津川のまち
柳田良造 やぶへび通信:1999
地域づくりコーディネーターの会議があり、新潟県の津川というところへいった。両側は山が迫って上流部のようなところだが、かっては北前船がここまで登ってきて、日本三大川港の一つとして栄えた町だそうだ。阿賀野川の清流、麒麟山や遠くの飯豊連峰のつくる景観はライン川のローレライように美しい。
今津川は街おこしで地域が変わりつつある。麒麟山に伝わる狐火伝説をヒントにあみ出した狐の嫁入り行列イベントを核に、川港の跡や商店街に残る雁木や湧水、など様々な歴史的な資源を生かした整備が進められているのである。観光客も増え、津川の名は全国区になりつつある。この街おこしの特徴は、まちづくり八人衆といわれる商工会青年部のアイディアと頑張りに、地域のお年寄りの知恵と情報が融合し、新しい試みが古くからの風習のように地域にしっくりとけ込んでいる所だ。そしてなにより津川に生きることの誇りを回復する契機になっていることだ。
全くの予備知識なしで伺った津川の町であったが、本物の風景や人たちに出会う旅だった。「品格なくして地域なし」といわれるが、「地域に華あり」という時代もやがてはやってくるのではないか。そう感じさせる旅であった。