当別里山田園づくり構想


・・・里山とは
当別の里山は南に平坦な農地、後ろになだらかな丘陵を背負ったひだの多い山裾の部分にあたる。松などの針葉樹、ナラやカエデなどの広葉樹の林と、畑や草地、田園住宅地に使える平坦部と点在するため池、自然豊かでありながら人間の手が入ることにより親和性をさらに高めることのできる環境である。
里山とは農業生産など人の営みに連動して、薪・炭の生産、落ち葉や腐葉土などの有機肥料の供給源として、歴史的に人間が手を加えることによって成立した林地のことである。里山=里+山、人間化した自然ともいえ、日本の国土の25%をしめるともいわれる。雑木林、アカマツ林、茅場、山裾の竹林、鎮守の森、栗園、梅園、棚田、ため池、小川。日本人の故郷イメージのもっとも基本部分を作ってきた環境である。確かに北海道の里山環境は、「人間化した自然」という意味では未だ野生の割合が大きい。しかし比較的早く明治の初めには開拓の入った当別町当たりでは、水田や畑などの利用の他、神社の杜、薪炭のための林や灌漑や養殖のため池利用、子供の遊び場としても、里山環境はここ20〜30年前までは、人々の暮らしと広く関わりをもって存在してきた。

・・・里山環境の状況

  当別の現在の里山は、夏は熊笹や雑草が生い茂り、残念ながら人がはいっていける環境にない。逆に冬、スノーシューやクロスカントリースキーで中に入り、小動物を観察したり、高台からの眺望を楽しむことができるほどである。せっかく身近な位置に自然がありながら、十分に活用できない状態になっている。環境資源が未利用な状況で放置されているのである。
 さらに里山は深く生活との係わりをもっていた時代は、林地だけではなく、草原的植生も広く分布しており、生態系としても多様な様相をもっていたと言われる。里山の利用が失われて以降、植林が進み一見山は緑豊になったが、照葉樹林や竹林が繁茂するなど、植生は多様性を失いはじめ、動物などの種も近年まで見かけたものが姿を急速に見せなくなり始めている。

・・・里山環境の再生はなぜ必要か

 里山の再生は、次の5つの点から必要性が語られる。●生物学的視点−生物多様性の回復−、●文化や伝統の継承、●子供達の教育やレクリエーションの場として、●資源の有効利用を考える視点から、●国土に広がりをもたせる視点から。
 現在、 自然へのふれあいの機会を増加させる意味で、かって身近な環境であった里山環境への、近年日本の各地で試みられている再着目は重要である。しかしかつての多様な生業や生活との関わりが失われているなかで、その保全・整備の手法は未だ手探り状態である。ボランティアによる里山手入れへの取り組みは、その意義は高いとしても、国土の25%の面積をしめると言われるその環境を保全・活用していくことはとても、パワー的に不可能である。
 新たな方法論が求められているのである。今回の当別での事業の目的はまさにそこにある。
<新しい発想の里山のデザイン>
この当別金沢の里山を対象にした新しい発想の里山づくり構想は、●里山の林を活用した牛が拓く自然公園構想、田園住宅づくり構想、●新規就農交流による元気のある農村づくりの<環境>、<田園居住>、<農業>の3本柱による、環境重視・環境立地型の地域づくりの発想である。
里山田園づくり構想図