平成10年2月14日土曜日、五島軒において平成9年度助成活動審査会が行われた。各グループの申請内容が説明された後、運営委員からそれぞれに対する意見や疑問点が出された。
■4件の申請に対し、2件の助成が決定
●まずサマリヤ会について。申請者である野崎氏がライフワークとして十字街や青柳町周辺の活性化に取り組みたいという意向は評価されたが、調査に伴う飲食費の割合が高いこと、調査による結果がどのように出てくるのかが申請から読みとれないことなどで、助成対象から外れた。
●ペンキ塗りボランティア隊は今回で5回目になって実績を重ねており、また地元高校生の参加なども評価されて、助成が決定した。
●湯川商店街振興会の商店街活性化基本計画は、きちんとした内容で運営委員にも高く評価された。また市電の通り沿いの商店街が抱える問題点(駐車場がないなど)に対して、何か考えていくべきではないかという意見も出された。
しかし具体作業とスケジュールに対して、当基金がどれほどのことが出来るのかという疑問が出された。昨年、一昨年の松陰町、柏木町の両商店街は町並みの装いをどうするかという活動であり、その中でもシンボルマーク作成のための助成という、結果が目に見えやすい申請だった。しかし今回の湯川はそれらとはレベルの違う活動であり、商店街振興の運営費補助として助成金が組み込まれて、結果が見えにくいという点が危惧された。
数年前の海同会館の修理において、わずかな金額だったが基金から助成した経緯があり、今回の湯川もそのように考えられないかという声もあったが、この場合は建物という目に見えるものがあって、その修理調査費という点が理解しやすかった。しかし今回の湯川では景観協定とのつながりも生じるだろうし、申請の中から単独で一項目だけ取り出すことが難しいという点が指摘され、今年の助成は見送られた。
湯川については商店街振興会の会員だけでなく、もう少し幅広く市民を巻き込んだ活動が展開できないか、古い建物を生かすなど歴史ある温泉街としての顔づくりなどは考えられないかなどの意見が出された。どんな内容であれ、内容を絞った形で来年度の申請につなげてもらいたいということで、アドバイスしていくことなどが確認された。
●西部地区群居ワークショップについては、かつてMGMが行ってきた元町31番地コーポラティブ住宅提案の流れを汲んだ活動で、企画案を具体化させ、居住者のネットワークを煮詰めようとするものとして期待が寄せられた。敷地は元町31番地に限らないということだが、それでも西部地区特有の土地の問題がネックになって、どこまで事業として具体化できるだろうかという懸念もあげられた。しかし申請者の小澤氏が地元の建築家であり、町並み景観の専門家である点にも期待がかかり、助成対象として決定した。
■助成総額50万円を2団体へ
助成金額についてはペンキ塗りボランティア隊は前回は20万円だったが、これでは足場代に充分ではなく、危険も伴うため、申請通りの30万円が決定した。総額50万円であり、残り20万円を西部地区群居ワークショップに充てることで合意した。
■課題は市民の参加と全国への発信
今回は小さなアイディアの楽しそうな企画や、特に専門的でもなくて市民が直接関われるような企画がなかったのが残念だという声が上がった。また全国に注目されている基金なので申請も全国から集まるように、来年度からの宣伝や誘発を期待するという意見もあった。