耶麻台国最終兵器シリーズ1

  志野の悲劇


                                     作・ビック様


 うふ

 うふふふふ♪

 耶麻台国の兵士は怯えていた。

 あの珠洲が

 いつも無表情で感情を滅多に表に出さないあの珠洲が邪悪な笑みを浮かべて歩いているのだ。

 心なしか背後に黒いオーラが見える。

 『触らぬ神に祟り無し』

 兵士達は皆「見なかった事にしよう」という結論に達していた。


 (やった!)

 (ついにこの時がきた!)

 (思えば長い道のりだった!)

 (ついに、ついに志野が私だけの物になる日がきた!!)


 珠洲の手には小さな袋が握られていた。

 袋の真ん中には○の中に「忌」の字

 その袋にはこう書かれていた。


 『忌瀬印の惚れ薬!!』 


 最近の珠洲は機嫌が悪かった。

 耶麻台国軍に入ってからというもの
 いや、九峪が現れてからというもの志野に構ってもらえなくなったからだ。

 いつもいつも九峪が志野の所に遊びに来て二人だけでどこかにいってしまうのだ。

 九峪も馬鹿ではない。

 必ず珠洲のいない隙を見計らって志野を誘いに来てるのだ。

 志野も満更ではないのか帰ってくると満足そうに笑顔を浮かべている。

 珠洲にとってこれほど面白くないことはなかった。

 珠洲は悩んだ。

 どうすれば志野が私だけを見てくれる様になるのか。

 どうすればいいか悩んでいると、楽しそうに薬を作っている忌瀬が目に入った。

 「何作ってるの?」

 「ん〜〜、あら、珠洲ちゃんじゃない。」

 「ちゃん付けしないで……で、何作ってるの?」

 忌瀬の目が「良くぞ聞いてくれました!」と言わんばかりに輝く。

 「ふふ…気になる!? 気になるのね!?
  いいでしょう。
  そこまで知りたいのなら教えましょう!!
  これは、人魚の涙・龍の鱗・仙人の里にしかでないという虹色に輝く鳥の羽・さらにはピーやピー(とても口には出せない物)
  を調合した、本邦初公開の薬師忌瀬様特製『惚れ薬』よ!!」

 キランッ

 珠洲の瞳が怪しく光る。

 (これだ!!)

 珠洲の行動は早かった。

 「ねえ、あれは何?」

 「えっ?」

 ドスッ!!

 珠洲は忌瀬が指先に注意を向けた一瞬の隙を突いて忌瀬に当身を放った。

 「珠洲…あんたって…子は……」

 「これも私と志野の輝かしい未来のため…」

 珠洲は惚れ薬を忌瀬から奪い取ると早々とその場を離れる。

 「…そ…は……まだ…実験………だ…か……ぃ」

 忌瀬は薄れゆく意識の中で
 これから犠牲になるであろう志野に心からの謝罪をしたのだった。


 珠洲は早速志野に

 「志野、今日は久しぶりに二人で外に食べに行こう」と、言っておいた。

 志野が断れないように少し不安そうに、涙を滲ませて…

 いつも無表情な少女もなかなかの役者である。

 志野も「久しぶり」という言葉と、

 珠洲の表情を見て、

 珠洲に最近あまり話もしていなかったことに気づき、

 快くOKしてくれた。

 さすがの志野も今の状態の珠洲の演技は見破れなかったらしい。

 準備は整った。

 あとは首尾よく志野に惚れ薬を飲ませるだけである。

 自然と表情がにやけてくる。


 「志野こっち」

 「珠洲、ごめんね。まった?」

 「ううん、私も今来たところ。」

 珠洲はとびきりの笑顔で志野を迎えた。

 志野と珠洲は飯屋『百合』で待ち合わせしていた。

 実は珠洲は待ちきれず2時間前には店の前に着いていた。

 恐るべきは恋する(?)少女である。

 
 (珠洲嬉しそうね。)

 最近九峪様と一緒にいるのが楽しくて珠洲の傍にいてあげれなかったものね。

 (ゴメンね…珠洲。)

 珠洲の思惑も知らず志野は心の中で珠洲に謝っていた。

 知らぬが華……である。


 「美味しい! よくこんな店知ってたわね!」

 「うん。閑谷が教えてくれたの。」

 「閑谷君が? 珠洲、閑谷君と仲いいの?」

 「別に。唯話しかけてくるから適当に合わせてるだけ。
  私は志野がいればそれでいい。」

 「珠洲……」

 志野は複雑な表情で珠洲を見つめる。

 (そう………志野がいれば………ふふふふ。)


