〜約束のために〜



作・葵様


十四話


 小さな親切大きなお世話という言葉がある。
 親切や思いやりでしたつもりが、相手にとっては不快だったりすると言うことだ。
「いいから診せろって言ってるだろ?」
「いや」
 今の状況にふさわしい言葉に思える。しかし、そうと分かっていても止められない人種もいるらしい、九峪がそれだ。
「診なきゃ治療も出来ないだろうが」
「頼んでない、あんたが勝手にやってるだけ」
「怪我人を放っておけないんだよ」
「あんたには関係ない」
 ・・・この珠洲という少女は私の見たことの無いタイプの人間だ。と言っても私の知る人間など数少ないが。
 横になっている珠洲と看病をしている志野を見つけたのはついさっきだ、その時の珠洲はひどく弱弱しかった。しかしこちらに気づいた途端に雰囲気が変わった。
 なんと言えば良いのか・・・ふてぶてしくなったというか表情が乏しくなったのだ。
 その点で言えば清瑞に似ている。違いは清瑞を氷の人形とすれば珠洲は氷の刃だ、しかも先端には毒が塗ってある。
 清瑞は傷ついた者がいれば見捨てるだけだろうが、珠洲は傷口に塩を塗りこんできそうだ。
 ・・・ん?・・・私はどこでこんな言葉を覚えたんだ?まぁ使い方は間違っていないだろう。
 と、そんな事を考えていると後ろのほうから足音が聞こえた。
「おーおー。まっ、そんなことだと思ったよ」
 この声は、織部だ。
「やっぱり苦労してるねぇ・・・珠洲が相手じゃ仕方ないか」
「どういう意味?」
「別にぃ・・深い意味は無いよ」
 無表情のまま織部を睨む珠洲、しかし睨まれている織部は気にした様子は無い。
「あんたも頑固だね?怪我くらい見てもらえば良いじゃないか」
「嫌、どこの馬の骨とも知れない奴に触られたくない」
 目の前ではっきりとそんな事を言う、九峪も苦笑するしかない。
「珠洲、そんな事いわないで見てもらいましょう?ね?」
「志野・・・怪我なんて大したこと無い、だからこいつを」
 そう言って九峪を指差す。
「速く追い出したほうがいい」
 かたくなにそう言い続ける、その様子に志野も困惑気味だ。
「こいつ呼ばわりは酷くないか?」
「あんたの名前なんて知らないし、知りたくも無い、だからさっさと出て行って」
 九峪の口からはぁ、とため息がこぼれる。
「ここには織部に呼ばれてきたんだけどな」
 つい、という感じでこぼれた言葉に珠洲が織部を睨んだ。
「おいおい・・九峪、てめぇあたしのせいにする気か?」
 苦笑いを浮かべた織部に、珠洲が口を開いた。
「余計なことをしないで」
 その言葉に、織部の表情が硬くなる。
「・・・何だって?人が心配してやったってのにその言い草は無いんじゃないかい?」
 珠洲の言葉はさすがの織部も許せなかったらしく、苛立ちもあらわに珠洲を睨みつける。
 しかし、珠洲は織部の言葉に対して不快そうに眉をしかめる。
「そっちが勝手に心配しただけ、それにあんたになんて心配されたくなんかな」
 パァン
 言葉はそんな音に断たれた。音の元は珠洲の頬、見ると目を見開き固まっている珠洲と無表情になった志野の姿があった。
 どうやら志野が珠洲の頬を叩いて黙らせたようだ。
「謝りなさい」
 冷たい、先ほどまでとは別人のように冷たい志野の声、ビクッと珠洲の肩が揺れた。
「織部に、あなたを心配して薬草を探して一刻(約二時間)も外を歩いてくれた織部に・・・謝りなさい」
 氷のような志野の言葉に、私は正直言って恐怖を覚えた。
「・・・ごめんなさい・・・」
 ついさっきまで憎まれ口を言っていた時とは別人のように小さな声、それでも志野の様子は変わらない。
「私に言ってもしょうがないでしょう?」
 そう言われて織部に向き直る珠洲。
「ごめんなさい」
「い・いや・・・別に構わないよ、確かに私が勝手にやったことだし」
 志野の変わりように呆然としていた織部が慌ててそう言うと、ようやく志野の様子が変わった。
 下を向き落ち込む珠洲をやさしく抱きしめる。
「叩いたりしてごめんね、珠洲」
 自分が叩いた頬を撫でながら話す志野の顔は慈愛に満ちていた。
「でもね、心配してくれた人にさっきみたいな、傷つけるような事は絶対に言わないで、お願いだから約束して」
「・・・わかった」
「本当?」
 コクッと頷く珠洲を見て安心したのか、ゆっくりと珠洲から離れる。
「約束・・・忘れないでね?」
「忘れない」
