湯川商店街では、昨年の春「函館湯の川地区における交通の実態と課題」調査を行い、商店街への来客を対象に、高齢者や障害者など、移動制約者の買い物交通の実態を探り、周辺地域の交通施設整備についての課題を検討した。その結果、歩道環境の整備や日曜営業などのサービスの充実が望まれていることがわかった。
ところで、湯川銀座通りには、「わや市」という売り出しイベントがある。3年ほど前から始まった「わやな品が、わやなネダンでチョット立ち止まり」というコピーの、ごく一般的な商店街一斉売出しだったが、最近になって様子が変わってきた。
10月に行われた「わや市」は、銀座通りの整備完成を記念して、3日間のイベントとして盛大に行われた。これに際して、昨年の調査で課題にあがった、「歩行者空間の環境整備」を実行した。歩道を広くするために、樹木ますの移動、放置自転車の除去、歩道へのはみ出し物の自粛、歩道の清掃などを行った。
ここで画期的だったことは、歩道の清掃を、商店だけでなく、はじめて町内会と計画して、地元住民と一緒に行ったことだ。商店街では、このような取り組みをこれからもつづけていきたいと考えている。さらに、今までは個店で対応していた放置自転車を、商店街全体として問題に取り上げ、実際に撤去したことがあげられる。中間報告会で報告された、「助成をもらったことで、組合員の意識が変わってきた」ことが、実際の行動として表れてきている。
商売の面でも変化が表れている。始めは不定期だった「わや市」が、最近では定期的なものになってきて、各個店からも盛り上げる色々な工夫が意欲的に出されるようになってきたのだ。
住民参加のワークショップを考える上で、これまでの地域住民との関わり方について見てみると、子供たちと接する機会として、以前から野球チームや太鼓などがあった。それに加えて今年は、地元の小学校の依頼を受け、3・4年生の社会科の授業で、「地域のまちづくり」についての講義を行うなど、地域密着型の商店街ならではの動きが生まれてきている。これを子供から大人まで、地域に広げていくことが、今後の課題である。
湯川商店街の歴史は古い。昔ながらの商店街が廃れていく中で、湯の川では不思議と空き店舗が少ないという。ここにしかない湯の川の何か独特の雰囲気が魅力となって、お客を呼び寄せ後継者を育んでいる。その魅力が何なのかを、地域住民と一緒に考え、これからのまちづくりの種としていきたい。
今年春発行の「湯川商店街まちづくりニュース」は、バリアフリーの歩行者空間を整備していこうというものだが、そのまちづくりの動きは、今のところ地域の住民には積極的にPRしていない。湯川商店街のしようとしていることを地域に知らせていくことも、住民参加のまちづくりの第一歩であり、今後はその声を商店街でうまく取り入れていく仕組みづくりが重要になるだろう。