2010年のコンサート

2010年12月26日 札幌コンサートホール
    札響の第9 高関健指揮札幌交響楽団ほか
 3年連続のPブロックで聴く第9である。
 今年の席はちょっと後ろでセンターからもはずれた。

 ヴァイオリン両翼配置にベーレンライター新全集の採用、
 なにより今年3番、5番と満足して聴いた後だけに期待大のコンサートである。
 そしてその期待はほぼ満足された。
 
 全体としては予想通り、あるいはそれ以上に楽譜の細部にこだわった演奏。
 ちょっとしたダイナミクスの変化やアクセントの付加など、
 後から調べると「なるほどこうなっていたのか」と思う部分もあった。
 ただ新全集の採用は100%というわけではなく、
 第1楽章最初のトゥッテイでのフルートのオクターブ上げや、
 スケルツォの第2主題のバランスなど独自の部分も聴かれた。

 一番感心したのは第3楽章。
 テンポがやや速く、アダージョとアレグレットの切替がやや甘かったが、
 美しい弦楽器の上に木管楽器のソロが絶妙のバランスで音楽を奏でた。
 
 一方で首をかしげたと言うか、疑問に思ったのが終楽章。
 ご存知の主題提示以降、音楽のスタイルがややグランドマナーに傾いた点。
 これは150人という合唱の規模が影響したのかもしれない。
 むしろ少数精鋭の合唱で前の3楽章同様にぐっと絞ったスタイルで聴いてみたかった。

 もちろんフィナーレがそれ以前へのアンチテーゼであるという考えであれば
 
今回の演奏の雰囲気もありなのだが、自分にはちょっと円満すぎた。
 それでもコーダの追い込みは当初のスタイルに戻って怒涛の?終曲となった。

 声楽陣に大きな不満はない。
 人数云々は別に合唱の充実度は高かったし、
 後ろから聴く限り独唱では取り立てて誰がということはなかったが、
 バランスは悪くなかったと思った。

 オケで気になったのは両翼のヴァイオリンのバランス。
 自分の位置からは楽器がこっちを向いている第2ヴァイオリンが弱いというのはどうだろう?
 木管楽器はオーボエが終始立ち上がりで上ずった感じがしたが、それ以外は文句なし。
 金管楽器はやはりホルンに注目が行くが、第3楽章肝心のソロで音が抜けたのは残念。
 打楽器ではティンパニがピリオド奏法を意識した音で迫力充分。

 各楽章充分に間を取って、ソリストは第2楽章の後に登場。
 実はこの間がこの日最大の不満であった。
 登場といえば、この日は指揮者、独唱、合唱は上手からのステージに出ていた。

 文句はいずれも微々たる物、やはり第9はやはり素晴らしい。
 来年は尾高さん。全曲録音を兼ねたツィクルスの掉尾となるはず。
 
 終演 16:25

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2010年10月11日 札幌コンサートホール
    大人のためのファーストコンサート 高関健指揮札幌交響楽団  

 3連休(世間ではそうだったらしい)行われたKitaraあらかるとの最後の出し物。

 短時間で気軽にクラシックを聴いてもらおうというコンサート。
 先日「英雄」を興味深く聴いた高関指揮で同じベートーヴェンの「運命」に
 小さな交響曲とも聴ける「ウィリアム・テル」序曲との組み合わせは
 Kitaraの会員であればワンコイン=500円で聴ける。
 なんとありがたくも1階席ど真ん中の良席が確保できた。

 企画にふさわしく高関はマイクを持って登場。
 ロッシーニの解説は4つの部分の聴きどころの実演をはさんで丁寧なトーク。

 本番の演奏は嵐の部分で音楽が堅かったり、静寂でフルートが思い切りこけたりしたが、
 透明感あり美しいチェロの五重奏や終曲での追い込みなど立派な演奏。
 意地悪を言ったが静寂の木管の絡みもなかなか秀逸。