 短く、少しそっけない珠洲、しかし志野は満足したかのように頷く。
 この二人にはさっきのやりとりで十分なのだろう、私は二人の絆が少しだけ見られた気がして、少し・・・嬉しかった。
「それじゃあ、診ても良いか?」
 場の雰囲気が和らいだのを確認して九峪がそう切り出した、が
「嫌」
「は?」
「さっきも言った、あんたなんかに見られたくない」
「え?あの・・・さっきの少し感動的な話はどうなったんでしょう?」
 何故か控えめな態度になっている九峪。
「あんたがそう簡単に傷つくとは思えない」
 その言葉に大げさなほど仰け反る九峪。
「あ〜あ・・僕ちゃん傷ついちゃったな〜」
 そう言いつつ、あからさまなうそ泣きをする九峪。
 何をしてるんだ?お前は
 志野と織部も呆れ気味だ。
「誰かさんが酷い事言うから、僕ちゃんの繊細な心に深い傷が」
 そんな事言い続ける九峪を珠洲は冷たく、そしてどこか同情したかのような視線を向ける。
「あんた馬鹿?」
「うわっ!本気でひでぇし」
 いや・・・今のは私でも同じ事を言ったと思うぞ。
「つーかこのままじゃ埒が明かないな」
「あんたが出てけば解決する」
 九峪のぼやきにすぐさま珠洲が返す、九峪はそれを聞き流すと志野と織部を見る。
 視線が合った瞬間、三人は申し合わせたかのように頷き合うと珠洲を囲んだ。
「えっ?」
「珠洲、ごめんね」
「な・何?・・きゃっ!?」
 可愛らしい悲鳴を上げる珠洲の後ろに回った志野が彼女を引き倒し両腕を押さえる。
「わりぃな珠洲、これもお前のためだ」
 バタバタと動く両足を織部が押さえた。
 口調は真剣だが顔はニヤニヤと楽しげに笑っているので説得力は皆無だ。
「さてと・・それじゃあ診るか」
 結果的に志野に上半身、織部に下半身を押さえられた珠洲はもはや抵抗できない。
 しかし・・・どうしてあれだけでこれ程まで自然に連携できるんだ?
 ・・・・・分からない
「何で?志野ぉ・・・」
「ごめんね、あなたのことが心配なのよ」
「だからって・・こんな奴に触られたくないぃぃ」
 情けない声でありながらも、言ってることは結構酷くないか?
 二人がそんなやりとりをしていた中、九峪はゆっくりと珠洲に近づいていき、おもむろに手を伸ばした。
「我慢しろって、直ぐに済ませるから」
 そう言って珠洲を見つめる九峪の声は、先ほどとは全く違い真剣味を帯びている。
「・・・・・」
 九峪の様子に安心したのか、それとも観念したのか、もはや珠洲も抵抗しようとはしなかった。
「まずは左腕から診るぞ?」
 確認するように声をかけてから珠洲の左腕を手に取る。
「痛かったら言ってくれよ?」
 ゆっくりと手首を回し始める、その様子を心配げに見つめる志野と織部。
「痛ぅっ!」
「ここが痛むんだな?」
 それは質問ではなく確認だったのだろう、そこが痛むことは聞かなくても分かるほど珠洲の反応は大きかった、それを見た九峪は次に反対向きに回し始める。
「んっ!」
「ここか・・・」
 またもうめく珠洲、九峪はそれを淡々と見つめる。
 それは真剣に診ているからなのだろうが、見ている者をどこか不安にさせる光景だった。
「・・・次は胴体だな」
 その後も何回か手首を診たあと、九峪はそう呟いた。
 それに、反応したのは何故か志野だった。
「あの・・九峪さん?」
 不意にかけられた言葉に、何事かと顔を上げた九峪。
「・・あの、言いにくいんですが、珠洲も、その・・女の子なんで・・」
「・・・?」
 志野は何が言いたいのだろうか?九峪も不思議そうにしている。
「・・・それで?」
「ですから・・・出来れば、あまり触らないであげて欲しいんです」
「いや、そう言われても・・・そんな事言ったら、ちゃんと診れないからね」
 九峪はそう言うと安心させるように笑みを浮かべた。
「医者にとって患者とはすべからく救うべきものである、そこには性別も、人種も、身分も関係ない、医者は自らの技術で救える患者を救い、その者を癒す事に専念せよ」
 一気にそこまで話すと、今度は珠洲に笑いかける。
「俺の読んだ本の受け売りだけどな、つー訳でお前に変なことは絶対しないから黙って安心してろ」
 なっ?と確認する九峪に珠洲はそっぽ向きつつ呟いた。
「・・・・何かしたら殺してやる」
 ・・・・多分本気だな。
「はいはい」
 私には本気の発言にしか思えない言葉を軽く流すと、おもむろに治療を再開する九峪、今度は志野も止めたりせず黙ってその様子を見つめていた。


