2000
RED BERRY STUDIO
所在地
主要用途
構成
規模
設計
施工
北海道札幌市西区八軒
スタジオギャラリー+住宅
夫婦+子供1人+母親+猫1匹
建築面積・152.94F 延床面積・228.51F 木造地上2階建 
柳田良造・大橋拓 
辻野建設工業株式会社
掲載:北海道建築作品発表会作品集2002
 八軒が開けていくのは、大正時代に、農業試験場、工業試験場が札幌の中心部から移転してきてからである。農業技師であった施主の祖父は農業試験場に努める傍ら、熱心に教会活動を続け、琴似教会中心にする小コミュニティに土地を見つけ、地域に定着する。敷地は琴似停車場線の通りから小道を50mほどはいった突き当たりにあり、昭和28年建築の赤い屋根の木造下見板張りの旧居があり、施主は気にいっていた。敷地には梨や桜など、いい庭木も育っており、場所の記憶を継承したいという希望を新築の条件として計画が練られた。
プログラムは、演劇公演やワークショップ、展覧会などに使えるスタジオ・ギャラリーとオフィス、施主家族とその母ための2世帯住宅、来客用の外部スペースと、家族のための庭が、音と視線で分離しながら、どこかで気配は伝わってくることが要求された。建築の構成は道路に対しスタジオを前面に、住居のボックスを奥にずらして平行に配置し、ふたつをつなぐものとして、オフィスが組み込まれた玄関ポーチのボックスを配置した。この玄関ポーチのボックスは、旧宅の記憶として下見板の外壁の仕上げとともに、道に対しふれていた角度を採用し、16度ふれて、スタジオや住居のボックスに貫入している。下見板とこのふれた角度は、住居ボックスの母の居間の部分でも出現し、南面の日射をふんだんにあびる日溜まりの空間をつくりだしている。
レッドベリースタジオのネーミングはオンコ、カリンズ、ラズペリー、千両、ナナマカドなど、この敷地に伝わる赤い木の実、草の実にまつわる施主の個人的思い出からとられている。「演劇の街八軒・琴似界隈」の核として、再建されるコンカリーニョとともに、地域に育っていってほしいと願うものである。