>> 姜維からの手紙。






 拝啓、母上さま。


 春陽の候。

 益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。


 私は、この度、相手方の策とはつゆ知らずホイホイと偵察に赴いてしまったがばっかりに、うっかり行き場を失ってしまい、やむなく天水の武官を退職。


 蜀に就職。

 勤務いたすこととなりました。



 モロ魏に属する天水 に母上を置き去りにした事は気がかりっちゃぁ気がかりですが、これもまぁ仕方ないと頭を切り換え。

 このうえは、一日も早く仕事に慣れ、諸葛亮先生に信頼されるよう精進しててまいる所存でございます。


 というか、聞いてくださいよ母上。

 天下の諸葛亮先生はどうやら、この私を跡継ぎ、あるいは一番弟子と見なす程に、高く買ってくださっているようですよ!



 さしもの私も、初対面の時に。



 「私はこの天水の地が欲しかったのではありません。貴方が欲しかったのです」



 と、言われた時には。




 やべぇ、やられる。 主に性的な意味で。



 と、本気 (と書いてマジと読みます。立原あゆみ的表現です) で思いましたけど。


 幸い、その直後。

 たまたま近くに居た月英様が。



 「またそんな エロい声 で 誤解を招くよーな発言をしてッ。 そういう求婚的な言葉は、私に言うべきでしょうがッ!」



 と、宣いながら虎戦車をけしかけていたので、その後目眩く官能の世界に旅立つ事もなく。

 今でも純潔を保ったまま、キレイな伯約のままで居る事が出来ております。



 ……いやもう、別に残念だった訳ではありませんからね。



 残念だった訳ではありませんからね。(大事だと思ったので二度書いておきます)




 ま、実際の所、諸葛亮先生にそのケはなかった様子でして。

 私は今、あの天才軍師として名高い諸葛亮先生本人より、直接ご指導いただけるよう相成りました。


 天下にも名の知れた、あの諸葛亮先生に、ですよ。

 これを喜べない将が居るというのでしょうか。



 正直、魏を追い出されてしまったのは痛手だと自分でも感じております。


 野球でたとえるなら、メジャーリーグ目指していた人間がマイナーリーグからなんてやってらんないという心理でしょうか。


 しかし、近年は日本で力をつけて、メジャーで頑張ってからまた日本でちょっとやる。

 なんてぇスタイルも流行しているようですし、ここは私も、その手の日本人選手を見習って頑張っていこうと思います。



 幸い私は、以前の職場は 諸葛亮先生のだまし討ち みたいな辞め方もしてますし。

 ゲイビデオに出ていた事がバレたから辞めた訳でもない ので復帰にもきっと、多分、恐らく。

 問題はないと思いますんで、母上。


 もし私が、ほんの2度、3度。

 いや、5、6度ほど、北伐に赴いたとしても、なんとか角が立たないよう、予め下準備をしておいてくれると、有り難く思います。



 さて、最近の私ですが、すっかり蜀にも慣れ。

 日々、諸葛亮先生の指導を受けながら、楽しい毎日をおくっております。



 いや、兵法を学ぶ事になった、その初日。



 「それでは、まずは初日ですから基礎から、ですがみっちりと始めましょうか」



 と、言いつつ、 古今東西ありとあらゆる隠語 をたたき込まれた時は、流石にどうしようかと思いましたが。



 それでも毎日、楽しく学んだりしていますよ。

 はい。



 ……知らなかったッ、トコロテンにそんな意味があるなんて、知らなかったッ。


 否ッ。


 知りたくもなかったよっ、諸葛亮先生っ。



 私もう、トコロテン食べられないッ!



 ……っと。

 すいません、母上。

 少しだけ、取り乱してしまいました。


 取り乱したりするけれど、私は元気です。



 まぁ、少々どぎつい隠語茶目っ気と称して、軍学といっしょにビームの如くバッシバッシたたき込む悪癖があるとはいえ、流石は天下の諸葛亮先生。

 その教えはいつも的確で、私は納得するより驚く事の方が遙かに多い日々をおくっています。



 ただ、諸葛亮先生ときたら その茶目っ気が本当に本当にどぎつくて。

 大事な事も、そうでない事も含みありげに、さも重要そうに区別なく言うモノだから、時たま私はそれを判別する事が出来ず。

 うっかり、調べてはいけない事まで調べて、非道い目にあう事もありましたけどねっ。




 ……調べなきゃよかったっ、淫乱テディベアで検索なんて、かけないと良かったんだっ!




