告白直前イベント


 告白直前イベントと、告白イベントを書き出してみました。
 ここから下は告白直前イベントです。


 セリフはゲームそのままですが、セリフ間の描写、動作には、私の主観と推測と思い込みと趣味が入ってます。ちょっとだけSS風味というか、あらすじ風味。ゲーム以外のセリフを使わず、キャラの心の声もなるべき使わず、どこまでSSっぽくできるかという、かなり無謀なことをやってます(^^;
 これらを読んで興味をもたれたら、ぜひ自分で実際のイベントで確かめてみることをオススメします。
 なお、くっつけてるイベント名は、台本のままのものもあれば、私が考えたものもあります。


 さらに告白イベントは別にしてあります。

告白イベントを見たい人はこちらから飛んでください

清瑞は告白直前イベントがないので、告白イベントの方のみです。日魅子は別コンテンツで発表しています。


名前をクリックすれば知りたいキャラのところまで飛べます。




伊万里   志野   星華

藤那   香蘭   只深

清瑞   上乃   亜衣

夷緒   羽江   織部

愛宕   音羽   天目






伊万里<奇襲>


「やあ、伊万里。一緒に偵察に行かないか?」
 耶牟原城奪回も現実味を帯びてきた、ある日の昼のこと。九峪は伊万里を誘いに訪れた。
 偵察とはいっても、この辺りは既に耶麻台国軍の支配している地域だ。危険がないとはいわないが、そんなに遠くへ行くつもりはないし、九峪としては散歩程度の認識の方が近かった。
 要は伊万里と出かける口実になるなら、それでよかったのである。
 だが。
「今日はいやな予感がします・・・」
 伊万里は気乗りがしない様子だった。
 彼女がこんな顔をするのは、最近なかったことだ。山人の勘か、火魅子候補としての予知能力が、何か告げたのかもしれない。
 常日頃にないこと。それをもっと重要視するべきだったのだ。
「そんなの思い過ごしだよ」
 しかし、楽観的な九峪はそんな伊万里に構わず、二人きりで森へ出かけてしまったのである。


「伊万里と偵察なんて久しぶりじゃないかな」
「ええ、そうですね、九峪様。でも、油断は禁物です」
 ここに来てもなお心配そうな伊万里。
「うん、気をつけるよ。・・・!?」
 その時九峪の背後から、ガサッという物音がした。
「なんだ?」
 振り返ろうとした九峪を、伊万里が突き飛ばした。
「危ない!九峪様!」
 太刀が激しくぶつかる音が、1つ。ギラリと光る軌跡が目に焼きついた。
「チッ、しくじったか!」
 そして続く舌打ちの音。崩れ落ちる伊万里。
 九峪の命を狙い、狗根国の刺客が放った不意打ちを、伊万里がとっさに防いだのだ。
「い、伊万里!こ、このやろう!うおぉーっ!」
 そうと気づいた九峪の頭に、カッと血が上る。激情に任せた素早い斬撃が刺客を襲った。
 防御面では隙だらけだったが、そこに付け込む暇すらなかった。斬り結ぶ音が2,3回響いただけで、敵の断末魔の悲鳴が上がる。
「伊万里!大丈夫か!?」
 刺客を倒した九峪は、伊万里の元に駆け寄った。
「九峪様・・・ご無事でした・・・か・・・」
 木に寄りかかった伊万里の右腕から、血が滴り落ちていた。無我夢中で飛び出したために、敵の攻撃を受けきることができなかったのだ。
「オレのことより自分のことを心配しろよ!」
「九峪様のためなら・・・これくらい・・・平気です・・」
「何を言ってるんだ!」
「く・・・たに・・・さ・・・」
「伊万里!!」


 城内の忌瀬の部屋兼、診察室。ここは様々な研究設備と医療設備が揃い、清潔に保たれている。恐らくこの世界でもトップクラスの治療が受けられる場所だ。
 九峪はあの後、気を失った伊万里をここに運び込んだのだ。
「伊万里はどうなんだ!」
 治療を終えて出てきた忌瀬に、彼は詰め寄った。
「もう大丈夫よ。すぐに動けるようになるわ」
 出血は多かったが傷そのものは、命に関わるような深さではない。充分治療できれば心配はいらない。忌瀬は太鼓判を押した。
「ありがとう、忌瀬・・・」
 ニッコリ微笑む忌瀬に、九峪は心から礼を言った。部屋に入ると、眠っている伊万里の側に座り込む。そして、
「伊万里・・・」
 ポツリと、白い部屋に声が響いた。



