いつ会社を辞めるのがお得?


「もう辞めてやる!」と言って辞表を出す。ちょっと待て、そんなことしてお前は会社にいいように使われてないかい?今辞めて退職金もらえるの?今辞めて失業保険はおりるの?せめてそれくらいは調べてから辞めましょう。

<1.クビと自己都合退職>

クビ・・・つまり解雇には3種類あります。

1.懲戒解雇・・・悪いことして退職する場合

2.普通解雇・・・病気やケガ等をして復帰がみこめなくて退職する場合

3.整理解雇・・・いわゆるリストラ(ただしリストラ対象者となり、強制的に部署を移動させられ、追い込まれて自分から辞表をだしたら自己都合退職扱い)

退職理由としては上記3つと自己都合退職の4種類存在します。会社側としては、解雇が多いと会社的に問題があるのではないかと思われるので、できるだけ自己都合に持っていこうとする場合が多い。しかし、懲戒解雇を除いて、自己都合より解雇のほうがあとあと待遇がよいので、会社から「辞表出せ」といわれてもちょっと待て!

<2.退職金>

退職金は実は労基法では、支払いの義務になっていない。会社の就業規則に書いてなければ、1円ももらえなくても文句が言えないのである。まず退職金がもらえるかどうかは就業規則や労働組合との労働協約を調べましょう。ただし、懲戒解雇の場合は退職金が減額orなしになっても、悪いことしたんだから文句は言えない。懲戒解雇は損です。あと、退職金の退職所得控除手続きもお忘れなく。

<3.失業保険>

失業保険がもらえる条件として、被保険者期間が通算して6ヶ月以上必要である。つまり5ヶ月働いていたら、せめてあと1ヶ月は働きましょう。(ただし、遅刻・欠勤多数は例外あり)。また、パート・アルバイトは短時間労働被保険者であり、1ヶ月働いて半月分と評価される。結果として、パート・アルバイトでも、1年以上働けば失業保険をもらう資格はある(もちろん、雇用保険料をはらってないとだめ)。また、週30時間以上働くパート・アルバイトは正社員同様6ヶ月でよい。

しかし、すぐもらえるわけではない。どんな理由でも、求職の申し込みをしてから7日間は支給されない(待期期間)。そして、自己都合退職と懲戒解雇の場合は、さらに3ヶ月の給付制限期間が失業保険はもらえない。つまり、自己都合退職は損である。

失業保険料金の基準は、辞める前の6ヶ月に支払われた給与の総額を180で割った額である。つまり、辞める前の6ヶ月に残業等を多くしてがんばっておいたほうが保険料は多くもらえる。その基準額に60%から80%の率を掛け合わせた額が1日分となる。つまり、6ヶ月間で60万円貰っていたら、600000÷180×80%=2667円(基本手当ての日額)。

次に問題となるのがいつまでもらえるか?ということである。もらえる日数(分)を所定給付日数という。結論から言って、「自己都合退職」より、会社の倒産や事業の縮小のための退職(普通解雇・整理解雇)のほうが所定給付日数を多い!また、働いていた日数を多いほど、所定給付日数が多い。

自己都合の場合(自分の都合)

  5年未満 10年未満 20年未満 20年以上
所定給付日数 90日 90日 120日 150日

特定受給資格者(会社の都合)

  1年未満 5年未満 10年未満 20年未満 20年以上
30歳未満 90日 90日 90日 150日 ×
45歳未満 90日 90日 150日 180日 210日
60歳未満 90日 180日 210日 240日 300日
65歳未満 90日 150日 150日 180日 210日

<4.解雇予告・解雇予告手当>

労働基準法で、「労働者を解雇する場合には少なくとも30日前に解雇の予告をしなければならない」とされている。つまり、予告なしで解雇された場合、解雇予告手当を会社は支払う義務がある。しかし、懲戒解雇の場合はもらえなくても文句は言えません。

<5.まとめ>

入社2ヶ月 健康保険の任意継続被保険者制度が利用できる
入社6ヶ月 失業保険が受けられる
年次有給休暇が発生する
入社1年 辞めた後に健康保険からの給付が受けられる
育児休業をとる人に育児休業基本給付金が支給される
育児休業・介護休業を請求できる
介護保険をとる人に介護休業給付が支給される
入社5年 教育訓練給付が受けられる
失業保険の所定給付日数が増加する


つまり、5ヶ月働いてたらあと1ヶ月。11ヶ月働いてたらあと1ヶ月。4年働いていたらあと1年働いたほうがお得。あと、ボーナスをもらった直後に辞めたほうがお得。

From 2001/10/8 戻る