   コンサートは休憩なしで楽器紹介へ続く。
  ステージに並ぶ2管編成の全パートが趣向をこらした一節を披露。
  サン=サーンスの「白鳥」(雄弁な石川!)、マーラーの「3番」(第1楽章のピッコロ・ソロ!)、
  エルガーの「愛のあいさつ」、サウンド・オブ・ミュージック(ホルンにぴったり)、
 キャンディーズ(トランペット年下の男の子)に山口百恵(トロンボーンによる「さよならの向こう側」)、
 ゲゲゲの鬼太郎(ティンパニで!)・・・。
  滅多に聴けない楽しいパフォーマンスのひと時・・・。
 コントラファゴットの音をソロで聴いたのは初めてかもしれない。

高関の解説は、配られたパンフレットと違うヴァイオリンの配置についても触れていた。
「これが正調クラシック」と言いたかったのかしら・・・。

ベートーヴェンの解説はロッシーニよりもさらに丁寧。
各楽章2・3箇所を実際に鳴らして、 
いかに全曲が「ジャ・ジャ・ジャ・ジャーン」に支えられているかをやさしく説く。

全曲演奏は「英雄」よりは音楽の造りがはっきりとして見通しのいい分、
高関の分析的でストレートな音楽作りが受け入れやすいものになっていたと思う。
ロッシーニと同様、緩除的な部分の美しさとフィナーレの勢いの良さが目立った。
最近の札響らしく木管楽器が充実。ホルンも悪くない。
弦楽器も第2楽章で美しい響きを聴かせた。
ただしトゥッティでヴァイオリンがやや埋もれ気味だったのが残念。
低音弦と逆の配置、さらに全体から少しはみ出た位置に座ったせいか、
コントラファゴットの音がよく聴こえたのも興味深いものだった。

アンコールにお約束の?「ラデツキー行進曲」。
休憩があってもよい充実した内容で終演は予定を大巾にオーバーして18:27。
自分のような半端クラオタには大喜びの企画だが、
18時終演予定を謳っていただけに中座される方もいたのは気の毒。

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2010年 5月19日 札幌コンサートホール
    道銀ライラックコンサート 高関健指揮札幌交響楽団        

 当家のメインバンク?主催のコンサート。
 往復はがき3枚の応募が全部当たったのだから競争率はそれほどでもなかったのだろう。
 当家の長老曰く、宛名書きのない招待状を持っている人も少なからずいた模様。
 Kitaraは平均年齢の高めの聴衆で7割ほどの入り。
 開場5時半の開演6時半という早めの開場、開演である。

  指揮は札響の正指揮者高関健。
 ステージを見やれば当然のヴァイオリン両翼配置で期待が高まる。

  序曲は「セヴィリヤの理髪師」。
 「ドッ・ドーン」と重くあか抜けないアウフタクトの取り方がユニーク。
 しかしその雰囲気が終始続いてしまい、手堅いが色気にまずしい演奏で面白みに欠けた。
 この曲ならもうちょっと各楽器が自由にかけめぐり音楽が伸縮してもよいだろう。

続いてはラロのチェロ協奏曲、録音でも聴いた記憶のにない曲だ。
弦楽器の編成はひとまわり小さくコントラバス3本で第1ヴァイオリンは5プルト。
札響のトップ、石川祐支のソロは途中何度も汗を拭っての熱演。
曲の素晴らしさ、チェロの音の素晴らしさをアピールしたいのだろう。
なんとも雄弁で、下品な押しつけがましさのない音楽を聴かせた。
第2楽章の軽快な部分もさっと音楽を切り替えてしゃれた味わいを聴かせた。
札響のバックも手厚く仲間をサポートしたが、弦楽器の持続音が弛緩する場面があったのは残念。

15分の休憩をはさんでベートーヴェンの「英雄」。
全曲リピートをして50分を切る快速、イン・テンポ。
しかしそこは高関、スコアが見えてくるような細かく的確な指揮ぶり。
そのまま立体的でかつ新鮮な響きを引きだした。
ただしあまりにも極端なイン・テンポで、通常聴かれるような間やテンポの動きが皆無で、
ぐっとえぐられるような響きや表現が感じられないことに不満を感じる人もあろう。