志野<折れた翼>


 支配地域が九洲全土へと拡大するにつれ、比例して増えていく耶麻台国軍総大将としての仕事。
 しかし多忙な日々にも、ふっと空く時間はある。
「さて、志野の踊りでも見に行こうかな・・・」
 そういうとき、彼はよく志野のところに通っていた。
 部屋にいれば優しい微笑みで出迎えてくれて、話を聞いてくれる。静かなその時間は、心を和ませてくれた。
 そして部屋にいない場合は、志野はよく踊りの練習をしているのだが、その真剣で美しい姿を見るのも九峪は好きだった。
 もちろん、彼女にも仕事はあるから、いつも会えるというわけではなかったけれど。


 兵士が駆け込んできたのは、九峪が今まさに志野の下へ向かおうとしていた時だった。
「九峪様、大変です!志野様が足を痛められたそうです」
 志野直属の部隊の兵士らしいが、相当慌てている。事態を聞きつけて、すぐに九峪に知らせに来たのだろう、少し息が乱れていた。
「なんだって?踊り子にとって足は命じゃないか。よし、オレも様子を見に行くよ」
 九峪は急いで駆け出した。


 しかし。
「あれ、志野は?」
「はっ、見かけませんでしたが」
 既にその場に志野はいなかった。そこにいる兵士達が見ていないということは、城内から消えて少し時間が経っているということだ。
「なんだって?まさか志野の奴・・・」
 嫌な想像が頭を掠める。
 痛む足では、そう遠くへはいけないだろう。九峪は宮殿内で彼女が行きそうな場所を探すことにし、再び駆け出した。


 やっと見つけたとき、志野は楼閣にいた。
「・・・・・・」
 転倒し、汚れてしまった衣装もそのままに、思いつめた顔で立ち尽くしている彼女の姿は、とても危うい印象を抱かせるものだった。
 足首に巻かれた包帯が痛々しい。
「志野、な、なにを?」
 九峪は慌てて声をかけた。
「ほっといてください。・・・私もう、踊れないんです」
「そんなこと、まだ決まった訳じゃないだろ」
「いいえ、もうダメです!こんな足じゃ踊れません・・・」
「志野!」
 やはり、志野は自暴自棄になっていた。
 踊ることが何よりも好きで、誇りでもあった彼女にとって、踊れなくなる、ということは生きがいを無くすようなものだったのだろう。
 繊細で優しい心の持ち主。
 だが辛いときでも、けっして人にあたったりはしないその優しさは、芯の強い女性である証だということを、九峪は知っている。
 その彼女が・・・


 九峪は、思わず志野を抱きしめた。
「だいじょうぶ!きっと踊れるようになるよ」
 抱きしめた肩は細く、震えていた。
「・・・うっ、ううっっ・・・わたし、わたし・・・」
「ほら、もう泣かないで」
 九峪はそっと、志野の涙をぬぐってやった。
「・・・・・・」
「ケガを治して訓練すれば、またきっと踊れるようになる!」
「・・・・・・」
 腕の中で泣きつづける志野を、九峪は力強く励まし続けた。
 誰でも口に出来る、ありきたりな言葉かもしれない。だがその声が、温もりが、心が彼女の身体に染み渡る。
 いつのまにか、志野の嗚咽は止まっていた。
 そして
「約束してくれよ。また志野の踊りをオレたちに見せてくれるって」
「・・・はい。ありがとうございます、九峪様・・・」
 上げられたその顔には涙の跡はあったが、唇はいつもの彼女の、淡い笑みを形作っていた。
 立ち直らせることに成功したと知った九峪にも、笑顔が浮かぶ。

