初 参 加 2



<清瑞>

 隠れ里を九峪が訪ねたとき。

九峪「ちわー、伊雅って人、いる?」
清瑞「なんだ、おまえ?」
九峪「ふっ、オレか?オレはな、耶麻台国の神の遣いだ!」
清瑞「帰れ」
九峪「あ、てめえ、そういう言い方するか!?」
清瑞「さっさと帰らないと殺すぞ!」
 伊雅登場。
伊雅「待て、清瑞」
清瑞「伊雅様!?」
伊雅「あなたが耶麻台国の神の遣いだとして、ここに何の用かな?」
九峪「元耶麻台国副王・伊雅・・・なんだろ、あんた?」
 清瑞、刀を九峪の首筋に突きつける。
清瑞「きさま、なぜ!?」
伊雅「まあ、待ちなさい、清瑞」
清瑞「・・・はい」
伊雅「で、わたしがあなたがいう男だったら、どうしようというのかな?」
九峪「力になってやるよ」
伊雅「はて?」
九峪「火魅子の血を引く女を見つけて、耶麻台国を復興させようって言ってるのさ」
伊雅「はーはっはっはっ」
九峪「なにがおかしい?」
伊雅「いや、これは失礼。しかし、そんなことが簡単に出来るとは思えないが?」
九峪「ところが、神の遣いのオレには造作もないことなのさ。まあ、これを見なよ」
 天魔鏡を見せる九峪。
 伊雅、驚く。
伊雅「それは!?」
九峪「さすがに元副王は知ってるようだな」
伊雅「耶麻台王家に伝わる神器『天魔鏡』・・・落城の際に行方知れずになったはず・・・なぜあなたが?」
九峪「まあ、いろいろあってね。それより・・・こいつも見てくれ」
 キョウ出現。
キョウ「やあ、伊雅」
伊雅「ま、まさか!?」
清瑞「これは!?」
伊雅「天魔鏡の精は、火魅子様にしか喚び出せないはずだ!」
キョウ「じっさいに顔を合わせるのは初めてだね。おいらが天魔鏡の精『キョウ』さ。よろしく」
伊雅「ははっ!」
 伊雅、その場にひざまづく。
清瑞「伊雅様?」
九峪「堅苦しい挨拶は抜きだ。まあ、立ちなよ」
伊雅「これは、耶麻台国の神の遣いというあなたの言葉を、信じないわけには行きませんな。その・・・」
九峪「九峪だ!」
伊雅「九峪・・・様」
九峪「王家の血筋の女性を映し出すこの天魔鏡があれば、火魅子候補を探せるはずだ。火魅子候補がいれば狗根国と戦える。そうだろ?」
伊雅「それは、確かに・・・」
九峪「てえわけで、耶麻台国を復興させて、女王・火魅子を即位させよう!」
伊雅「ありがたきお言葉!」
九峪「でないと俺が還れないからな」
伊雅「え?なにか?」
九峪「いや、なんでもない。ところで、そっちの生意気そうな姉ちゃんは?」
伊雅「ああ、紹介が遅れましたな。これは清瑞。行動を共にしている忍者です」
清瑞「・・・・・・」
九峪「ふうん、忍者ねえ。この時代に忍者なんていたっけ?」
キョウ「まあ・・・九峪が知ってる古代の世界とは、ちょっとちがうからね」
九峪「ふうん」
清瑞「なにか?」
九峪「ああ、なんでもない。気にしないでくれ」
伊雅「神の遣いである九峪様が現れてくださった・・・なんだか、耶麻台国復興が叶いそうな気がしてきましたぞ。で、これから私達はどうしたらいいのでしょう?」
九峪「ああ、それなんだけどさ。じつはオレ、別の世界から『天魔鏡を使って女王候補を探せ』と言われて遣わされただけなんだ。だもんで、この世界のことは全然何にも、全くこれっぽっちも知らないのさ」
伊雅「は?」
九峪「だから、しばらく勉強する時間をくれ」
伊雅「はあ・・・」
九峪「まあ、そういうことだから、以後よろしく。そっちの、無表情で無愛想な姉ちゃんも、よろしくな」
伊雅「はい!」
清瑞(なんか・・・あやしい・・・)


