耶麻台国最終兵器シリーズ3

  只  深


                                     作・ビック様



 「おおきに♪ まいどあり〜〜♪」

 「あの〜〜」

 「おおっ!? お客はん、お眼が高い♪ それは南蛮から取り寄せた…」

 「……只深さん?」

 「こら! そこ! ちゃんと銭払ってから商品持って行きや!!」

 「……聞こえてます?」

 「伊部! それは割れ物やで!? もっとそっと運んでや!」

 「只深さんっ!?」

 「いや〜、大盛況や♪ 予想以上やな♪」

 志野の発言は完全に無視されていた。

 「はぁ〜〜、なんでこんな事に……」

 志野は今、只深に頼まれて、只深が自分で立ち上げた店の手伝いをしていた。

 只深曰く

 『志野はんの可愛さがあれば売り上げ上昇間違い無しやで♪』

 とのことだ。

 どうやら志野の可愛さ目当てに来る客を狙って大儲けをしようとしたのが大当たりしたようだ。



 「私が小さくなったこと兵達には秘密のはずでは?」

 「あ〜〜、自分も年やな〜〜〜なに言ってるか聞こえへんな〜〜♪」

 「はぁ〜」

 志野が小さくなってしまったという秘密は1日目にして破られた。

 「それはそうと志野はんに一つ頼みが…」

 「なんです?」

 「志野ちゃんって呼んでええか? その姿だとなんか違和感があって」

 「そうですね……

  極一部(上乃や羽江など)の方はもうちゃん付けで呼んでますし……別に構いませんよ」

 「おおきに〜♪」

 この日から志野はちゃん付けで呼ばれることとなった。



 「ありがとうございました〜♪」

 「志野ちゃん、この調子でガンガン頼むで〜♪」

 「まかせてください♪」

 志野もこの仕事にやりがいを感じ始めていた。

 (意外とこの仕事も楽しいかも……でも…) 

 「只深さん?」

 「なんや♪」

 「只深さんの店では何を売っているんですか?」

 ドキッ

 只深は露骨に動揺した。

 「い、いきなり何やの?」

 「だって私を店の中に入れようとしないじゃないですか」

 「それは…ほ、ほら、店の中より外でビラ配って貰った方が客がぎょうさん入るし…」

 「でもそれはそれとして、店で何売ってるかくらいは教えてくれますよね♪」

 「なんも変な物売ってないて、普通の日常品やら武器やら…」

 「ならどうして店で買い物した人達はあんなににやけているんですか?」

 店で買い物が終り帰っていく客は、全員近寄るのが戸惑われるほどにやけた顔をしていた。

 「あの姿を見て気にするな……というほうが無理な話だと思いません?」

 「そ、そうやな〜〜。 どないしたんやろな〜〜」

 「………」

 志野と只深の間に冷たい空気が流れる。

 「只深さん?」

 ざ

 「えぇ〜と…」

 ざざっ

 「どうして逃げるんですか?」

 ざざざっ

 「い、いや。 身の危険を感じてな」

 志野は只深を一歩一歩追い詰めていく。

 志野が進めばその分只深も下がるのだが、壁に捉まってしまいとうとう追い詰められた。

 只深がもう駄目かと思ったその時、思わぬ所から爆弾が投下された。


 「只深ーーーー!! 『志野ちゃん使用済み抱き枕』まだ残ってる? 残ってるよね!? まだあるよね!?」 

 遠くからまるで歴戦の猛将の如く珠洲が走ってくる。

 「楽しみで楽しみで昨日は眠れなかったわ。 おかげで寝坊しちゃったけど…あ!?」

 珠洲は只深を見つけるとすぐさま只深に詰め寄る。

 「只深! 追加料金まで払って予約したんだから当然残ってるんでしょうね!? 私の『志野ちゃん使用済み抱き枕』!!」

 珠洲は只深の胸倉をつかみ、一気に捲くし立てる。

 「そ、そんな物うちで売ってたかなぁ〜」

 (す、珠洲はん…今それを認めたらうちは明日の日の出が見れなくなってしまうんや!)