 楼閣に、爽やかな風が吹き抜けていった。


星華


狗根国との戦いも大詰めを迎えた、ある日のこと。

「最近、星華とはうまくいってるな。この辺で、なにかきっかけをつかみたいな。・・・おや」
 訓練場を通りかかった九峪は、兵士達が集まっているのに気づいた。
 訓練中かと思ったがそんな様子はなく、囲みを作ってざわざわと騒いでいる。
 何か起こったのだろうか。
(星華?)
 近づいていくと、囲みの中心に星華がいるのがわかった。側までいっても兵士達はそちらに気をとられ、誰も気づかない。
 九峪はそのまま様子を見守ることにした。

「ですから、どうしてお酒など飲んだのですか」
「はい、その兵士も日ごろはマジメなのですが、いつになくストレスも溜まって・・・」
 九峪の前ではあまり見せなくなった厳しい表情と声。
 どうやら酒を飲んでしまった兵士がいたのを彼女が叱り、それを他の者がかばおうとしていた所らしい。
「言い訳は無用です」
 ピシャリと切り捨てた彼女に、それまで低姿勢でいた兵士の代表格らしい男の、顔色が変わった。
「星華様!どうして私たちのことをそう、しばろうとなさるのですか!」
「な、なんですか・・・」
 急変した男に、星華がたじろいだ。
「彼だって疲れていたのです。酒ぐらい構わないではありませんか!そんなことも許せないというのなら、もう、私たちはあなた様には付いていけません!」
 訓練中の飲酒が禁止されているのはいうまでもない。それは士気の低下を招くと同時に、下手をすると大怪我をしかねない危険が伴うからだ。冷静であったなら、当然兵士達もそこに気づいただろう。
 しかし星華のキツイ物言いに、兵士達も逆上してしまったのだ。
 そうだそうだ、と周囲の兵士達からも野次が起こる。
 突然前触れもなく、四方八方大勢から責められた、星華のショックは大きかった。
「そんな・・・ひどい!」
 涙を浮かべ、彼女は囲みから飛び出すと、そのまま駆け去っていった。
「あっ、星華。とうとう逃げ出しちゃったぞ」
 声を出したことで、ようやく兵士達も九峪に気づいたようだ。
「あっ、九峪様!こ、これは申し訳ありません」
 代表格の男が、大きく頭を下げた。
「話は聞かせてもらったよ。確かに星華も融通は利かないけど、みんなでヤジるのはひどいぞ」
「は・・・はあ・・・」
 男はバツが悪そうにしている。ついカッとなってああ言ってしまったものの、星華が泣くとは思っていなかっただろうし、自分にも非があることにも気づいたのだろう。
「オレからも星華には言っとくからさ、あまり、無茶するんじゃないぞ」
「はい」
「まあ、お前たちの気持ちも分かるから、今後は気をつけろよ」
「ありがとうございます」
 男と、周囲の兵士達の頭が再び下がった。


「ううっ・・・ひどい・・・」
 星華は1人泣いていた。
 夕闇を背にした楼閣のたたずまいは、幻想的で美しく、普段なら心を和ませてくれる。だが、今の彼女にとっては、心を波立たせる風景と成り果てていた。
「・・・星華」
 九峪の声に気づいた星華は、あわてて涙を拭き、極力冷静な顔に見えるように、装ってからふり向いた。
「・・・九峪様。どうかしましたか?」
「話は聞かせてもらったよ」
「そう・・・ですか。お恥ずかしい限りです。私が未熟なばかりに」
「そうかもしれないね、星華。でも誰だってそういう部分ってあるんじゃないか?」
 九峪はこれ以上彼女を傷つけないように、柔らかく話しかけた。
「・・・・・・」
「星華はもう少し他人の失敗を許してあげる、心の広さを持てばもっと素敵な女の子になれるよ」
「うっううっ・・・・」
 星華の、堪えていた涙が再び溢れてきた。
 生まれながらの指導者であり、人にも自分にも厳しく、「女王候補の威厳」という鎧をまとって、なかなか本心を見せない星華は、他人から誤解されやすい。
「ほら、もう泣かないで・・・」
「・・・はっ、はい」
 しかし今回、はじめて真正面からぶつけられたであろうこの問題を、星華は九峪の言葉で、乗り越えることができたようだった。