省力、多収の「里芋」「八つ頭」作り

美味しく、育てやすくて、保存もでき、健康にもよい「里芋」を皆さんも家庭菜園で育ててみませんか?
ここで紹介するのは出来るだけ苦労せずに多収が期待できる家庭菜園向けの方法です。

特徴
 熱帯アジア生まれで、寒さ、乾燥に弱い野菜です。
正直言って、栽培期間が長く、一株でも相当場所を取ります。あまり狭い菜園にはお勧めできません。
ちょっと広めの菜園ならとても便利な野菜です。

美味しさ
 里芋って、こんなにねっとりとして、木目細やかで
おいしいものだは・・・。自分で育ててみて初めて、認識しました。
特に、味噌汁に入れたり、蒸して味噌をつけて食べると美味しいです。
手軽に、サランラップで皮のままの里芋を包み、電子レンジでチーンとするだけで
皮をむき、味噌をつけて食べてもいいですよ。
収穫後、保存できるので長期間、美味しさを楽しめます。

育て安さ
 毎年30株ほどを8mの2畝に育てていますが、とても一家五人では食べきれないほど収穫でき、
親戚、知人への贈り物にも最適です。無農薬でも大丈夫です。

健康効果
 里芋(さといも)の主成分はでんぷん質であるが、水分が多いので芋類の中では低カロリーで、
里芋独特のぬめりが、以下のように特に健康に良い成分を多く含んでいるそうです。

・医学健康サイト J-Medical より引用
 「里芋独特のぬめりは、水溶性食物繊維であるガラクタンとムチンによるもので、炭水化物とたんぱく質の結合したものである。
脳細胞を活性化させ痴呆やボケを予防する効果があり、免疫性も高め、がんの発生・進行を防ぎ、
風邪の予防にも働く成分である。 さらに消化を促進する作用もあり、整腸と便秘の解消に大変効果的だ。
また里芋には、体内の余分なナトリウム(塩分)を排出し、高血圧やむくみを防ぐカリウム、
糖質の分解を助けるビタミンB1、便通を促し、体内のコレステロールや毒素を排泄する食物繊維などが豊富に含まれている。
胃腸の調子を整え、食欲も増進させる効果もある低カロリーの里芋は、
便秘で悩む方、ダイエットしたい方、健康を考える方にお勧めの食材である。」



とても幸運な出会い
家庭菜園を始めたい、継続したいと考えている人の最大の問題は畑をどう借りるかですよね。

 現在は自宅の東京都羽村市の隣の「あきるの」市に家庭菜園を借りて野菜を育てています。
もともとは400坪ほどの栗林だったところを、5年ほど前に地主さんが
家庭菜園用に切り替えた畑です。
地主さんの古くからの知人、親戚等、10軒ほどが借りて楽しんでいます。
 
 最初5,6年前初めて市民農園を借りて、家庭菜園を始めました。
しかし、狭いし、2年だけしか継続できず、申込者多く、抽選ではずれてしまいました。
はずれたときはホントにガッカリしました。
1年以上ずっと、探し回っていましたが、なかなか見つからずに、困っていました。
色々な人に声を掛けていたところに、近所の人から
「今度、知っている人が栗林を家庭菜園にして、親戚、知人でやりたい人をさがしているよ」
という話を聞き、「是非紹介してください」とお願いしました。

 「1区画30坪(1畝)単位で、何区画でも好きなだけ借りてください」
と言われ、市民農園では狭くてうまく育てられない野菜も多く、どうせなら広い方がいいだろうと思い、
「それじゃ、3区画お願いします」
と、なんと90坪も借りることにしました。ちょっとサラリーマンには広すぎた。
現在は60坪に減らしてます。
現在は9軒の家庭が借りています。平均50坪の広さです。
これぐらいが家庭菜園としては無理なく、楽しめる適当な広さではないでしょうか?

