no title
「――――ロックオン……」 甘えるように呟いて、ティエリアは少しぎこちないしぐさでロックオンの肩に額をあずけた。 胸に込み上げてくる暖かなこの感情を、何と言えばいいのだろう。溢れるほどの想いをどうやって伝えればいいのだろう。 こんなにもロックオンが好きだと―――。 力強い腕に抱き締められて、ティエリアはそっと目蓋を閉じた。初めて抱かれた時と変わらないぬくもりと、規則正しい心臓の音が、ティエリアを安らかな気持ちにさせた。 「―――ロックオン……」 「ん?」 何か言いたそうなティエリアをロックオンが優しく促す。 「……………好きです…」 告白はあまりにも小さな小さな声だったが、ロックオンにははっきりと聞こえた。 おそらくは照れて紅く染まっているだろうティエリアの顔を思い浮べながら、ロックオンは抱き締める腕の力を強くした。 「俺もだよ」 そう告げた瞬間、胸の中に深く頬を埋めたティエリアが堪らなく愛しい。 湧き上がる想いのままに、ロックオンはティエリアの顎を掬い上げくちづけた。 はじめは羽のように軽く触れながら互いの熱を確かめあうようなキスから、次第に深く相手のすべてを奪うような激しいものへと変わっていく。 ティエリアの唇はとてもやわらかく、おずおずとロックオンの求めに応じる舌は蕩けるように甘かった。時折漏れるティエリアの鼻にかかった声が、いやが上にもロックオンを昂ぶらせ、熱い衝動へと駆り立てる。 「ロックオン…!」 ふいにローファの上に転がされたティエリアが、抗う素振りを見せた。慎み深い彼のこと。いくらなんでもベッド以外の場所―――リビングでコトに及ぶのには抵抗があるらしい。そんなティエリアの心中を察せないロックオンではなかったが、すでにその気になっている以上、いくら嫌がろうが止められるはずがなかった。 「いいから大人しくしてろ」 「やだ…っ」 抗議の言葉は唇で塞いで、ロックオンは片手でティエリアのシャツのボタンを外し始める。空いたもう片方の指が項から顎のラインにかけて繊細な動きを繰り返すと、組み敷いた華奢な身体が震えるのが判った。 もう何度も身体を重ねてきたというのに、いつになっても羞恥心を忘れないティエリアがロックオンの興をそそる。 この白い華奢な身体を深い快楽に喘がせ、その秀麗な美貌に恍惚とした表情を浮かべさせたい――そんな獣じみた欲望が脳裏を過った。 「………はぁっ…」 ようやく唇を開放してやると、ティエリアは足りない酸素を補うように深く息を吐いた。くちづけに紅く濡れた唇が、ほんのりと朱を刷いた目元がなんともいえず色っぽい。 「ティエリア……」 耳元で促すように囁いて、ロックオンは耳朶から首筋を通ってまだ荒い呼吸を繰り返す胸元へと、唇と舌で丹念な愛撫を施した。その間にも彼の悪戯な両手は、休むことなくティエリアの背中や、余分な肉のないウエストから大腿を撫で上げ、徐々に、だが確実にティエリアの情欲を煽ってゆく。 「んっ……やっ……」 弱点の一つでもある胸元の蕾を執拗に責められて、ティエリアは堪え切れずに甘い喘ぎを洩らした。浮き上がりかける肩を片手で押さえつけて、ロックオンは胸への愛撫はそのままに、もう片方の手をティエリアの下肢へと伸ばす。 「あっ…!」 自身を襲った鋭い刺激に、思わずティエリアは大きく仰け反った。いやいやをするように頭を振り、ロックオンに懇願の眼差しを向けるが聞き入れられず、逆に憎らしいほどに巧みな指の動きに、身も世もなく喘がされてしまう。 やがて押し寄せる快楽の波に飲み込まれたティエリアは、ロックオンに導かれるままに、彼の掌に欲望の証を吐き出した。 脱力した華奢な身体を抱えなおしたロックオンは、余韻に頬を染めるティエリアの唇にやさしいキスを繰り返す。そうやって緊張を取り除いてやりながら、ロックオンは自分を受け入れてくれる蕾へと指を滑り込ませた。 「っつ……」 異物感に眉を顰めるティエリアを時間をかけて解してやり、その表情から苦痛の色が消えた頃、ロックオンはひっそりと息づく蕾に熱く怒張した自分自身を打ち込んだ。 「ああ…っ!」 隘路をわけて挿し入ってくる灼熱の塊に、ティエリアが悲鳴を上げる。反射的に逃げを打つ身体を逃さずに、ロックオンは繋がりをより深くした。 「―――っ!」 苦鳴を上げる唇を己がそれで塞ぎ、吐息さえも奪うような激しいくちづけを与える。ティエリアの苦痛を思い遣らないロックオンではなかったが、今の彼は自分の熱を追うだけで精一杯だった。まるで飢えた獣のように、ただひたすらにティエリアを求め、欲した。 やがて身に憶えのある感覚がロックオンの背を奔りぬけ、ほどなく彼は自身の熱を開放した―――。 |