大人の主張

イッセー尾形の独り芝居を想像しながらお読みください。

 

 

 

 

 

 

ったく、最近の若いモンときたら。

 

どいつもこいつもダラしねぇ。

 

 

 

特に高校生!

 

そう、そうだ。

 

お前らだ!

 

 

 

何なんだお前らは、一体!

 

 

 

高校生の仕事は勉強だろうが、勉強!

 

親が汗水滴らして働いてる時に、

 

何を昼間っからウロウロしてんだ、お前らは。

 

 

 

えーっ!反省しろ、反省っ!

 

サルでも反省するんだぞ、こうやって片手着いて。

 

 

知らない?

 

 

じゃぁ、家に帰って父ちゃんにでも聞いてみろってんだ。

 

 

 

 

コ、コラ!

 

高校生のクセに何でタバコなんか持ってんだ!

 

 

え?当たり前?

 

制服のまま、チャリンコ乗りながら吸うのがカッコいい?

 

ふざけるのもいい加減にしろ!

 

 

 

オジサンの時代はなぁ、

 

高校生でタバコ吸うのは不良!って呼ばれてたんだぞ。

 

フ・リョ・オ!

 

 

 

しかも隠れて吸ってたんだぞ、みんな。

 

 

そんなことしてたら不良のレッテル貼られちまうんだぞ。

 

 

親兄弟が泣くぞ。

 

情けないと思わないのか!

 

 

カッコいい?

 

 

そうか。

 

お前達はそう思うんだな。

 

 

 

髪の毛も全員が茶色か、男のクセに長髪で…。

 

 

 

個性?

 

 

 

笑わせるんじゃないよ。

 

個性って何だよ?

 

髪の毛の色か?

 

それしか個性がないのか、お前らには。

 

 

 

そうやってみんな同じ色や髪型で同じ服着てたら、

 

結局は丸刈りで詰め襟学生服着てるのと一緒じゃねぇか、バーカ。

 

 

 

そんなこともわかんねぇのか。

 

 

いいか?

 

 

まわりと同じカッコしてたら、

 

そりゃ個性じゃないんだよ。

 

 

 

逆だよ。

 

 

 

没個性っていうんだ。

 

覚えとけ!

 

 

 

 

誰にも迷惑掛けてない?

 

 

ま、確かにお前らの髪型で迷惑してるヤツはいないだろうけどよ。

 

 

 

 

だけど考えてみろよ。

 

 

恥ずかしいぞ、将来、今の自分の写真見たら。

 

顔から火ィ吹くぞ。

 

 

 

オジサンだってな、

 

若い頃、その時はカッコいいと思って撮った髪型の写真が、

 

今じゃ誰にも見せらんないような汚点になってんだよ。

 

 

 

 

 

ま、いっか。

 

 

 

 

 

 

でもな、コンビニの前でタムロしてタバコ吸うのは止めろ。

 

 

お前達はマナーがなっとらん。

 

 

どこでもポイポイ吸い殻を捨てるだろ?

 

オジサン達が捨てたと思われるじゃないか!

 

 

 

それにコンビニの前でカップラーメン食うんじゃないよ。

 

恥ずかしくないのかよ。

 

 

動物園のサルか、お前らは。

 

 

 

 

それに食った後、片付けもせずにその場へ放ったらかしで。

 

 

 

この前の出勤途中、

 

お前らが夜中に食べ残したカップラーメンが地面に置いてあるのに気付かなくって、

 

オジサン、うっかり蹴っ飛ばして

 

汁でビショビショになっちゃったじゃないか。

 

チクショー!

 

 

 

前日の夜に自分で一生懸命磨いたばっかりだったんだぞ、あのクツは。

 

 

 

 

 

べ、別にいいじゃねぇか。

 

 

 

嫁さんは磨いてくれねぇんだよ。

 

 

オジサンは足が臭いんだよ、悪いか!

 

 

 

足の指、お前の鼻の穴に突っ込むぞ、この野郎!

 

 

 

 

それよりあの日は朝っぱらからズボンの裾にも汁の匂いがつくし…。

 

 

野良猫までニャーニャーついて来てたいへんだったんだからな。

 

 

 

 

お前らは行儀が悪過ぎる。

 

親は何も言わないのか!

 

 

 

無関心?

 

 

バッカヤロ。

 

 

 

親を連れて来い、親を!

 

俺が説教してやるよ。

 

 

 

 

 

それにお前!

 

そう、お前だ。

 

 

 

男のクセに耳にピアスなんかしやがって。

 

 

 

お前はホモか?

 

 

 

え?ファッション?

 

冗談じゃねぇやい。

 

日本男児なら日本男児らしく、ピアスなんかするな!

 

 

 

オジサン達の時代はな、

 

男がピアスしてたらホモと間違われてたんだぞ、

 

 

このホモ野郎!

 

 

 

 

第一、ファッションなんて上っ面だけでやるんじゃないよ。

 

 

そもそも男が派手に着飾るのはアフリカとかの国だろ?

