K倉さん その2

昨日、K倉さんの手術が無事に終わった。

 

約10時間をかけた大手術である。

 

 

 

手術前は、

 

「麻酔かけられたらそのまま目が覚めんのでないかいの?」

 

とか、

 

「仮に手術がうまいこといっても、痰が詰まって肺炎になった時、

 

看護婦さんに『K倉さんはもう歳やけん、人生思い残すことないやろ?

 

もうええやん。放っとことか言われんかいの?」

 

などと、

 

ワケのわからないことをかなり真剣に心配していた。

 

 

 

まぁ、手術前はそんなもんだと思う。

 

私もそうだったし…。

 

 

 

 

ところが、K倉さんの奥さんの話によると、

 

手術終了直後には晩ご飯のことまで話す余裕があったと聞いて安心した。

 

 

 

私がK倉さんに先日話してあげた

 

『手術後はナースステーションでかわいい看護婦さんに囲まれて、

 

夢のようなハーレム状態でお食事』

 

という話が多少は影響されたのだろうか?

 

 

 

私は回復室にいても残念ながらそんな楽しいことはなかったが、

 

向かいのベッドのT崎さんは、

 

ほぼ毎回看護婦さんに囲まれて食事をしていたので、

 

ちょっと羨ましかった。

 

 

見方によっては監視されているような気がしないでもなかったが…。

 

 

 

 

 

今朝のこと。

 

 

 

 

私の病室の前を親戚のおっさんがウロウロしていたので、

 

あぁ、このおっさんにも私が入院しとることが伝わって、

 

わざわざ出勤前に様子を見に来てくれたんやな、

 

ありがたいなぁ、感謝感謝、

 

などと思っていたら、

 

 

おっさん「あら?何でサトルくんがそんな格好でここにおるん?」

 

 

私「え?俺に会いに来てくれたんと違うん?」

 

 

お「いや、361号室にK倉さんいう人がおるやろ?

 

昨日手術したいうて聞いたけん、様子を見に来たんや」

 

 

私「な〜んや、おっさん、K倉さんのこと知っとんな?

 

俺、昨日までずっと隣のベッドやったのに」

 

 

 

 

 

お「知っとるも何も、

 

 

 

 

 

 

 

ワシの姉さんのダンナさんやがな」

 

 

 

 

 

 

 

ガッビーン。

 

 

 

 

聞くところによると、K倉さんは、

 

私の祖母の妹の娘のダンナのお姉さんのダンナさん

 

ということらしい。

 

 

 

遠過ぎて非常にややこしいが、親戚は親戚である。

 

 

と言うことは、K倉さんは今日から

 

マブダチでも朋友(ぽんゆう)

 

でもなく(私が勝手に言っているだけ)、

 

親戚のおっさんとしてお付き合いをせねばならん。

 

 

 

私は退院後もK倉さんのお見舞いに来ようと思う。

 

 

 

 

 

だって、私のオジサンですもの。