少年は、生まれつき体力が無かった。
腕力が、学力が、胆力が無かった。
少年は、孤独だった。
父の、母の期待に応えることが出来ない。
遊びに誘ってくれる友はいた。しかしその期待にはやはり応えられなかった。家族と暮らしていながら、友と学びながら、彼は孤独を感じていたのだ。
無能と孤独、焦燥と自己嫌悪が行き着く先は所詮限られている。
そういった人間の例に漏れず、彼は社会との関わりを否定し、自室に篭っては無為に日々を過ごしつづけた。
インターネットが普及する以前の時代である。
少年の生活の糧がテレビとなったのは限定的な必然と言えた。
ある日、彼はそのアニメと出会う。
そこに居たのは一体のロボット。
それは圧倒的な装備の数々で不可能を可能にした。
たった一体のロボットによって世界が変革していく様は、少年の狭量な精神を満たすのに十分なインパクトがあった事は想像に難くない。
そして、少年は変わった。
ただテレビと睡眠に費やしていた時間を勉強に割くようになった。
相変わらず自室に篭り、世間には背を向けたままだったが、ロボット工学だけを学び、歪んだ情熱に後押しされた彼の知識は同世代のそれを遥かに凌駕する速度で肥大化していった。
彼はアニメの中の存在を現実に連れ出す決心をしたのだ。
少年が欲したのは世界を変革する力。自分を苦しめる両親を、友人を、そして自分自身を捻じ曲げる危険な力だったのだ――――。
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