 それから珠洲のほぼ全身を診て、包帯を巻くなどの治療も含め三十分ほどかかった作業も終わりに差し掛かっている。
「・・・よし!終わりだ!」
 そう言って一息つく九峪。珠洲も九峪の『医者の心得発言』(私が考えた)を聞いた後は意外と素直に指示を聞くようになり、志野と織部も離れた場所に居る。
「・・そうそう忘れてた、織部、悪いんだけど俺の荷物を持ってきてもらえるかな?」
「あんたの荷物?構わねぇけどどこにあるんだい?」
「確か・・・入り口の辺りに置いたと思うんだけど」
「あいよ、ちょっと待ってな」
 立ち上がると小走りで走っていく織部、それを見送った志野が不思議そうにしている。
「あの・・九峪さん?まだ何かあるんですか?」
「ああ・大した事じゃないから気にしなくても良いですよ」
 不安げにする志野にそう答える九峪、そこへ
「大したことじゃないのに、他人を使えるほどアンタは偉いの?」
「・・・お前って奴は・・・」
 珠洲の毒舌に何か言う気もなくした九峪、そこへ織部が戻ってきた。
「何してんだい?」
 確かに、勝ち誇ったかのような珠洲と、苦笑いを浮かべる九峪が見詰め合っていればそう思うだろう。
「別に、何でもない」
「そうかい?なら良いんだけどさ、ほら九峪!あんたの荷物だよ」
 そう言って九峪のバックを放り投げてきた。
「おっと、ありがとさん」
 バックを受け取り、中身をあさりだす九峪の様子を不思議そうに見つめる三人、代表して荷物を取りに行った織部がこちらに歩いてきた。
「・・何してんだい?その中に何があるっていうのさ」
「ん?ちょっと待ってくれ・・・っと、あった」
 そう言いながらバックの中から引っ張り出したもの。
「何なんだいそれは?」
「へへ・・ちょっとした遊びさ」
 いたずらっ子のように笑うと、ビニールの袋に入ったある物を手に立ち上がった。