 なんと只深は『志野ちゃんグッズ』を売り物にしていた。

 抱き枕といったレア物(?)は夜中の内に志野の部屋に忍び込んで全く同じ物にすり換えるという危険まで犯している。

 只深としては志野にばれるわけにはいかないのだが珠洲の出現により非常に不味い状況に陥っていた。

 「……只深さん」

 「は、はいぃぃ」

 志野の絶対零度を思わせる声に只深は直立不動で応える。

 「……珠洲」

 「志野っ!?」

 珠洲は今初めて志野の存在に気づいた。

 そして戦慄した。

 今の志野はいつものように微笑んでいる。

 だが珠洲にはそれが嘘だと分かっていた。

 珠洲の経験上導き出される答え…『志野お仕置きモード』に入っているのだ。

 これだけは逆らってはいけない。

 口答えしようものなら一週間口も聞いてくれなかったり、話しかけても無視される。

 志野を溺愛している珠洲にとってはそれは地獄だった。

 それでもこれはまだ罰が軽い方で、

 本気になった時の志野の罰は口に出すのもおぞましい。

 「只深さん…どうゆうことでしょうか?」

 「え〜とやなぁ、きっとなんかの間違「只深さん?」ゴメンナサイ!!」

 次の瞬間只深は土下座で志野に謝っていた。

 さすがの只深も志野の絶対零度の視線には逆らえなかったようだ。

 恐る恐る只深が志野に事情を説明すると

 「後でおしおきです♪」

 という言葉が返ってきた。

 只深は恐怖の余り気絶した。

 後に只深は語る。


 『あの時の志野ちゃんの瞳に紅い炎が見えたわ』


 「もちろん珠洲もよ♪」

 「そんな〜〜」

 「じゃあ聞くけど…あんな物かってどうするつもりだったの?」

 「もちろん布団の上で思いっきり抱きしめたあと顔を埋めて志野ちゃんの残り香をスーハースーハー(?)するのよ!!」

 ジーーー

 冷たい視線が珠洲に突き刺さった。

 「………あっ!」

 珠洲も失言に気づいたのか真っ青になる。

 志野の体が小さくなってからどうやら珠洲は頭のネジが外れたようだ。

 ジーーー

 「あ、あの、これは」

 ジーーーーー

 「えっと、これには海より高く山より低い事情があって…」

 ジーーーーーー

 「えっと……」

 「珠洲…」

 「はいぃぃぃ」

 「また……『アレ』ね」

 「そんなぁぁぁ」

 自業自得である。



 志野が只深と珠洲に罰を与えているころ九峪は清瑞を呼び出していた。

 「清瑞…」

 「なんだ? 九峪」

 「今の志野…どう思う?」

 ピクッ

 「な、なんだ突然…」

 清瑞は人知れず今の志野に萌ていた。

 初めて志野ちゃんの姿を見た時は鼻血で服が真っ赤になったほどだ。

 やはり血は争えないということだろう。

 「志野のあの反則なまでの可愛さ…よからぬ考えをする奴等がでてくると思わないか?」

 「…一理ある」

 九峪は清瑞の心情を見抜いていた。

 だからこそ清瑞はこの話に乗るであろうことも確信していた。

 「だから志野が元に戻るまで護衛をしたほうがいいと思うんだ」

 「………それを私にやれと?」

 「嫌か? 無理にとは言わないけど…」

 「やらせてもらう!!」

 「うわっ!」

 清瑞は急に立ち上がった。

 「しかし今の志野様ならそんな奴等が多数出てくる可能性があるな…」

 「清瑞さん…?」

 「よし! ここは特殊護衛部隊を結成しよう!」

 「お、おい…」

 「そうと決まれば人材確保だ! 九峪! 私は忙しいのでこれで失礼させてもらうぞ」

 清瑞は意気揚々とでていった。

 九峪は呆然と清瑞の後ろ姿を見送っていた。

 「なんか……取り返しのつかないことをしてしまったような…」

 九峪は知らない。

 この時結成された部隊が耶麻台国軍の最強部隊になるであろうことを…

 

 あとがき

 なんか珠洲が出てくる時に電波受信しているなと自覚している自分が怖いです(汗)
 まだまだ未熟者ですが応援よろしくお願いします♪


 電波の受信状態はMAXのようですね、ビックさん(笑)
 女性幹部達の際どい絵やら売ってた只深ですから、おもいっきり予想できる行動なわけですが。本人に売り子させるとはさすが只深(笑)
 でもそれ以上に、見た目幼女でもあの只深を気絶させる志野の笑顔のほうが怖いです(爆)

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