■あいの里コープの建設プロセス

                           1997年


森下満

1)準備期(コーディネーター主導)1987年10月〜1988年5月
 コーディネーターが、札幌市内のみならず、コープ住宅推進協議会(以下、「コープ推進協」という)や住宅・都市整備公団(以下、「住都公団」という)などの全国的な組織へのアプローチや先進事例の視察をつうじ、コーポラティブ住宅(以下、「コープ住宅」という)への共感を高めるとともに、実際に建設するプロジェクトとして展開するための方法を先例から学ぶための情報収集をおこなっている。推進母体となる組織であるコーポラティブハウジング研究会の発足がこの期の一つの到達点といえるが、全体としては、コーディネーターが自らの役割を担うための基本的な学習期間として位置づけられる。

1987年
10月 コープ住宅推進協議会関西事務局ヒアリング
泉北原山台コーポラティブハウス、ユーコート等関西の事例視察
   コープ住宅研究会の設立準備
11月 北海道住宅供給公社ヒアリング
   住宅・都市整備公団(東京都)ヒアリング
   コープ住宅推進協議会関東事務局ヒアリング
コープタウン立川一番町等の首都圏の事例視察
   住宅・都市整備公団札幌事務所ヒアリング
1988年
3月 北大工学部教職員を対象とした「コーポラティブ住宅
    (入居者参加方式による自由設計の共同住宅)の需要についてのアンケート
5月 コーポラティブハウジング研究会発足

2)初動期(ユーザー主導)1988年6月〜1989年10月
 コープ推進協のネットワークをつうじて、延藤安弘氏によるコープ住宅に関する講演会開催を契機に、その参加者を中心とする、ユーザー主導の集まりが開始される。コープ住宅についての学習よりはむしろ実際の建設プロジェクト志向が強く、その主要課題である土地取得とユーザー仲間集めを中心に活動を進めている。とくに、立地にたいするユーザーの希望であった都心周辺地域の土地を中心に、情報交換、タウンウォッチング方式、土地所有者への手紙による交渉などをおこなっている。

1988年
6月 延藤安弘氏講演会「集まって住むことは楽しいナ−コーポラティブ住宅を考える−」(参加者46名)
7月 6月の講演会の参加者に呼びかけをおこない、コー ポラティブハウジング研究会による学習、情報交換のための集まり(参加者10名)
   以降、毎月1回のペースで会合を開き、具体的な土地の情報交換・タウンウォッチング方式の土地さがし、仲間集めの方法についての相談、集会の企画・実施、コープ住宅についての学習、計画・設計ケーススタデイ等をおこなう
1989年
2月 コープ住宅推進協議会幹事長らとの懇談(札幌市)
3月 コーディネーターがあいの里地区をケーススタディとする「雪
    国における独立住宅地の新しい環境形成の考え    方と手法の提案」をまとめる
住宅・都市整備公団、住宅都市試験研究所調査研究第二課編「宅地のコーポラティブ分譲手法の普及に関する調査報告書」
5月 土地所有者へのラブレター作戦の展開するも実らず
6月 北海道住宅供給公社にたいし協力を申し入れるも、具体的な対応はなし
   計画・設計スタディ


3)低迷期(ユーザー主導)1989年11月〜1991年2月
 土地取得の展望が見えず、
1989年
11月  18回目の会合−4名までに減少、以降じり貧状態が続く
1990年
2月 道有地テレビの取材
4月 TBSテレビの取材
11月まで33回の会合を開く
1991年

4)再開期(コーディネーター中心)1992年3月〜1994年4月
3月 34回目あいの里団地の一角を対象としたコープ住宅づくりの企画について
公団札幌事務所のスタディを
4月 延藤安弘氏講演会開催
7月 公団(太田氏)、野口氏、小室氏らとの打ち合せ
1992年
8月 平尾、柳田、石塚との打ち合せ
10月 あいの里プロ、集中スタディ−企画コンセプトづくり
12月 公団(太田、猪飼氏)との打ち合せ−模型スタディの披露?
1993年
2月 企画パンフ「共同アトリエのある家をみんなでいっしょにつくりませんか」作成、印刷
コーポラティブハウジング研究会+まちづくり情報センター
3月 ユーザーへのよびかけ
7月 延藤安弘氏講演会開催
   計画説明会。以降、12月まで毎月1回
9月 NHKテレビ放映
10月 コープタウン初雁(川越市)の事例視察
12月 STEP原稿
1994年
2月 市民科学への原稿

5)展開期@(コーディネーター中心、ユーザーとの協働)1994年5月〜10月
5月 ワークショップ実施−10月まで
   ニュース「あいの里コモン」の発行
9月 企画パンフ第3弾
10月 6回目のワークショップで決意表明を促すも空振りに終わる

6)展開期A(ユーザー中心、コーディネーターの支援)1994年11月〜12月
11月 延藤先生講演会開催
   北海道新聞への5回連載
12月 クレオクラブへの記事掲載

7)組合結成・土地取得期(ユーザー中心、コーディネーター・設  計チームの支援)1995年1月〜7月

8)第一期設計・建設期(ユーザーと設計チームの協働)5世帯、1995年8月〜1996年4月

9)第二期設計・建設期(ユーザーと設計チームの協働)5世帯、1995年5月〜1997年3月(予定)

10)第三期設計・建設期(ユーザーと設計チームの協働)4世帯+共同施設、1996年8月〜1997年秋(予定)