全体として第2ヴァイオリンがやや弱くせっかくの両翼配置が十分楽しめたとは言えなかったのが残念。
札響のヴァイオリン、もう1プルト増員できればと思うのだが・・・。
木管楽器は各パート好調。最近の札響木管楽器はかつてのような下品さが感じられなくなったのがよい。
一方で金管楽器が技術的にどうかしら?と思わせる部分が目立つようになった。
第3楽章トリオのホルンは威勢がよかったけれど、音が決まらないのが痛い。
ティンパニは音量的にも音色的にも中途半端な印象を受けた。

なんとアンコールにシューマンの「ライン」の第3楽章。
さすがに定演直後、純度の高い美しい響きが聴かれた。

往復はがき1枚でこの内容が聴ければ大歓迎。
終演20:30

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2010年 5月 3日 札幌コンサートホール
    きがるにオーケストラ〜大作曲家の世界 ウォレン=グリーン指揮札幌交響楽団        

 過去いろいろと言われていました札響の「春の祭典」。
 今回はなんと小中高生は500円で聴けるというありがたい企画。
 事前の情報では大平さんがトップ!こりゃ参賀せねば・・・。

 部活疲れの息子をダシにした技を弄し1階席後方ど真ん中に着席。
 振り返ると制服姿の女の子が目立つ、おじさんには目の毒である・・・。
 しかし、ステージに立つ大平さんの美しさにはかなわない・・・。

 まずはブリテンの「青少年のための管弦楽入門」。
 この曲を生で聴くなんて思いもしなかった。

 解説の中川賢一はちょっとオーバーアクションで解説。
 オーバー過ぎて脇の大平さんのプルトのパート譜をふっ飛ばしてしまう。
 そこまでやるならナレーションの内容ももう少しオーバーであればと思う。
 ただ指揮者は外国人、コミュニケーションの問題があるか・・・。

 札響は管楽器陣を中心に力の入った好演。
 一番聴き栄えしたのは木管楽器。普段と逆の効果なのかしら?
 中低音の弦楽器は指揮者の望んだ遅めのテンポに緊張感を維持できなかった。
 打楽器陣は最初からアピールたっぷりで演奏も楽しめたが、
 1階席からだと楽器の位置が低く譜面台の下に隠れるのが残念。

 

最後のフーガの充実度は見事。
大詰めのパーセルの主題の再現に向かう高調感はソフトでは感じることのできない生ならではの感動的なものだった。

続いてナレーションの中川がピアノを弾いての「春の祭典」の解説。
これがなかなか楽しいものだった。
なんたってアントワープ音楽院首席、ピアノはインマゼールに師事というのだからすごい。
そのままピアノソロで全曲弾いてほしいほどの演奏に、若者向けのオーバーな解説が乗っかる。
5拍子に「まこまない!まこまない!」と連呼するのは驚いたが音楽の本質は逃さない。
自分にも荒々しい音楽のストーリーの主人公は乙女なのだということを思い出させてくれた。

たっぷり20分の休憩を挟んで「春の祭典」。
オケは解説の時間もあるから聴衆より長い1時間近い休憩を取っての演奏である。

冒頭のファゴットソロのしょぼさ、かつて誰かが「春の悪夢」と評したのが頭をよぎる。
きつく言えばここだけでも札響はこの曲を演奏すべきではない、ということになってしまう。
ソプラニーノ・クラリネットも一生懸命だったけれど、結果は伴っていなかった。
ホルンもここ一番(練習番号は44番)のところではずしちゃったみたいだった。
なにより室内オケとの活動がメイン(だった?)の今日の指揮者にどれだけ「ハルサイ」の経験があったのかしら・・・。

細かい部分での不満は数々あれど、逆に言えばそもそも期待度が低かった分?満足のできる演奏という言い方もある。
打楽器陣はちょっと不安げな銅鑼を除いて充分力強いパフォーマンスを聴かせた。
金管楽器のパワーも粗さのない力強さがあった。
弦楽器はトゥッティでは薄手だが2部冒頭など繊細な部分では美しい響きを聴かせた。
なにより第1部第2部共に大詰めでは大きなミスもなくクライマックスを築いていたと思う。