  
ヒュ〜〜・・・パァン
 軽快な音と共に美しい光が夜空を舞った。
 色とりどりの光の軌跡に何人もの座員が歓声を上げている、その輪から少し離れたところ九峪は立っている。
<よくあんな物があったな>
「荷物をしまってる時に見つけたんだよ、本当は日魅子とやるつもりだったんだけど・・・まぁいいさ」
<狗根国の兵に何か言われないだろうか?>
「大丈夫だろ、旅の一座が異国の道具で遊んでるだけなんだから」
 なんとも楽観的な発言だが、おそらく九峪の中ではそれだけが理由ではないのだろう。
<まぁ・・お前が大丈夫だというなら別に良いが・・他にも話しがあるのだが、構わないか?>
 九峪も私が話があることには気付いていたはずだ、だからこんな所に一人でいるのだ。
<志野という女性・・・彼女は> 
「火魅子の資質を持っている、だろう?」
<なっ!?>
 私の言葉をさえぎり九峪が放った一言は、私自身が驚くほどの衝撃を与えた。
<な・何故・・>
「分かったかって?・・んなの勘だよ、カ・ン・・他にもあると言えばあるけど・・・そっちはイマイチ自信がなくてな」
 九峪の言葉の後半が少し気になったが、それより一つハッキリしたことがある。
<九峪が火魅子の資質が分かるというならば・・私が消える時が近づいた、ということだな>
「はぁ?何でそうなるんだよ」
<忘れたのか?私は本来お前に情報を伝えるだけの存在なんだ、つまりお前が私の情報の必要性を感じなくなったとき、私の存在意義は消える>
 そして、九峪の無意識下で作られた私は・・・消える。
「・・何でそんなに冷静なんだよ!お前は!?」
<仕方あるまい?私は本来なら存在しえ無かった意思なんだ、むしろ九峪の役に立たないという理由なら私も納得できる>
「何だよそれ!?」
<・・・仕方・・・ないんだ・・私が納得しているんだ・・お前も納得しろ>
 そう・・・私が消えるのは仕方が無いこと。
 人間とていつかは死ぬ、病気や寿命、事故などの様々な理由で、私の場合はそれが情報源として役に立つか立たないかだった、それだけだ。
「・・・・」
 九峪はまだ納得できていないようだが、何も言えないらしく黙って俯いてしまった。
 正直言えば・・私とて消えたくは無い。
 当然だ、人造の意思だとしても『死』は恐ろしい、何よりも私は出来る事なら九峪が死ぬまで九峪と共にありたい。
 私を生んだから、などという理由ではない、以前に私が九峪の心の深層部に触れた時、私は九峪の中に、『闇』を見た。
 何よりもその中に宿る『怒り』と『悲しみ』そして、それらが生む・・・深い『苦しみ』
 それらに触れてしまって以来、私は九峪の心に触れていない。
 何故なら、恐ろしかったから・・・『闇』に囚われてしまいそうで・・・
 だが、私は同時にそれらを宿す九峪を何とかしたいのだ、出来ることならば彼を支えたい、共に歩みたい、それが出来ぬなら・・共に苦しみを分かちたい。
 しかし・・私には先ほどの志野が珠洲にしたように抱きしめたり、温もりを与えたりといった事は出来ない・・私には肉体が無いのだから。
 笑いあうことすら私には許されない、九峪と共にいると私は二つの思いに潰されそうになる、苦しい・・・辛い・・・
 それならばいっそ・・消えてしまいたい・・・・
 考えてみれば私が生まれて、まだ二日しか経っていない。
 だが私はいくつもの体験をした、仲間を思う心を見せてくれた伊万里、震えるような緊張を感じた初めての実戦、『自らの考えを悩む』という人間らしさを見せてくれた星華、そして家族を愛する姿を私に教えた志野と珠洲。
 そして様々なことを教えてくれた九峪。
 自分の名を考え、これらの経験をした私は確実に『人』に近づいていると思っている・・・だが。
 ・・・いくら近づいても私は『人』にはなれないし肉体だってありはしない。
 その事が、私をさらに苦しめる・・・これから私という存在がなくなるその時まで。
 だからむしろ・・出会わなければ・・・・生まれてこなければ・・・
「九峪さん、こんな所にいらしたんですか?」
「ああ・・志野さん、何か分からないことでも?」
 私の思考はそこで止まった、いや・・・止めた、の方が正しいだろうか。
「そんなんじゃありませんよ、何でこんな所にいらっしゃるんですか?」
「・・・ちょっと考え事があったから・・一人になりたくなって」
 軽い口調だが頬が引きつっているのが私には分かる、やはり私のせいだろうか?私は九峪をも苦しめているのだろうか?
「そうなんですか、それじゃあ・・お聞きしたいことがあるんですけど、よろしいですか?」
「?・・・別に構わないけど・・」