 初めて畑に連れて行ってもらったとき、トラクタであらかじめきれいに耕されていました。
畑の隅に、プレハブの小屋もあり、個人の農具も置かしてくれてます。
電気も使えるようにしてくれました。
紹介してくれた近所の方、そして地主さんに感謝しています。



我が家では生ゴミはこの6年間、捨てたことはありません。  もったいなくて・・・・

 生ゴミは全て肥料として畑の土に還元しています。
これも、今、注目されている循環型ライフスタイルですよね。

 方法は、米ぬかとEM(有効な微生物:Effective Microorganisms)を用いて、
生ゴミを漬物状態にしてから、土に埋めるだけです。
市販のEM発酵用のプラスチックの容器を用いています。(写真あり)
このEMで生ゴミがとてもよく効く肥料に大変身!  (詳しくは小生のHP参照)

 また雑草や、野菜の残渣なども生ゴミのEMボカシと一緒にして
堆肥代わりにすべて畑にもどしています。
 里芋には土が酸性の方が調子いいようで、石灰、あるいは苦土石灰は混ぜていません。


  上記EMボカシ肥料と有機肥料入りの家庭菜園用の化成肥料を
 元肥料として使っています。
 ボカシは植え付け1ヶ月前、化成肥料は4月種芋を植え付けるとき元肥として
 種芋と種芋の間に一握りほど少なめにやります。

  追肥として化成肥料を6月から8月ごろ2回。
 里芋は追肥料をたっぷりやるとよく育ちます。




保存した芋を活用
 種芋は以前は毎年、園芸ショップなどで購入していたのですが、値段も安くないので、
2,3年前からは前年の秋、収穫したものを穴に掘って埋めて、冬の間保存したものを
使っています。
購入したものと変わりなく、毎年よく収穫できます。

 毎年、普通の里芋20株、八つ頭10株分の種を残しておきます。
出来るだけ大きく、寒さで痛んでないものを選んで植えます。
痛んでないかはちょっと手で押さえてみて、硬くしっかりしていれば
大丈夫です。
 
 種芋植え付けの時期は、4月から5月ならいつでも良いようですが、寒さに弱いので
4月中旬以降が種植えの適期です。

  里芋としては2種類(石川早生(わせ)と土垂(どたれ)と八つ頭です。



 畝幅はどの野菜も1.4mに統一しています。
このほうが利用するマルチ1.35m幅、寒冷紗1.8m幅、フレーム等が統一でき、
畝に番号をつけて毎年どの畝に何を植えたか記録するのに
便利です。

畝の高さは平畝で、10cmぐらいです。


 
 植え付けの間隔は広く、広く
 1.4m畝幅に1条植えで、株間は最低でも50cmと広くします。
株間が広いほど、株も大きく成長し、座布団のような大きな葉が夏には付き
1株あたりの収穫量は多くなります。(写真あり)

 深さ10cmほどの植え穴を掘り、芽が出る方を上にして種芋を1個そのまま埋めます。
初めての方は芽がどちらから出るのかわかりにくいのでよく見てください。
中に少し芽が出掛かっている種芋があれば、わかります。

 植えた種芋の間に家庭菜園用の肥料を一握りまとめて、入れた後、土をかぶせ、
平らにならした後、穴のあいてない135cm幅の黒マルチをすっぽりかぶせます。
このときはまだマルチに穴はあける必要はありません。

 家庭菜園であまり広くない時は、購入種芋の数を少なくすることが大切です。
たくさん購入してしまうともったいないからと、どうしても全部植えてしまい、
株間が狭くなりがちです。

 今の畑の前、市民農園で10坪ほど借りていたときは、里芋を作ると
他の野菜ができなくなり、あきらめてました。

 植え付けの間隔は広く、広くがポイント。ものすごく大きくなることを想定して植えましょう。
風通し良く、日当たり良好なら、病気にも害虫にも強いのは他の野菜と同じですね。

