・・・。   

 国民宿舎に到着したときは、声が出なかった。フ
ロント係の女性には、身振り手振りでそのことを伝
え。5分間ほど腰を下ろして、お茶などを補給し、
発声できる様になるのを待った。        

 当地は温泉で有名だ。日焼けした脚を、熱い浴槽
に入れる。痛みで涙が流れた。         

 つづく。