1999ワークショップin函館
 
「こんな町に住みたいなー。」作文&エッセーコンクールから


■ワークショップの発端

 この企画は、1998年6月に(社)北海道宅地建物取引業協会函館支部の広報委員会で、まちづくりイベントへの参画が発案されたことにはじまる。宅建協会では、毎年福祉団体やスポーツ行事などへの寄付を行ってきたが、今回はじめて、まちづくりへの貢献を目的とした活動を行うことが決まった。その具体的な行事の企画として、函館からトラスト事務局との共催で作文コンクールの実施が12月に決定した。


■子どもから大人まで、みんなの声を聞きたい

 平成11年3月27日土曜日、午後2時より、函館市末広町の金森ホールにて、作文&エッセーコンクール「こんな町に住みたいなー。」の表彰式と講演会が行われた。

 1月から約1カ月の応募期間中に、広く一般市民を対象に作文やエッセーを募集した。テーマは部門別に、

 ○小学生(低学年)「こんな家がいいな」又は「こんな町がいいな」
 ○小学生(高学年)「函館の町に似合う家」又は「函館の町並み」
 ○一般(中学生以上)「函館の住まいと町並み こんな町に住みたいなー」

を設けた。作品の募集期間は1月20日から2月26日までで、3月上旬に審査を行った。


■目立つ女性(女の子)パワー 

 応募総数は115通で、その内の15通が入選作品となった。どの作品にも函館に住んでいることへの誇りや愛着が感じられ、それぞれの表現で函館への夢や提案が語られていた。応募の性別では圧倒的に女性からの応募が多く、女性が7割を占め、入選作品についても15名のうち男性は1人だけである。このことは、女性の優れた生活感覚の現れであるとともに、まちづくりに対する意識の高さがうかがわれる。

 入選作品中具体的に挙げられた提案としては、充実した図書館や安心して遊べる公園を望む声が多く、小学校低学年では遊び場・レジャー施設の充実、高学年ではゴミなどの社会問題への視点、一般では函館の町の持つ雰囲気についての意見が多く寄せられる傾向がみられた。


■大賞は松井里沙さんに

 こんな町に住みたいな大賞には、桔梗中学校1年生の松井里沙さんの作品が選ばれた。中学生の彼女が住みたいと思う函館は、バンドGLAYが刺激を受けた町であり、昔ながらの「電車道路」の賑わいや、お客の方が「どうも」と言って買い物をしていくような暖かい交流のある店並がある町である。その一方で、博物館や図書館、総合大学といった知的刺激があり、若者達の職場が確保されているという点で、中学生が感じる現実的な問題を鋭く指摘している。

 表彰式の後、小林英嗣氏(北海道大学大学院教授)が「こんな町に住みたいな」と題して、函館の町の未来像について講演した。

 今回のイベントは、地域企業のまちづくりへの関心の高まりが、具体的な形になって現れたものと言える。行政だけ、住民だけでなく地域企業も参加するまちづくりのかたち、意識が模索されはじめているように思う。

 これらまちづくり活動の下支えは、なんと言っても函館市民の意識の高さにある。この盛り上がりをいろいろなかたちで広げていけたら、みんなが住みたいと思う函館の町が実現できる日も近いだろう。