 種芋を植えつける時は、必ず黒マルチを
 黒マルチは、土の温度を上げる、肥料が雨で流出しないでよく効く、
夏の乾燥を防ぐ、雑草から株を守るという理由から
是非試してはいかがでしょうか?
最初は大変かもしれませんが、その後収穫までの手間が楽になり、
収穫が2倍ぐらいは違うと思います。

 以前、ちょっと油断していたら雑草で目も当てられないほど畝の
両側が覆われてしまいましたが、
マルチのおかげで収穫には全く影響ありませんでした。(写真あり)


発芽したら黒マルチの穴あけ
 植えつけて1ヶ月ほどで、5月頃に芽が出てくると、黒マルチを押し上げて、
テントの先のようにわずかに突き出てくるので、見つけ次第、
直径10cmほどの穴をあけてやります。
マルチの穴をあけた直後の芽は白っぽく弱々しいのですが、
数日で緑の元気な色になります。



 一番、手がかからない丈夫な野菜の一種だと思います。
 夏から秋には驚くほどの大きな葉の株になります。(写真あり)
太陽のエネルギーをたっぷり吸収して、芋に蓄えられるのでしょう。


簡単な追肥方法
 黒マルチをしていますので、株から離れたところに畑でよく使う太目の支柱の先をずぶりと
マルチの上から突き刺し、20cmほどの深さの穴を1株あたり、2箇所ずつあけます。
根に直接肥料が当たらないようにしてください。
その穴に菜園用の肥料を一握りずつ流し込みます。
収穫までに1、2回、6月〜8月の間に追肥を行います。

 真夏の暑い時期に、いちいちマルチをはがして、追肥し、またマルチを埋め戻すのは
とても大変な作業ですが、この方法なら楽にできます。
追肥のとき、一度、マルチの上からで構わないので、株元にスコップか平鍬を用いて土寄せを
してあげると株元の乾燥防止にもなります。

 葉の色が少し黄色くなり、茎が垂れてきたら、10月ぐらいから収穫できます。

 試し掘りをして、一度に食べる量だけ、一株ずつ収穫します。
最初のうちは収量は少ないのですが、初物の里芋が楽しめます。

 11月か12月のはじめ頃、1回霜が降りる頃、全部堀上げます。
この頃になると、収穫量も一株でバケツ1杯ほど、子芋50個は取れます。(写真あり)
保存用に株のまま、一輪車に3,4株を乗せ、運びます。とても手では重くて運べません。

 普通の里芋と比べ、八つ頭の方が、芋の肥大は遅く、1回霜が降りるころまでたってからの方が良いようです。



里芋の堀上の方法
 茎を切り取り、マルチをはがした後、
株の片側だけ深く掘った後、株の反対側から鍬を入れると
一株分、芋がばらばらにならず塊のまま、きれいにポロンと穴のほうに転がり落ちます。(写真あり)

収穫した里芋の保存方法
 畑の隅にちょっと深め(80cmほど)の穴を掘ります。
収穫した株は小芋をばらさず、上下ひっくり返して穴の底に並べて、
土を50cmかぶせ、ビニールなどで表面を覆います。(写真あり)

 こうしておくと、次の年の春の植え付けまで保存できます。
冬から春までの間、4ヶ月間、毎週、食べる分だけ掘り出します。
また、春の種芋としても利用できます。

 里芋はなんと言っても黒マルチをうまく使うことです。
 農業資材の専門店にいけば200m長、135cm幅の黒マルチが
2000円以下で手に入ります。
これだけで収穫量は2倍ぐらい違うと思います。
里芋に大敵である乾燥防止、肥料の流出防止にマルチをしておけば効果大です。

 真夏の雑草との戦い。

 畝は黒マルチをしているので、里芋の生育に関しては大丈夫ですが、
畝と畝の間の雑草がものすごいです。
エンジン付き草刈カッターできれいに刈っても1週間もしたら30cmは伸びています。

 昨年から試しに、一部、畝と畝の間にも使い古しの黒マルチを敷くようにしています。
こうすると夏の猛烈な雑草の勢いが8割がた押さえられます。
それでもマルチの隙間や破れから雑草が生えてきますが・・・
今年はすべての畝と畝の間にも敷こうと思います。
毎年、家庭菜園での雑草に困っている方にはお勧めです。



