【1日目:1997/05/18:大宰府へ−その2】

 昼食を終えた。これから県道35号線を南下する。
この県道は筑紫野古賀線で、福岡都心を避けるよう
にして筑紫野市まで抜ける、国道3号線のバイパス
的機能を持っている道路である。        

 この道路は、一部の個所で山間部を通る。その辺
りの道路幅は、上下2車線ぎりぎりで、もちろん 
歩道がない。しかも、大型の工事用トラックや、貨
物運送トラックの通行が大変多い。       

 県道35号線の南下を始めて、1時間程経っただろ
うか。危険と隣り合わせの歩行。そして、初めての
長距離歩行。日差しの強い中での歩行。必然的に 
休憩をとる間隔と回数が多くなってきた。30分歩い
5分休憩のペースだ。             

 この頃から、次第に身体に変化が起こり始めた。
休憩を終えて、再び歩き始めると、脚が痛むのだ。
5分位歩くと、痛みには慣れるが、痛みが有るのに
は違いない。また、休憩の度に痛みの個所が新たに
発生するのだ。不思議に、新しい痛みの個所の方が
前回の個所の痛みより強いのだ。まさしく、全脚に
痛みが襲い始めた。              

 頭の中でいろんな言葉が飛び交い始めた。「目的
地まで到達できるのだろうか」「このまま続けると
脚が壊れないだろうか」「こんなことをして、何の
役に立つのか」「俺は馬鹿か」         

 一方では、前向きの言葉も飛び交っている。「脚
が痛むなんて当然予想していただろう」「ここで止
めたら何も残らないぜ」「苦しいなら苦しいほど 
やり遂げた後の満足感大きいだろう」      

 悲観的な考え方をしないようにした。とに角前に
向かって歩こうと思った。疲れたら休憩するし、歩
きたくなったら歩こう。死ぬわけではない。   

 お腹が空いてきた。2度目の昼食はラーメンを食
べた。食事を終えた直後の歩行は、例によって脚に
強い痛みを覚えた。それでも歩いた。      

 夕方近くになってきた。どうにかこうにか西鉄 
大宰府駅に到着した。電話帳でビジネスホテルを 
探した。宿泊は、JR二日市駅前に決めた。同駅 
までは3kmあった。今日は初日、疲れ果てた。  

 明日は久留米へ
 つづく