<織部・重然>

 輪二塚城で織部を先に見つけた場合。

嵩虎「九峪様。耶麻台国軍にぜひ加わりたいという武将が来ております」
九峪「キミかい?」
織部「そうさ。おれは織部っていうんだ」
九峪「オレは九峪。耶麻台国軍の総大将だ。これでも神の遣いなんだぜ」
織部「へええ」
九峪「ところで、どうして耶麻台国軍へ?」
織部「狗根国のヤツらと戦いたいんだ。ヤツらは、おれのオヤジを殺しやがった!」
九峪「オヤジさん?」
織部「おれのオヤジは、石川島源三という大盗賊だったんだ。狗根国が九洲を占領してからは、もっぱらヤツらの宮殿からお宝を盗んでいたんだが・・・あるとき、とうとう捕まってな、処刑されちまった・・・だから、おれは仇を討ちたい。そのために参加したんだ。こんな理由じゃ、ダメか?」
九峪「狗根国を倒すという目的は一つ・・・そのために力を貸してくれる人はオレたちの仲間さ」
織部「はは!あんた話が分かるな。ま、よろしく頼むぜ」
九峪「織部、よろしくな」
織部「ああ、こっちこそ頼むぜ、九峪の総大将!」

 その後海老名城で重然を見つけたとき。

嵩虎「九峪様。先ほどの探索で見つかりました、新たな武将を連れてまいりました」
重然「あなたが、耶麻台国軍の総大将ですな?わしは重然と申します」
九峪「耶麻台国軍へようこそ。オレは九峪、よろしくな」
 織部登場。
織部「おや?おまえ、重然!重然じゃないか!」
重然「え!?あ、頭!」
九峪「なんだ、織部と知り合いだったのか」
重然「いや、知り合いもなにも・・・織部様はわしらのお頭だった方・・・」
織部「しっかし・・・お前が耶麻台国軍に入ってくるなんてな・・・」
重然「いや、お頭がいてくれるんなら、わしも願ったりかなったりですわ」
九峪「ま、これから、よろしく頼むぜ!」
重然「こちらこそ、よろしくお頼み申す!」

 海老名城で重然を先に見つけた場合。

嵩虎「九峪様。先ほどの探索で見つかりました、新たな武将を連れてまいりました」
九峪「やあ」
重然「これはこれは・・・どうも、初めまして」
九峪「ふうん、ずいぶんと力強い感じの人だね」
重然「確か・・・耶麻台国軍の総大将でしたな?」
九峪「ああ、そうさ。これでも神の遣いなんだぜ」
 重然驚いた顔。
重然「これは、これは・・・元来、わしらの商売は、外見で人を見ないのが常なんだが・・・」
九峪「商売?どんな商売をしてたんだ?」
重然「あまり大きな声ではいえないが・・・盗賊を・・・やっていたのだ」
九峪「へえ〜、まあ、気にすることはないよ。あんた、いい人そうだし・・・」
重然「はっはっは!盗賊になってから、いいひとと言われたのは初めてだ。わしは重然、よろしく頼み申す」
九峪「オレは九峪。こっちこそ、よろしく頼むぜ」

 その後輪二塚城で織部を見つけたとき。

嵩虎「九峪様。先ほどの探索で見つかりました、新たな武将を連れてまいりました」
九峪「ようこそ耶麻台国軍へ。オレは九峪、この軍の総大将だ」
織部「ふうん、耶麻台国軍の総大将って聞いたから、いかついヤツかと思ってたけど・・・案外、ヤサ男なんだな・・・」
九峪「ははは、そうかい?」
 重然登場。
重然「おや、もしかして・・・お頭!」
織部「重然!?重然じゃねえか!!」
重然「お頭!なにやってんですか、こんなところで!」
織部「お前こそ、こんなとこでなにやってんだよ?」
重然「見りゃあわかるでしょ。耶麻台国軍に入ったんですよ」
織部「いやあ、奇遇だな・・・おれもそうなんだ」
九峪「なんだ、知り合いなのか」
重然「知り合いもなにも・・・」
織部「こいつは、おれの部下だったんだ」
九峪「そうか。ま、知り合いがいてくれるとキミもなじみやすいだろうし・・・」
織部「おっとこれは失礼したな。おれは織部っていうんだ!よろしくな」
九峪「織部か。よろしく頼むぜ」


