【2日目:1997/05/19:久留米へ】       

 目が覚めた。十分に睡眠時間をとったので、爽快
な気分だった。頭の中が、徐々に現実へと向かって
行った。そして、自分は何をやっているのか想い出
すのに、長い時間は不要だった。        

「今、俺は旅人をしているんだ!」。      

 先ず確認した。 脚は大丈夫か? 膝はどうか?
脚はふくらはぎがパンパンになっている。まだ痛み
はあるが、どうにか動く。膝は、サポータの効果で
大丈夫だ。気力は全く問題ない。「さぁ歩こう!」

 ビジネスホテルを後にした。朝の清々しさの中を
国道3号線を一路久留米へ南下。その日の歩行予定
距離は道路地図によると約23Km。昨日の約半分の行
程であった。                 

 朝食は、途中のコンビニでスパゲティ弁当を買っ
た。それをレンジで「チン」してもらい、道路わき
のブロックに腰をかけて済ませた。       

 朝食後、本格的に歩行を開始した。300m程歩いた
頃から、脚全体としての歩行機能が低下している事
に気付いた。スピードが出ない。継続して(休憩し
ないで)長い距離を歩く事ができない。     

 しかし、今日の行程は短いので、「焦らず、無理
をせず、必要なだけ休憩をとりながら歩こう」と思
った。                    

 筑紫野市付近の国道3号線は、歩道の幅員が広く
緑が豊富だった。歩き易く、気分は最高だった。 

 鳥栖ジャンクションを過ぎて暫くして、道路わき
の中華料理店へ入り、大盛りちゃんぽんを食べた。
これは昼食であった。             

 店をでると、道路は川の堤防の外側に沿って長く
続いていた。道路は堤防より低いところを走ってお
り、歩きながら川面を見ることはできなかった。 

 いくら歩いても、景色が変わってくれない。  
距離を長く感じる。実際には 4Kmくらいしかないが
倍くらいの道のりと思われた。いくら歩いても、い
くら歩いても・・・。             

 この日は、朝からずっと曇り。すっきりしない日
だった。そうこうする内に、目の前が広く開けてき
た。あの筑後川だ。筑後川にたどり着いたのだ。 
おおきく立派な一級河川だ。流域の母なる川の風貌
を漂わせていた。               

 気分的に明るくなったが、久留米大橋を渡りきっ
た直後には、空が急に暗くなり、大粒の雨が降って
きた。あまりに急な出来事だったため、雨具を取り
出すのに躊躇し、取敢えず近くの樹木の下で雨宿り
した。この雨は通り雨だったらしく。10分程で上が
った。                    

 あとは、久留米市街地まで足を運び、宿を探すだ
けだ。脚は痛かったけど、2日間歩き通したという
事実はちゃんと残った。この日は、歩行距離が短く
余裕のある比較的穏やかな1日だった。     

 明日は熊本へ。               
 文字通りこの3日間の山場だ!        
 そこには新たな体験が待っていた!      
 つづく。