 すいません、母上。

 少々、取り乱してしまいました。



 グーグルで検索をかけるとそこは、不思議の国でした。

 即ちそういう事です、はい。



 いや、こんな事を書いていると諸葛亮先生はさもスキモノの変態みたいに映るかもしれませんが。

 本当に、ほんっとーに、優秀な軍師様なんですよ。



 そうだ、参考までに先日諸葛亮先生から聞いた。

 賢きモノと、そうでないモノの区別のし方 について書いておきますので、母上も是非試してみてください。



 いいですか、母上。

 賢者と愚者の見分け方は、対峙した時。





 「もし中に出しちゃっても、コーラで洗えば大丈夫。コーラで洗えば大丈夫だからッ!」 




 と言った後の反応で解るそうですよ。

 賢くなりましたね。



 ちなみに、この質問を劉備様にした所。

 穏やかに笑った後、首を振りながら。



 「姜維、それは余所では言うべき事ではないから、やめておくのだな」



 と、優しく、諭すように言ってくれました。

 やはり人徳の方は違いますね、殿とはこうありたいものです。



 あ、同じ質問を星彩殿にした時は、有無を言わさずひっぱたかれた後。

 小一時間ほど、星彩殿のお父上に追っかけ回されましたが、今となってはいい思い出です。



 べつに 「や ら な い か」 と言った訳ではないのに。

 全く、親というのは時に暴走するものですね、母上。



 関平殿の場合は、顔が真っ赤になった後。



 「それはっ、本当ですかっ。し、しかし拙者は、未熟者ですからっ、そーいうのはっ……」



 と。

 しどろもどろになって一人、オタオタしておりましたよ。




 不覚にも可愛いと思ってしまったんだけど、そんな事はなかったんだからね!




 今流行りのツンデレになって気分を述べるとしたら、そういった所です。

 はい。



 さらに、馬超殿にしてみた所。



 「バカ言うなっ、コーラは飲むものだろうがっ。だいたい、中って何の話しだ?」



 と、全くもって話が通じませんでした。


 ばもーき。

 ばもーき。



 ついでに、同じ質問を趙雲殿にしてみたところ。



 「それはガセネタという奴だな、それが事実であれば、阿斗様は生まれていなかったはずだ」



 と。

 ものすごいハンサム顔 でさらりと言ってのけておりましたが、私が聞いた事はさらりと聞き流していいレベルではなかった気がしました。



 阿斗様の生誕には何か、ドロドロとしたものを見たような気がしましたが、そんな事はありませんでした。


 そんな事はありませんでしたよ。



 ちなみに、魏の軍師。

 司馬懿殿に、同じ質問をした時、その答えは。




 「ふははははは、知っておるわ、馬鹿め!」



 というモノでした。

 司馬懿殿は本当に底知れない方です。




 ともあれ。

 私は、今こんな楽しい仲間達と一緒に、仕事をしています。


 毎日なんか大変だし。

 諸葛亮先生には定期的に非道い隠語を教えられたりするけど、わりと元気にやって……元気にやってます。


 魏に帰りたいとか。

 そういうの、ホント全然ないですまじで。


 ……すいません、母上。

 なんだか、目の前が滲んでよく見えなくなってきたので、そろそろ今回は手紙を終わりにしたいと思います。



 母上の方も、ぶっちゃけて言えば魏を裏切った私のせいで何かと大変だと思いますが、ま、テケトーに頑張ってください。

 それでは。


 姜維より、母へ。




>オマケ



 他の人にも 「コーラで洗えば大丈夫」って言ってみた。



・曹操様の場合


 「仮にそうであったとしても、わしには関係のない事よ」


 (大人の対応であしらわれてしまったようです)



・孫権様の場合


 「貴様ッ、そのような戯れ言で私を謀るつもりか……もしそうだとしたら、許さんぞッ」


 (顔を真っ赤にして怒ってしまったようです)



・陸遜たんの場合


 「それより、マスタードで洗った方が確実だそうですよ。今度試してみてください」


 (いや、もう何も言うまい)






 <陸遜の圧倒的悪意>