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 貧困対策で国民は覚悟を!  

先月、「貧困率」が初めて政府から公表された。国民の所得の中央値の半分に満たない世帯を「相対的貧困」と定義し、2006年時点で全国の相対的貧困率は15.7%であることが明らかになった。この日本で7人に1人が貧困ということになる。私はすでに2005年の県政報告の中で、日本は米国に次ぐ貧困大国であると警鐘をならしたが、当時の反応は残念ながら鈍いものであった。しかし、今は違う。昨年からの米国発の金融危機は世界経済を大混乱に陥れ、日本においても景気後退、失業など他人事ではすまなくなっている。
公表されたのは国民生活基礎調査をもとに算出した「相対的貧困率」。所得を世帯人数に振り分けて高い順に並べたときに真ん中の所得(228万円)を基準に、その半分に満たない人が占める割合を示す。これは経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国中4番目の高さである。加えて、下位10%のに国民の平均所得は日本は6000ドル(約54万円)とOECD平均(7000ドル)を下回る。さらに、子どもの貧困率が14%、高齢者の貧困率が21%、ひとり親家庭の貧困率は59%と、すべてOECD平均を大きく上回っている。
さらに、金融広報中央委員会の「家計の金融資産に関する世論調査」によれば、一切の貯蓄を持っていない世帯率は、1980年代には5%前後で推移していたが、90年代には10%前後となり、2006年には22.9%となっている。この結果、現在では、約3000万人が貯蓄ゼロで生活していることになる。貯蓄ゼロ世帯では、家族の誰かが病気をしたり失業したりすると、たちまちのうちに生活が困窮することになる。
日本の貧困率の高い理由は、所得の再配分機能が他のOECD諸国に比べて弱いためである(2009年県政報告秋号4、5面を参考にしてください)。市場所得ベースで比べると、相対的貧困率は他のOECD諸国と大きく変わらない。しかし、失業給付や生活保護など貧困層に対する政府からの社会保障が少ないため、税金・手当配分後の可処分所得ベースでは、差が開いてしまうのである。
また、もう一つの要因として、パート賃金がフルタイムに比べて安いことが挙げられる。ひとり親家庭が貧困になりやすいのは、パート賃金労働者が多いためである。
相対的貧困率が日本で拡大してきた背景としては高齢化も指摘されている。年功序列賃金が主流の日本では高齢者が高賃金になりやすい一方、若年層は失業率が高く、職があっても賃金が安いため、高齢者が増えるほど格差が数値上広がっていくのである。
そこで、私が問いかけたいのは、相対的貧困率を下げるために、私たちが増税まで負担する準備があるのかということである。あるいは、正規雇用の賃金を引き下げ、非正規の賃金を引き上げる準備があるのか、仕事を分け合うワークシェアリングの準備があるのかということだ。
相対的貧困率の引き下げ目標は、総論として、ほとんどの人が賛成すると思う。しかし、相対的貧困率を本当に引き下げるためには、むだな公共投資を減らすなどの財源確保だけでは足りないため、相対的貧困になっていない世帯から貧困世帯へ所得移転が必要になる。
日本社会は大きな岐路に立っている。これ以上の貧困を許すのか、それともここで貧困の拡大を食い止め、人間らしく働き人間らしく生活できる社会にするのか?貧困でない家庭が積極的に貧困対策に協力しない限り、この問題は解決しないだろう。そして、国民の側もそこまでの覚悟を持って、貧困対策の支援に取り組むことが迫られている。

みなさんは、この現状をどう考えますか?ご意見をお聞かせください。

h-amano@email.plala.or.jp

静岡県議会議員 天野  一
 
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