ブルームダスターズに関する記事


●G-Modern vol.8(1995年4月25日発行) 発行人、生悦住英夫氏の前書き

 何年も前から、若手のグループがなかなか育ってこないという状態がしばらく続いていましたが、やっとこのところ幾つか目だったグループが出てきました。作品としてはまだカセットしかリリースしていませんし、まだライブを頻繁に行なうほどではないようですが、このまま音楽活動を継続できれば2〜3年先が楽しみになりそうです。"若手"のグループと言っても年齢はよく判りませんが・・・。
Onna Kodomo
ブルームダスターズ
プカプカブライアンズ
Psychedelic Crazyhorse
夢の園
Hi-speed
 上記のグループ以外にも、本誌の読者からもデモ・テープが度々送られてきます(直接の持ち込みも幾つかありました)。その中にもオリジナリティを感じさせてくれる、可能性のあるアーティストも2〜3ありましたが、もっと増えてほしいものです。(以下略)


●G-Modern vol.16(1997年9月10日発行) NEW DISC REVIEW(谷崎真浩)

ブルームダスターズ/23時間30分
 高円寺のライブハウス、ショーボートを中心に活動している期待の若手グループ、ブルームダスターズのファースト・アルバム。PSFからリリースされた「Tokyo Flashback Vol.4」に「文学少女」という曲で参加していて、斬新なアレンジと真摯な姿勢のヴォーカルが印象に残っていた。全6曲でトータル57分を一気に聴いたが、正直言ってものすごく疲れた。全体的に中低音が少なく(意識的にカットしたのかもしれないが)硬質な音になっているのと、演奏が真面目(一本調子)で、肩に力が入り過ぎているためだと思う。でも、逆に言えばそれが若者の特権なんだから、変にまとまった小賢しい演奏より好感が持てる。中では1、3、5曲めが良かったが、5曲目の「夢はまだ見れぬ」は、あの!名曲「夢は夜ひらく」(三上寛バージョン)のアンサー・ソング(?)だったのには、ちょっとびっくりした。このバンドは潜在的な力量と感性を持っていると感じる。次なる2ndに期待をして。


●MUSIC MAGAZINE 1997年11月号 自主製作盤紹介(行川和彦)

9月15日に高円寺・ショーボートで行われたライブがなかなか興味深かったので、書き留めておきましょう。まず幻の湖というバンドの次に行われた、光束夜を率いる金子寿徳(ギター/ヴォーカル)、シェシズや不失者のメンバーとして知られる高橋幾郎(ドラムスほか)、そして浦辺雅祥(サックスほか)による"セッション"が、何とも壮絶だった。きわめて自由度の高いプレイなのだが、3人が3人とも身を削って音を出しているかのように"気"と"歌心"が満ちており、その音同志が徐々に溶け合い、紋をつくる。特に浦辺のサックスの音は空を斬るように鋭く、まばゆいばかり美しく、重いサウンドの中を貫く。1時間あまり、骨髄に徹する音が響いた。続いてブルームダスターズが登場。前半はCDに近い感じだったが、後半では金子寿徳が加入してインプロヴィゼイションのようなプレイも交えつつ、広がりをもったサウンドを展開した。金子の太いエレキとヴォーカルがブルームダスターズのメンバーをあおって彼らのよさを引き出しているように見え、より一層ダイナミックなサウンドを生み出していたと思う。そのブルームダスターズの「23時間30分」はライブ・テイクを6曲収めた約57分のCD。じわりじわりと展開する曲、加速する曲など、静かな部分もはさみこまれたハードかつデリケートなロックといおうか。ほんの少し不失者が頭をよぎる切っ先鋭く研ぎすまされたエレキ、変則的ながらある種のプログレみたいに計算された感じのしないリズム、さらに繊細な歌声とで情念・・・というよりは情感が綴られてゆく。それは「夢は夜ひらく」を本歌取りした「夢はまだ見れぬ」で炸裂し、感極まる。ことに、のびやかで奔放なエレキと震える歌声の軋みは耳に残った。サウンドが肉薄する音質とジャケットのざらついた紙質も特筆したい。


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