2001
まつ風 MATSUKAZE
所在地
主要用途
構成
規模
設計
施工
北海道北広島市中央6丁目8番地7
店舗併用住宅
姉妹+母親
建築面積・132.39F 延床面積・132.67F 木造地上1階建 
柳田良造・大橋拓 
札建工業株式会社
掲載:北海道建築作品発表会作品集2001
 敷地は北広島駅東口から近く、西側が将来公園になる予定の空き地に面し、北側は寺の境内に接する。駅前再開発による、住宅の移転建て替えに際し、施主の娘さんが喫茶店を始めたいという希望がもちあがり、店舗併用住宅の構成となった。
配置計画は、敷地にあった4本の楓の木をいかすことと、平屋建てで住居と店舗部分(喫茶店、茶室、ギャラリー)を動線上分離しながらも行き来もできるプランをさぐることからはじまった。まず最初に、一番大きな楓の木を取り込んだ中庭の位置がきまった。次に、住居と店部分を分離し、メインの動線になる通路を前面道路からまっすぐ敷地の奥まで通す軸が決まった。この軸にそって、向かって左側が喫茶店、中庭、茶室とう連なりになり、右側が住居部分となった。この軸の空間は普通の天井の倍の高さがあり、高窓から採光し、エントランスを入った壁はギャラリーとして使われるように考えられた。住居の玄関部分で一度通路巾が絞られたこの空間は中庭に面したところで再び広くなり、住居の縁側になるとともに茶室への露地になる。茶室は2畳中板の小間で、壁は和紙張りに柿渋塗りで仕上げている。入り口から奥まで通り抜け、土間仕上げで高い天井をもつこの空間は町家の通り庭の応用である。店と住居というプライバシーによる分離を必要としつつも、なにかしら気配を感じる必要もある関係を解く装置として、専用住宅でも応用可能な構成であると考えている。
外部は喫茶店部分が下見板に焦げ茶の塗装、住宅部分が赤の鋼鈑、茶室部分がガルバニウム鋼鈑の張られた3つの箱と通り庭部分の高窓連続のそれぞれ分節化された要素の組み合わせからなる。夏訪れると成長した中庭の楓や住宅の南面に移植した庭の緑が、分節化した各部分をつないで、気持ちのよい場を生じさせているのを見るのはうれしいことである。