全体外観

外観正面・生活寮など


雪景色の雁木フ

生活寮内部
●自主運営の福祉型コーポラティブ住宅

 障害者とその家族、ボランティアらが隣り合って住む、小規模作業所を含んだコーポラティブ住宅『ニセコ生活の家』は、1997年11月に完成しました。障害者の作業所をかねた生活寮1棟とその家族らが住む戸建て住宅7棟の計8棟に、8家族が生活しています。現在、障害者は6名(男性2名、女性4名)。各人の障害の度合いが重く、完全な1人立ちは難しいものの、自立を促すなどの目的から原則として平日を生活寮、土日祝日を家族のもとで過ごすというスタイルを実践しています。

●新天地を求めて

 『生活の家』は1983年、札幌市北区に開所した小規模作業所。「家にこもるか、施設にはいるか。」障害を背負った人々の進路が極めて限られている中、障害を持つ子供を「家族ら身近な人々が、共同でケアしよう」という目的で設立されました。開所以来15年あまり経過し、障害者の成長と共にその親たちも高齢化してきたため、毎日各自宅から作業所へ通うことがきつくなってきました。また、札幌では便利な反面、子供たちが伸び伸び過ごすには難しい環境でした。そこで、「雄大な大自然の中、皆が近くに住み、互いに支えあいながら、地域社会に溶け込んで暮らすこと」を夢見たのです。ねばり強い土地探しの末、ニセコ町有島の丘に約千坪の土地が見つかり、実際に計画が動き始めました。

●夢をかたちにしていく

 着工までの交流の中から居住者の信頼関係が築かれていくのではなく、結束力の強いコミュニティが最初から出来上がっているのがこのコープの特徴であるといえます。生活寮の間取りや使い方、住宅棟の配置と連続性、除雪風雪や気候といった自然環境、樹木や川を含む周辺環境、共用部分の生かし方、新しいライフスタイル、地域への根ざし方・・・などなど、日常的に近しい仲間が集まっているため、毎日の会話から専門家を交えたワークショップまで、様々な議論を約一年間、徹底的に煮詰めることができました。

●地域に開く

 設計、施工期間を通してとことん付き合ったコーディネーターや設計事務所はもちろん、施工会社町長さんや近隣住民など、竣工までに理解者・支援者の輪は深く大きく広がっていきました。生活拠点である住宅をつくると同時に、様々な人々とのつながりをつくっていったと言えるでしょう。竣工後も来訪する人々を歓迎するだけでなく、開所式や餅つき大会、新年会など、地域交流の場を積極的に設けています。羊蹄山、アンヌプリ、昆布岳に囲まれる絶好のロケーションのもと、共に暮らすという基盤を固めながら、少しづつニセコ町に根を生やしています。