里芋は、間隔を広く植える、黒マルチをする、追肥を多めにあたえることを
すれば、あまり手をかけずに、無農薬で育てられます。


 連作障害の心配はありません。無いと思います。


 保存した里芋は全部食べてしまわないで翌年の種芋用に残しておくこと。

「八つ頭」とは?
  皆さんは、ご存知の方が多いでしょうが、私は数年前までしりませんでした。
 「八つ頭」は普通の里芋と違い、茎が赤いので見分けられます。(写真あり)
また八つ頭は、芋だけでなく、赤い茎も食べられます。
私の家では芋よりもむしろ茎の方が好きで育てているほどです。

 芋も八つの頭が寄せ集まったような本体の平べったい芋とその下に付く小芋があります。
ホクホクした食感でねばりは里芋ほどありません。
種芋は小芋を使います。育て方は里芋と全く同じです。


「八つ頭」のイモガラ作り

 数年前、今の畑を紹介してくれた近所のお宅で初めてご馳走になり、とても気に入りました。
イモガラともズイキとも呼ぶようです。

 八つ頭の収穫の時、茎を根元から切り取って、葉を切り落とします。
その茎の皮を剥いで、カラカラになるまで2週間、天日で乾かします。
皮を剥ぐのが面倒で、指先が赤く染まり、痛くなるので手袋をして、音楽でも聴きながらおしゃべりしながらの作業に最適です。

 乾かす時、あまり日当たりのよくないところではカビが生えて失敗してしまったという話もききました。
からからに乾燥させると、当初2,3cmの太さの茎も5mmほどに細くなります。
こうしておくと2年間は保存して食べられます。(ズイキ、イモガラとも呼びます)(写真あり)
イモガラに加工したものを買うと結構高くて、100g入りの袋で500円もしてました。

イモガラ調理法

 たっぷりの熱湯の中へ3分から5分くらいいれ、湯で加減を好みの硬さにして、水洗いします。
水気を取って、油炒め、おひたし、酢の物、煮物にします。
シコシコとした歯ごたえがたまりません。


 
家庭菜園を楽しむ人は皆、「愛妻家」です。   ・・・おっと間違い! 「愛菜家」です。
 「老若男女」が、畑で鍬を握り、野菜を作って、楽しんでいます。
 以前、広い畑の真ん中で焚き火を囲んでの芋煮会に私も招待されました。(写真あり)
里芋やニンジン、大根の入った味噌汁や、八つ頭がおいしく3杯もいただきました。
いつもは静かな畑も、笑い声で賑やかでした。

 週末に、畑に行くと必ず何か新しい変化があり、発見があり、
同じようなミドル、シニア、シルバークラスの人との出会いがあるので、毎週末は楽しみです。
花でも野菜でも雑草でも木でも、植物と触れあっていると心が落ち着き、
ゆったりした充実した気持ちになれますよね。皆さん!

 「ハネの村」は、東京の西のはずれ、羽村市を中心とした小さな小さな仮想の村です。
せめて週末だけでも、あるがまま、自然のなかで生きる、手作り、自給自足、循環型生活をすることを理想としています。

・季刊誌「菜園王」2005年夏号(6月発売)にハネの村のサトイモづくりの投稿記事が掲載されました。
 広告が全く無い家庭菜園愛好家向けの最近では珍しい手作り感覚の雑誌です。

 以下はそのオリジナル原稿全文です。掲載されたときは、雑誌社の方が文章を手直ししてくれ、
レイアウトやタイトルもふさわしいものに変わり、もっと簡潔になってすっきりしています。
質問に答える形式で記載していくといつのまにか文章ができあがります。皆さんも一度投稿してはいかがですか?

「菜園王」原稿

スライドショー(上のボタンを押すと始まります)

植付して成長、収穫、そして保存まで

投稿者&菜園愛好家