お見舞い

今回、私の入院のことは、会社の自分と同じ課の人達と、一部の同僚や後輩と、

 

僅かな親しい友人等にしか話していなかった。

 

K関先生の口ぶりから、それほど大袈裟な病気でもなさそうだったからである。

 

 

 

手術を終えてから1、2週間が経った頃、

 

予想外にたくさんの人達が私を見舞ってくれた。

 

なんともありがたいことである。

 

入院中に訪ねて来てもらえることが、こんなにもうれしいとは知らなかった。

 

 

 

私は毎回毎回、自分の身に起こった悲惨な出来事や、

 

入院してみて初めて体験したプレイをネタに、

 

いかに面白おかしく説明して笑ってもらえるか、に

 

持てるパワーのすべてを注いだ。

 

 

 

愛想笑いなのか、それともみんな単純にシモネタが好きなだけなのか、

 

思った以上にウケた。

 

 

 

 

持って来てくれる品物は、女性は花束やケーキが多く、

 

大好きなケーキやお菓子はもちろんのこと、

 

普段は花束なんかもらうことがないので結構うれしかったが、

 

 

 

 

ナゼか、嫁の方がうれしそうだった。

 

 

 

 

男性はと言うと、

 

想像もしなかったお見舞い品でヒットをかましたのがうどんであった。

 

 

決して駅で売っているような土産物用のうどんではない。

 

わざわざうまいと評判のうどん屋で

 

ビニール袋に入れてもらって持って来てくれたのである。

 

 

さすがうどん処讃岐。

 

 

他県でうどんを見舞い先に持って行くことは絶対あるまい。

 

 

 

ありがたく頂戴したそのうどんはビニール袋に2玉入っていたので、

 

夕食の際にルームメイトのK倉さんに1玉分けてあげた。

 

 

K倉さんはしばらく前から

 

「うどん食いたい、うどん食いたい」

 

と連発していたのだ。

 

 

K倉さんがうどんを熱湯でチャッチャッと手際良くさばいたので、

 

私は一緒にもらっていたうどんつゆを勧めたが、

 

丁重に断られてしまった。

 

 

 

K倉さんは、「わっしゃ、いっても、こなんして食べよるけに」

 

(私はいつもこうやって食べていますから)

 

と言ったかと思うと、

 

おもむろにテーブルにあった醤油をぶっ掛けた。

 

 

 

である。

 

 

 

ここに真の讃岐人を見る思いがした。

 

 

 

いただきもののうどんでありながら、K倉さんには随分と喜ばれた。

 

 

私も今後、誰かが入院したら同じ手を使ってウケを狙おうと思う。

 

 

 

 

入院前、友人とかに、「お見舞いは何がええんや?」と聞かれる度、

 

私はめっちゃ暇になることが容易に想像できたので

 

をリクエストしておいたのだが、

 

 

 

 

どいつもこいつも

 

 

 

 

 

何をトチ狂ったのか、

 

 

「お前の欲しがっとるって、こんなんでええんやろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エロ本を持って来るヤツが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺のイメージはそんなんかい!

 

 

めちゃめちゃ腹切っとるんやぞ!

 

 

 

 

 

できるかい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何する気じゃ!」

 

 

 

 

 

 

 

特に、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『巨乳&豊尻マニアデラックス』

 

というタイトルどおり、

 

非常にマニアックなエロ本には参った。

 

 

 

 

 

ブサイクケダモノのような

 

デブ女のオンパレードである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巨乳とデブは違うだろ?

 

 

 

 

乳より腹の方が出とるやんか。

 

 

 

 

ま、一応、中身は確認した。

 

せっかく頂いたんだし…。

 

 

 

 

写真内容点検後、

 

(あくまでも点検よ)

 

あまりにもマニアックなので

 

嫁に見つからないようこっそり隠しておいたのだが、

 

私がトイレでウンコをしている間に

 

いともたやすく発見されてしまった。

 

 

 

 

「そんな趣味があったんやね。

 

サイテー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嫁の軽蔑の眼差しが恐い。