<愛宕>


 海老乃城攻略の後の戦場で。

九峪「あれ?キミ、なにしてるの?」
愛宕「え?ボクに聞いてるの?」
九峪「ああ、そうだよって・・・ヘ、ヘ、ヘ、ヘビだっ!」
愛宕「ヘビじゃないもん!ミー君だもん!」
九峪「み、ミー君?」
愛宕「うん!で、ボクが愛宕!」
九峪「そ、そう・・・愛宕っていうんだ・・・で、その愛宕はなんでこんなところにいるんだ?」
愛宕「こんなところって・・・ここ、どこ?」
九峪「ここは・・・って、いくさをやってるんだぜ!危ないところなんだよ!」
愛宕「え?ほんと?」
九峪「ああ、ほんとだ・・・しっかし、よくもまあこんなところまで・・・」
 愛宕、困っている。
愛宕「ボクんちに帰るには、どう行けばいいのかな?」
九峪「家?どこだよ?」
愛宕「わかんないから聞いてるの!」
九峪「そんなもん、オレが知るか!」
愛宕「じゃ、ボクはどうすればいいの?」
九峪「だいたい、なんでこのあたりまで来たんだよ?」
愛宕「道に迷ったんだもん」
九峪「いつだよ?」
愛宕「十日くらい前かな・・・」
九峪「・・・と、十日も道に迷ってたのか・・・」
愛宕「・・・うん」」
九峪「どうするんだよ?帰れるのか?」
愛宕「帰れるんだったら、道なんか聞かないもん!」
九峪「そ、それもそうか・・・じゃあ、どうするんだよ?」
愛宕「しばらく、ここに置いてもらえるかな?」
九峪「それは構わないけど・・・家を探さなくていいのか?」
愛宕「いいんだ!遭難したら動かないで、捜索隊を待つのが鉄則だもん」
九峪「そういう問題なのか・・・」
愛宕「それよりさ、ここの一番偉い人に会わせてよ」
九峪「会ってるだろ?」
愛宕「え?」
九峪「オレがここの総大将、九峪だ」
愛宕「ええっ!」
 九峪ジト目。
九峪「どうしてそんなに驚くんだよ?」
愛宕「もっと下っ端かと思ってた・・・」
九峪「これでも耶麻台国の神の遣いなんだぜ」
愛宕「へえ〜、じゃあ、偉いんだ?」
九峪「オレとしてはそんなつもりはないんだけどな」
愛宕「きめたっ!ボク、九峪サマって呼ぶことにする」
九峪「ま、あまりむずかしく考えるなよ」
愛宕「これからミー君ともども、よろしく〜!」
九峪「こっちこそな」


<音羽>


 和潮城探索後。

嵩虎「九峪様。先ほどの探索で見つかりました、新たな武将を連れてまいりました」
音羽「お初にお目にかかります」
九峪「ああ・・・初めまして・・・」
音羽「あなたが、耶麻台国軍の総大将ですわね?」
九峪「ああ、そうだけど・・・あなたは?」
音羽「わたしは音羽と申します。以後、お見知りおきを」
九峪(へえ、なんか大人びた女性だな)
音羽「恐れ入りますが、総大将様のお名前は?」
九峪「オレは九峪。こう見えても耶麻台国の神の遣いなんだぜ」
音羽「まあ!」
九峪「ああ、神の遣いって言っても、そんなに大したモンじゃないから、気楽にしてくれていいよ」
音羽「ありがとうございます、九峪様」
九峪「うーん、なんか、かたくるしいな・・・」
音羽「そう言われましても・・・」
九峪「そうだ!九峪君ってのは?」
音羽「九峪くん・・・ですか?・・・やはり総大将様に対しては、使いにくいですね」
九峪「まあ、好きな呼び方でいいんだけどさ・・・」
音羽「でも、安心しました」
九峪「安心?なんで?」
音羽「神の遣いというからには、もっといかめしい、堅苦しい方かと思っていましたので・・・」
九峪「オレはそんなんじゃないよ。オレに対しても他の人と同様に接してくれ」
音羽「わかりました。では、今後、よろしくお願いします」
九峪「ああ、こちらこそ」


<天目>

 耶麻台国支配下の城、巴日輪の紋章が入った門の前。
 外套をかぶった天目が訪ねて来る。
天目「忌瀬に会いたいの。取次ぎなさい」
 忌瀬の兵士。ガスマスクをすっぽり被り、手袋、白衣に薬嚢、細菌兵器という出で立ちだ。
兵士「どちら様です?忌瀬様にどのようなご用件でしょう?」
 頭巾を取る天目。
天目「あ〜ら。あたくしの顔を見忘れたかしら?」
兵士「あ、あなたは!?ど、どうしてここに!?」
天目「それは忌瀬に会ってから話します。すぐに取次ぎなさい」
兵士「は、はいっ」