 九峪が頷くと志野は安心したのか、ほっと息をついた。
「あの・・お聞きしたいのは先ほどの事なんです」
「さっきのこと?」
「はい、率直にお聞きします、何故あんなにも親身になって珠洲を診ていただけたのでしょうか?」
「は?」
 九峪は間の抜けた返事をしたが志野の表情は変わらない。
「どういうこと?」
「どうもこうもありません!そのままの意味で受け取っていただいて結構です」
「・・・・・要するに、何か目的があるんじゃないかって、聞きたいのかな?」
「・・・失礼ですが、そう言う事です」
 たっぷり時間かけた九峪の言葉に志野ははっきりと頷いた。
「あ〜〜・・特に理由はないって言っても信じないだろうな」
 頭を掻きながら答える九峪、それを見つめる志野の表情は氷のように冷たい。
 確かに耶麻台国亡き後、この地は危険な場所となった。
 街の外に出れば騙し騙されが当然となり、弱い者は強い者に支配されるそういった社会、その中では九峪の行動は不審なものとされても仕方がないのかもしれない。
「・・・・・答えなきゃ駄目かな?」
 九峪がそう言うと、少しだけ志野は微笑んだ。
「いえ、答えられないのなら構いません、私個人としては貴方を信じたいんです、でも」
 再び志野の表情が変わった、ただし今度はどこか辛そうだ。
「座長代理として素性も知れない、目的も分からないでは信用する訳にはいきません」
 凛とした声でそう言う志野に九峪は困ったように笑う。
「・・・・・約束したんだよ」
「約束・・・ですか?」
「ああ、お人好しの親友兼命の恩人の女性とね、『自分が助けられた命は全力で助ける』ってさ」
 恥ずかしい過去を話すよ、そう前置きをすると九峪はおもむろに話し始めた。
「昔ね、親父と喧嘩して飛び出したことがあったんだ。その時にヘマしちゃって死に掛けたんだよ。そん時に助けてくれた人にさ、別れ際に言われたんだよ、『貴方の力を人を救うために使って』って。その約束を守るために色々勉強したりして今の俺が居るって訳」
「その約束のために珠洲を助けたんですか?」
 そう尋ねる志野の表情はまだ暗い。
「信じられないみたいだなぁ、今のは理由というより俺にとっての行動原理、助けた理由なんかないよ、助けられる人を助けるのに理由なんか要らないと思うからね」
「分かりました、助けた理由はそれで良いとします、ではこの街に来た目的をお聞かせ下さい」
 プライバシーもなにも有ったものではないな、これは。
「目的?えっとね、知り合いが近くに来るはずなんだよ、そんで合流出来るまでの拠点にしようかと思って」
 要するに火魅子、じゃなかった日魅子と合流するまでの時間つぶしだ。
「知り合い・・ですか?」
「そっ・・そいつとも約束してることがあってね、それを守る為にも会わなきゃいけないんだよ」
「・・・・」
 九峪の言葉を聴きそれを吟味するかのように黙考する志野、時間にして二、三分ほど考え込んだ後、彼女は表情を変えにっこりと笑った。
「分かりました、九峪さんの言う事を全て信じます」
「そうかい?助かるよ、でも何でこんな事を?」
「それは「お〜い志野ぉ〜座長ぉどこだぁ〜」・・この声は織部姉さん」
 志野の言葉をさえぎってそんな声が聞こえた。
「こっちよ!織部姉さん!それと私は座長代理ですからね!」
 「そっちに居るのかい?」とそんな返事がして少したった後で織部がひょっこり顔を出した。
「おっと・・九峪も居たんだね、って事は座長、九峪は合格って事だね?」
「ええ、そうよ織部姉さん、あと私は座長代理ですって言ってるじゃないの!?」
「なぁ、合格って何のことだ?」
「そうかそうか、って事は九峪も入れて宴会といこうか!」
 九峪・・・黙殺。
「それも良いわね、丁度明日からの興行の成功の前祝といきましょうか!」
「よしそうと成ったらあたしは肴を見つけてくるよ」
「なぁ合格って・・」
「それじゃあ私は皆を呼んでくるわ」
「よしよし、今夜は上手い酒が飲めそうだね」
 九峪・・・撃沈。
「もう・・・良いよ」
<そんな事で不貞腐れるんじゃない、頑張れ九峪!>
 そんな事をしているとようやく二人が九峪の様子に気付いた
「どうかしたのかい?九峪」「どうかしましたか?九峪さん」
 自覚が無いのか・・・そっちの方が酷い。
「もう良いんだ・・・俺なんて・・」
「何訳分かんないこと言ってんだい!ほら行くぞ」
「織部姉さん!宴会なんて久しぶりね、楽しみだわ」
 九峪を引き摺る織部とやけに盛り上がっている志野。
 引き摺られる九峪の胸の内で私は・・今を楽しもうと思った。
 悩むことは・・・何時でも出来るから、今を全力で生きよう。
 そう・・・思った 