 

 

あれはお前達みたいなヘナチョコファッションとは意味が違うんだよ!

 

よそじゃ15歳くらいで成人したら木のツルで足首を縛って

 

30メートルもの高さから命懸けで

 

地面に向かって飛び降りる儀式がある国もあるんだよ。

 

 

 

下にマットなんかねぇんだぞ。

 

それができて初めて一人前の男として認められて

 

オシャレとか、

 

自分の好きなことができるんだよ。

 

 

な。わかったか?

 

 

お前らもそういう事ができて初めて偉そうなクチ叩けよ。

 

 

 

え?俺?

 

 

オジサンはできないよ。

 

 

 

恐いもん。

 

 

できないからダサいだろ?

 

 

いいじゃねぇかよ、別に。

 

 

 

お前らになんか言われたくないよ、サル!

 

 

 

 

ウルサイ!

 

黙りやがれ、このスットコドッコイ!

 

 

どうせ1人じゃ何もできないクセに。

 

 

 

大体何なんだお前らは!

 

集団になったらすぐにピーチクパーチク!

 

カシマシ娘か、こんちきしょう。

 

 

 

カシマシ娘って何、だと?

 

いいよ、もう。

 

 

 

電車の中でもギャーギャーうるさいし。

 

挙げ句には場所もわきまえずどこでも携帯電話だ。

 

 

 

ガキは公衆電話を使え!

 

子供のクセに何の急ぎの連絡があるってんだ。

 

 

 

それにその着信音は何だ!

 

電話ならワケのわからん音楽はやめろ!

 

 

 

1回聞いたら会社で1日中頭ン中に電子音が流れて大変なんだよ!

 

 

 

この前なんか仕事中にうっかり口ずさんじゃって

 

部長に叱られたじゃないか。

 

 

 

そもそも携帯の使用料は誰が払ってるんだ。

 

親のスネかじってるクセにガタガタ抜かすな!

 

 

 

 

そこの女子!

 

そう、そうそう。

 

お前だよ、お前。

 

 

 

汚ねぇ頭してるなぁ。

 

ちゃんと洗ってんのか?

 

 

 

毎日?

 

ホントか?

 

 

 

臭そうだぞ。

 

 

 

おう、その向こうのお前もだ。

 

 

ルンペンかお前は。

 

寝グセくらい直せよ。

 

 

 

 

寝グセじゃないって?

 

 

 

バカ言え。

 

それが寝グセじゃなかったら何なんだよ。

 

 

 

ヒロスエ?

 

 

知るか、そんなモン。

 

 

 

 

そもそも女子高生ってのはだなぁ、

 

こう、そよそよっと風に髪をなびかせて、

 

目の前を通り過ぎたらシャンプーの香りがしてだな…。

 

 

もっと純真無垢で可憐でなくっちゃイカン。

 

 

 

それに引き換え何だ、お前らのその格好は!

 

 

 

 

そのズロース!

 

 

ばあちゃんか、お前らは。

 

ゴムが緩んでズリ落ちてるぞ。

 

 

ちゃんとパンツのゴムでも買って入れ替えとけよ。

 

ほら、ダブダブで地面に着きかけじゃねぇか。

 

 

 

かわいいから?

 

足が寒いから?

 

冗談じゃない。

 

 

若いクセにバカ言え!

 

まだズロースの歳じゃねぇだろ?

 

 

 

うちのバアサンだってそういうの最近までは履いてなかったぞ。

 

まぁ、確かに最近は寒いからお前らみたいにズロース履いてるけどよ。

 

白じゃなくてラクダ色だけどな。

 

 

 

それから、その化粧はなんとかならんのか。

 

 

え?

 

学校に何しに行ってるんだ。

 

勉強だろ?

 

勉強になんで化粧する必要があるんだよ?

 

マニキュアもいらんだろうが。

 

 

 

近い将来、嫌でも化粧はしなくちゃならんのだよ。

 

 

え?今は顔を黒くしてても、

 

今から20年後にはお前ら全員、オシロイばあさんだよ。

 

 

鈴木その子みたいな白塗りの妖怪ババアになるんだぞ。

 

 

化け物だぞ、ありゃどう見ても。

 

 

どうだ。嫌だろ?

 

 

 

こら!

 

そこ!

 

 

人が説教してるのに勝手に座るな!

 

どこでもペタペタ座り込みやがって。

 

 

 

お前らが駅の階段で座り込んでたら、

 

下から階段で上がって行く時に、

 

パンツが丸見えじゃないか!

 

 

 

恥を知れ、恥を!

 

 

 

通り掛かりのオジサン達は目がクギ付け、

 

 

い、いや、目のやり場に困るだろうが、バカ者!

 

 

大体、スカートが短か過ぎるんだよ。

 

 

見えちゃうんだぞ!

 

 

 

 

うれしいじゃないか!

 

 

 

 

あ、違う、違うよ。

 

 

違うってば。

 

 

間違いだ!

 

 

言い間違えただけだって!

 

 

 

本心じゃないってばー!