兵士「お待たせいたしました。こちらへどうぞ」
 忌瀬の部屋。飄々としている忌瀬。
忌瀬「お久しゅうございます、天目様。いったいどうされました?敵地まで乗り込んでくるなんて!それに、随分と地味なお着物。天目様らしくもありませんねえ。まあ、いつもの天目様のお姿で、敵陣を訪ねるのは難しいでしょうけど」
天目「逃げてきたの」
忌瀬「は?」
天目「だから逃げてきたのよ。狗根国軍から」
忌瀬「はあ、それはまた。いったいどうしたんです?」
天目「耶麻台国軍との戦いで、負けた責任を問われ、一兵卒に降格されて・・・・」
 忌瀬かすかに笑っている。
忌瀬「あらまあ!ではその仕打ちに腹を立てて?」
天目「その程度のことで、このあたくしが逃げ出すと思って!そんな生易しいことではないわ。東山め、よりにもよって、このあたくしに!・・・喪服を着せたのです!あんな地味で目立たない服を、このあたくしに着せるなどとは、あたくしの全存在を否定すること!絶対に、絶対に、絶対に許すことは出来ないわ!」
忌瀬「ですが、ただの一兵卒に以前のような派手な鎧を着せるわけにも・・・」
天目「なんですの?」
 天目に睨まれる忌瀬。
忌瀬「ああ、いえ、なんでもございませんわ」
天目「というわけなのです、忌瀬」
忌瀬「というわけと仰られても、そのことと今回のご訪問と、どのような関係が?」
天目「だ・か・ら!狗根国を脱走した以上、あたくしの居場所は、もはや耶麻台国軍しかありません。そこで、昔の部下のお前を訪ねてきたのです」
忌瀬「では、天目様をかくまえと?」
天目「いいえ、耶麻台国軍に加わり、狗根国と戦うと言っているのです。あなたの部隊の一員でもよくてよ」
忌瀬「・・・困りますよぉ・・・私のような部隊長クラスならともかくねぇ・・・」
天目「今はただの一兵卒よ」
忌瀬「名目はそうでしょうが・・・・ともかく、私の一存ではなんともできませんよ。耶麻台国軍の総大将・九峪様に引き合わせますから、直接お話していただけません?」
天目「耶麻台国軍の総大将・・・ね。わかったわ、会いましょう」
忌瀬「では、手配いたします。しばらくこの城でお待ちください」

 九峪の間。
忌瀬「九峪様」
九峪「忌瀬か。なにか用?」
忌瀬「九峪様、狗根国の征西都督府長官の配下に居る四天王をご存知?」
九峪「知ってるも何も、今までに戦ってるからね」
忌瀬「お会いになります?」
九峪「お会いになりますって四天王だろ?最高幹部だろ!?会えるはずもないし、向こうだって会う気なんかないだろ」
忌瀬「向こうが会いたいといったら?」
九峪「なに!?どういうことだ、それは?」
忌瀬「ご紹介しましょう。この方こそ、狗根国四天王のお1人『日輪将軍天目』様・・・です」
 天目登場。
天目「はじめまして」
九峪「どういうことだ、忌瀬!?」
天目「この方が耶麻台国軍の総大将だというの、忌瀬!?」
忌瀬「はい」
天目「たいした男には見えないわ・・・こんな男が率いていた軍に負けていたとはね」
忌瀬「九峪様は、別の世界から来られた、耶麻台王家の神の遣い・・・なのだそうです」
 驚く天目。
天目「あら、神の遣い?ん・・・そう言われると・・・確かに不思議な目をしているわね」
九峪「おい、他人の品定めより、あんたの自己紹介が先だろ。敵の本陣へ何しに来たんだ!?」
天目「そうね・・・じつは」
 頭巾を取る。
天目「仲間にしていただこうと思って参りましたの」
九峪「なあぁにいぃ!?仲間だあ!?おい、忌瀬。どういうことか説明してくれ。なにがなんだか分からないぞ」
忌瀬「天目様は、狗根国軍で随分と屈辱的な目に合わされて・・・それで、脱走されたようなのです」
天目「そういうことなのです。ですからあたくしにはもう、帰る場所がありませんの。仲間にしていただければ、狗根国との戦いでお役に立てますわよ」
九峪「嫌だと言ったら?」
天目「そちらに断られたら、大陸にでも渡るまでのこと」
九峪「・・・忌瀬。ちょっと別室で待っててくれないか」
忌瀬「分かりました。では天目様、こちらへ」