 「お待たせしました。」

 とうとう最後の料理が運ばれてきたようだ。

 「良い香りね。食べましょうか。」

 「私がお皿に盛って上げる。」

 「うん、よろしくね珠洲。」

 志野は微笑みながら珠洲にお皿を渡しす。

 珠洲は料理をお皿に移す瞬間に素早く惚れ薬を料理に混ぜ合わせる。

 全てはこの瞬間に掛かっていた。

 「はい、志野。」

 「ありがとう。」

 どうやら志野にはばれなかったようである。

 ニヤリ

 珠洲は勝利を確信した。

 「志野、冷めない内に食べましょう。」

 「そうね。」

 志野が料理(惚れ薬入り)を食べる。

 珠洲はその様子を目を細めて凝視していた。

 ジーーー

 「珠洲、食べないの。」

 志野が不思議そうに珠洲を見つめる。

 「えっ……うん、今食べる。」

 (おかしい。料理(惚れ薬入り)を食べたはずなのに……時間が掛かるのかな。)

 珠洲はとりあえず時間を置いてみることにした。


 「んーー。美味しかった、また来ようね、珠洲。」

 志野と珠洲は食事も終わり夜道を散歩していた。

 「うん。また来ようね、志野。」

 珠洲は背後に黒いオーラを出しながら応える。

 (どうして、何も起こらないの!!)

 (忌瀬も閻魔帳に加えてやる!!)

 ちなみに閻魔帳とは志野に好意を持っている者や、

 珠洲の逆鱗に触れた者が書かれている、

 珠洲特性の『お仕置き(拷問)人物(予定)帳』の事である。

 勿論、閻魔帳の一番始めに書かれている人物の名前は九峪であった。

 しかも、何気に血文字で書かれている。

 (ふふ、乙女(?)の純情裏切って…覚えてなさいよ!!)


 珠洲がそんなことを思っていると志野に変化がおこった。

 「す…珠洲。」

 「えっ。」

 珠洲が振り返るとそこには汗を掻きながらも顔を紅潮させて座り込んでいる志野がいた。

 「どうしたの!? 志野!!」

 「からだ……熱いの……あぁ…」

 (まさか、今になって薬の効果が出てきたの?)

 (でも、なんか様子がおかしい。)

 「志野! 大丈夫!?」

 「珠洲っ……あぅ……」

 志野の体から煙が噴出してくた。

 「志野っ!?」

 煙は志野の体を包み込んで志野の姿を隠してしまった。

 「い…いやぁ…志野……志野ぉ!?」

 珠洲は後悔していた。

 薬なんか使うんじゃなかったと。

 こんな事するんじゃなかったと。

 (ごめん……ごめんね! 志野!!)

 「んんぅ……」

 そうこうするうちに煙が徐々にはれてきた。

 「志野っ!?」

 珠洲は急いで志野の所に駆けつけた。

 「えっ!?」

  志野の姿を見た瞬間、珠洲の時間は止まった。


 「うーーーん。」

 志野はようやく体の調子が戻ってきたのか、ゆっくりと立ち上がる。

 (あれ? 何故か地面が低く感じる……)

 (心なしか珠洲も大きく見えるけど………これってまさか!?)

 志野は出かける時に持ってきた鏡を取り出す。

 「………嘘でしょ!?」

 志野は約6歳位の幼児体系になっていた。

 これが後に語られる、


 耶麻台国最大にして究極のアイドル!!


 『プリティー志野』 


 の誕生の瞬間であった。

 「嘘だと言ってぇぇぇぇ!!!」

 志野の叫びが夜空に消えていった。



 おまけ


 (志野………かわいい!!)

 (あのスベスベした肌!!)

 (食べちゃいたいくらい可愛い横顔!!!)

 (そうか!! この薬は惚れ薬じゃなくて、

  『萌え薬』    

  だったのね!!)

つづく・・はず


ビックさんからSSを分捕ってきました♪(ぇ

珠洲がい〜具合にぶっとび壊れてますねえ。壊れた珠洲、かなり好きだったりします(笑)
巻き込まれた志野、(* ̄ノ ̄)/Ωチーン (* ̄- ̄)人 i~ 合掌
・・・あと閻魔帳のほかの面々誰がいるか、何気に気になったり・・・
このあとの珠洲の行動や、九峪達の反応や志野のことが、とっても気になりますので!ビックさん続きを書いてくださいね?楽しみにおまちしてます♪ご本人が渋っても許しません(何)

ビックさん、どうもありがとうございました^^

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