後書き
 お久しぶりになりますでしょうか?葵です
 今回は今までの話の中で一番が長いです。ワードで16ページかかりました。
 中身はどうでしょう?
 実は前半と後半で書いた日付が二週間近く違うんです、その所為か話の雰囲気がずいぶんと変わってしまった気がします
 それと今回は焔が前に出てきました、まぁオリキャラなんでどうしても動かしちゃうんですよね。
 ちなみに焔は現在の時点では性別はありません、よって九峪にとって親友キャラになるかそれとも恋人キャラになるかは分かりません、ハッキリ言って未定です。
 それと一つ報告があります、私は高校二年生で部活動に入っており、課外授業もうけ、更には進学も考えておりますのでこの先更新が遅れ気味になります。
 連休や夏休みになれば少しはマシになるんですけど、それまではどうしても遅れます。
 出来るかぎり更新は急ぎますので見捨てないで下さい
 ではまた次回のお話で・・・



 やっぱ、普段は優しくても、悪いことは悪いと甘えを許さないのが志野ですよね。ばっちり決めてるようでどこか情けないのも九峪(ぇ
 オリジナルキャラの焔ですが、回を追うごとにキャラの肉付けができてきてて、いい感じですね。自分で動かせるようになったキャラは生き生きとしてますから^^まあ、オリキャラが既存キャラを食う活躍をするのはどうかとおもいますが・・・この焔は、ちょうどいいバランスがとれてるようにおもいます。

葵さん、学校優先でがんばってください♪

質問 〜約束のために〜第14話の感想をお願いします

おもしろかった
ふつう
つまらなかった
その他質問要望など

コメント(最大350字)




結果 過去ログ Petit Poll SE ver3.3 ダウンロード 管理