寝言

 

食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋、天高く馬肥ゆる秋、小早川秀秋――。

秋といえば様々なものが連想されるが、俺たち学生にとって、この時期大きなウェイトを占めるのが修学旅行だろう。

一日の大半を共に過ごす学友たちとの旅行は、家族旅行はもちろん社会人になってから友人と出かける旅行とも全く違う、この時期だけの奇妙な高揚感がある。

そんな修学旅行の楽しみといえば、もちろん枕投げ…ではなく、寝言鑑賞だ。

家族の寝言ですら予想の範疇を超えるというのに、他人である友人たちの寝言ときたら、それはもう驚くべき裏切りと絶望のスペクタクル、まさにアメイジングワールド!!

…っと。少し興奮しすぎてしまった。

まあ、そんなわけで今は草木も眠る丑三つ時。

早速クラスの連中の寝言に聞き耳を立ててみよう。

お、何かむにゃむにゃ言ってるのは…クラス最重量の耶麻田か。

「もう食べられないよ〜」

来ました来ました、デブキャラのお約束!漫画肉か?漫画肉なのか〜?

「お腹減った〜。ご飯まだ〜?」

早い、腹減るの早いよ!流石いつでも腹ペコはデブキャラのお家芸だな!

「嫌だわお爺ちゃん、さっき食べたばっかりじゃないの」

ミラクル!耶麻田の寝言が棚賀に繋がったー!でもお前ん家の爺ちゃん目茶目茶元気じゃん!

いやあ、初っ端から中々のコンビネーションだったなぁ。さて、次は…む!そこで寝言の気配を発しているのは女子にモテモテ木須儀!

「お帰り下さいませご主人様。あなたの体臭は当家に相応しくございません」

ちょっ、君そんなキャラだっけ!?どこ喫茶でバイトしてるのよ、メイド?執事?どっちでもいけそうだからなー、こっそり写真撮ったら女子に売れそうだな。

よしよし、今年は何だかいいペースだぞ…っと言ってる傍から苦しげなうめき声!もう食べられない系再びか!?

「なんで……なんで米屋のおじさんと父ちゃんが一緒のベッドに!?」

…これは…聞かなかった事にしよう…。

気を取り直して他の寝言をっと。あっちで何か言ってるな。

「…彼はブルマーを盗んではいません…そのブルマーは私が彼にあげた物で…え?何故持ってたかって、それは、その、ち、違うんです!」

お前は何をやっているんだ。うちの学校ブルマーじゃないのに、どれだけ憧れちゃったんだか。

他には…、おお、郁小部がビクッとなった。何か言うかな…?

「あ、あれ?…ここは…今までの冒険は夢だったのか…?…ん?このペンダントは、そうか、やっぱりあれは夢じゃなかったんだ。」

 

 

って夢オチかよ〜〜〜。

「お前がな!!」

クラス中から総ツッコミされた。


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