告白イベント


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伊万里   志野   星華

藤那   香蘭   只深

清瑞   上乃   亜衣

夷緒   羽江   織部

愛宕   音羽   天目





伊万里


 数日後。
「伊万里、もう傷は痛まないか?」
 九峪が見つけたとき、伊万里は川辺に1人、座っていた。
 ここのところ彼女にべったりくっついて、腕が不自由な伊万里のために、世話を焼きまくっていた上乃の姿はない。
 まあだからこそ、声をかけられたわけだが。
 伊万里の悪い予感を九峪が無視して出かけた結果、こういうことになったのだということを知った上乃は、怪我が治るまで九峪を近づけさせなかった。
 九峪としてもそこは言い訳のしようもないので、黙って引き下がるしかなかったのである。
「ええ、もう大丈夫。ほら」
 笑って、伊万里は右腕を振り回してみせた。腕の傷は長い手袋に隠れて見えないが、確かに動かしても支障はないようだ。
 それを見て、九峪の顔にも安堵の色が浮かんだ。
「ほんとに無茶するんだな、伊万里は・・・お前が死んだら、なんにもならないじゃないか」
 あの時伊万里がいなければ、彼は死んでいたかもしれない。しかし身代わりに伊万里が死んでしまうのでは、自分はもちろん、彼女にとっても意味がない。
 つまりは、そういいたいのだろう。

 伊万里はゆっくり立ち上がる。
 背後のせせらぎの音が、消えたような気がした。
「あのとき、わたし・・・とっさに九峪様をかばったけど、あのまま死んじゃっても良かった・・・」
「伊万里・・・」
 驚く九峪に、彼女ははっきりと告げた。
 いつも見せる、凛とした眼差しと共に。
 あなたのためなら死ねるのだと。あの時の自分の行動を、後悔してはいないのだと。
「わたし、他の女の子と比べるとかわいくなくて・・・おとなしくないし、素直でもないけど・・・」
「・・・・・・」
 見つめている九峪に、ちゃんと伝わるように想いを込めて。
「九峪様を思う気持ちは・・・誰にも負けない!」
「・・・伊万里」

 これが飾ることを知らない彼女なりの、精一杯の告白だった。



志野


 宮殿内に設えられた庭園に、志野はたたずんでいた。
 瞳には、楼閣の風情のある姿が映りこんでいる。
 澄んだ水をたたえる池の、中央に作られた楼閣の周囲は木々に囲まれ、宮殿の低い建物は切れ切れにしか見えない。
 景観を損なうもののないその場所は、天候や時間によって刻々と色を変えた。
 今は月明かり満つる夜。
 紫が支配している時間だ。


「志野。どう、ケガの具合は?」
 振り返った志野の瞳に、今度は1人の青年の姿が映った。
「九峪さま・・・ええ、もうすっかりよくなりました。周りの方が、大変親切にしてくださって・・・」
 彼女の表情は、この間と打って変わって柔らかい。
「そう、それはよかった。志野の人徳かな」
「そんな・・・わたしに魅力があるとは思えません」
「そんなことはないさ。みんな志野の踊りを、また見たいって待っているんだ」
 奥ゆかしく気配りができ、誰に対しても優しい志野を、兵士達も民衆も皆慕っている。彼女が困っているなら、争って手を差し伸べようとするだろう。
「・・・・・・」
 しかし、志野は黙ったままだ。
「踊れるんだろ?」
 不安になった九峪は、改めて問いかけた。すると、
「・・・もう、踊れなくてもいいんです」
 予想外の答えが返ってきた。さらに、ニッコリと笑ったではないか。
「また、弱音かい?」
「いいえ。踊りより、もっと大切なものを見つけたから・・・」
「ん?踊りより大切なもの?」
 志野にとって踊りがいかに重要なものだったかは、先日のことでも分かる。
 それなのに?
 自然と問いかける態度になったのだろう。
 微笑んだまま、志野は続けた。
「わたし、嬉しかった。九峪様が、わたしに・・・言ってくれた言葉・・・」
「・・・・・・」
「どんなときでも諦めるなって・・・そして、オレは志野の踊りが見たいって・・・
「・・・・・・」
「あのとき、九峪様の気持ちを素直に受け止めることができた。私の心の中に、九峪様がいた」
「・・・・・・」
 前とは逆に、今度は九峪が志野の言葉にじっと聞き入っていた。
 一言も聞き漏らさぬように、その気持ちを受け止めるために。
「なにがあろうと・・・この気持ちは、変わりません」
「・・・志野」
「九峪様・・・・」
 少し潤んだ目が九峪を見つめた。


新たな生きがいを見つけた女性の瞳は、美しく輝いていた。