九峪「おい、キョウ!」
キョウ「呼んだかい?」
九峪「さっきの話、聞いてただろ。どうすりゃいい?」
 饅頭を食べながら
キョウ「味方にすれば」
九峪「あっさり言うな」
キョウ「だってえ、四天王の一人だろ。すごい戦力じゃん。これからの戦いに役立つだろうし」
九峪「しかしなあ、敵の四天王を仲間にするなんて、みんながなんていうか」
キョウ「昨日の敵は今日の友。背に腹は変えられない。窮鳥懐に入れば・・・えっとなんだっけ」
九峪「わかったわかった。大きな戦力になるのは確かだろうしな」
 九峪、思い切り情けない顔になる。
九峪「でも、みんなに吊るし上げられるんだろうな」
キョウ「じゃあ、二人を呼ぶか」

忌瀬「ご決心はつきました?九峪様」
九峪「ああ、仲間にすることにしたよ」
天目「あら、あたくしが狗根国の間者か刺客だとは思わないの?」
九峪「あんたが間者や刺客なら、オレはもうとっくに殺されてるだろ」
天目「ふふふ、なかなかいい度胸ね。気に入ったわ、九峪とやら。・・・あら、もう「九峪様」とお呼びしなくてはいけないのかしら?」
九峪「昨日までの敵の大幹部からそんなふうに呼ばれると、なんか気持ち悪いな」
天目「あらそう?でも、仲間へのしめしもあるでしょう。九峪様と呼ばせていただきますわ。それから1つだけ、こちらから条件を出させてくださいませんこと」
九峪「なんだ?」
天目「鎧は、あたくしが自分で選んだものを着ます。よろしいこと?」
九峪「そんなことか。いいよ、なんでも好きなものを着てくれ」
天目「では、これからお世話になりますわ。よろしく」
九峪「ああ、よろしく頼むよ」

 会議の間。
嵩虎「九峪様、全員集まりました」
九峪「よし、じゃあ、始めるか。あー、今日集まってもらったのはほかでもない、みんなに紹介したい人がいるんだ。いいよ、出てきてくれ」
 天目、派手な鎧で登場。
天目「・・・・・・」
 九峪、心底情けない顔でため息。
九峪「はーあ」
伊万里「うん?どこかで・・・」
星華「あの派手な鎧には、見覚えがあるような・・・」
香蘭「おおう、派手な色使い。ああいうの、色モノ言うか?」
藤那「酒が飲みたい・・・早く会議終わらないかな」
閑谷「ちょっと、藤那ったら!」
志野「あの人も踊り子なのかしら?」
只深「すっごい鎧。修理代、ようけかかりそやなあ」
天目「(ふっふっふ、これよ、これなのよ。みんなの視線が突き刺さる快感!みんなの注目を集めるこの快感こそが、あたくしの生きる道よぉ)」
九峪「あー、じつはこの人は、元狗根国軍の幹部で「日輪将軍天目」と言うんだ。今日からオレたち耶麻台国軍に加わって、狗根国と戦ってくれることになった」
全員「えーーっっっ!?どういうことです!?」
 九峪たじたじになりながら
九峪「いや、どういうことって、今言ったとおりだよ」
星華「敵の将軍を味方にするというのですか」
香蘭「これ、『昨日の敵は今日の共倒れ』のことか?」
藤那「あいつ、酒飲めるかな」
閑谷「そういう問題じゃないでしょ」
只深「鎧の修理代、自前にして欲しなあ」
九峪「あー、静かにして、ちょっと静かに!確かに、彼女が元狗根国の将軍だということに関して、言いたいことはあると思う。けど、たとえ過去がどうであれ、狗根国と戦うことを決意した以上、彼女もオレたちの同志だ。オレは同じ目的を持った仲間として、彼女を耶麻台国軍に迎えいれようと思うんだ」
志野、静かに「・・・・・・・」
星華うつむきながら「・・・・・・」
伊万里責めるような目で「・・・・・・」
藤那キツメに見据えて「・・・・・・」
香蘭?な顔「・・・・・・」
只深ジト目「・・・・・・」
九峪「これは神のお告げでもある。みんな耶麻台国のために従ってくれ」
志野素直に「はい」
伊万里、承服しかねる顔だが「わかりました」
星華、手を合わせて祈りながら「・・・・・・」
只深、呆れつつ「しゃあないなあ」
藤那嬉しそうに「よし、新たな仲間のために乾杯だ!」
閑谷「だからダメだってば」
九峪「天目はしばらくの間オレ預かりということにする。以上で会議は終了。みんなよろしく頼むわ」

 天目微笑を浮かべている。
天目「本当に神のお告げがありましたの?」
九峪「ないよ、そんなもん」
天目「よろしかったんですの?そんなウソをついて」
九峪「『ウソも方便』てね。とにかくウソまでついたんだ、しっかり働いて欲しいな」
天目「わかりましたわ」