演奏が終わって最初の指揮者との握手で大平さんが見せたやれやれというような表情が印象的。

終演16:00

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2010年 4月 4日 札幌コンサートホール
    札幌アカデミー合唱団コンサート30 井上道義指揮札幌交響楽団
        

 聴くか否か悩んだコンサートだったが、この日の札響は大平さんがトップ。
 Benedictusのソロを聴こうとなんとか午前中で仕事をかたづけKitara入り。

 当日券でゲットしたのは2階席ステージ真横、指揮者の動きがよく見える。
 オーケストラはヴァイオリンが下手に並ぶ通常?の配置。
 大平さんの背中しか見えないのが痛い・・・。
 独唱はオケの後ろ、その後方に合唱。
 Pブロックは聴衆が入りその最上段でパイプオルガンが照明を浴びていた。

 井上道義の指揮は前回のオルフ同様しなやか。
 曲の割にはテンポも響きもやや軽い感じの出だしに肩透しをくった思いだ。
 明瞭さに欠ける合唱はKyrieの歌い収めのピアノが心もとない。
 独唱陣も強い押し出しはなく淡々としたスタートである。

 音楽に精彩が見えてきたのはGloriaから。
 始めこそ明瞭さに欠けたが、情緒的な部分では美しい響きが聴かれた。
 後半のフーガからコーダにかけてはこの日一番の出来。
 細かい音形を弾きこなす札響と共に充実したクライマックスを築いた。
 続くCredoも情緒豊かな中間部から後半への盛り上がりは立派。

  小休止をはさんでSanctus以降は音楽は穏やかに収束していく。
 ただもう少し緊張感と落ち着いたテンポがほしかった。

Benedictusは大平さんが力演、しかしちょっと張り切りすぎたか・・・。
Agnus Deiでは
古楽(あるいは軍楽隊)を意識したティンパニの響きが印象に残った。

情緒的な弱音、短いが充実した響きが聴かれたア・カペラなど細部に感心した部分は少なくないが、
合唱もオケも物理的にパワー不足なのは否めない。
今までCD等で聴いてきた数々の押しの強い演奏に比べればスケールは一回り小さいし、強烈な祈りというのも感じられない。
しかし無理に鳴らしてきしむような音楽になるよりははるかに良い。

独唱陣ではテノールの市原が存在感のある歌唱で飛びぬけていたが、
歌い出しに妙な力んだような声の揺れがあるのが気になった。
他の3人もオーバーな表現がなく好ましい歌唱で重唱でのバランスも悪くなかった。

コンサート前、もう一つ気になったのはパイプオルガン、実はPブロックに座ることも画策していたのだった。
基本的に独立したソロ・パートはないからCDの演奏でもその存在を感じることは少ない。
この日は比較的近い場所で聴いたためか随所でその存在を感じることができたし、
Credo(たぶん220小節)など明らかに際立たせるような扱いもされていた。

Pブロックはがらがらだが、あとは9割方埋まった大ホール、
ブラボーの声は無いものの、暖かい拍手が長く続いた。

終演16:30

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2010年 2月10日 札幌コンサートホール
    ベルリン古楽アカデミーオーケストラ ブランデンブルク協奏曲全曲演奏会        

 例年の無料コンサートをサボってやっと今年の初キタラ詣で。
 憲坊法師さんの来札が重なりオフ会?を兼ねてお誘いした。

 欠食親子はコンサート後のお食事会まで身体が持たない。
 近くのスーパー”S”(おわかりですね?ブラックモアさん!)で買った、
 とんかつ弁当(250円!)とおにぎり数個をエントランスでかきこむ。
 数度横切る紳士の姿が気になったが今宵はご婦人同伴のはず・・・。
 しかしその紳士がiPhoneを手にしたところで「おや?」
 その後ショップで後姿に見覚えのあるご婦人と合流・・・。
 いただいた携帯の番号をコールするとポケットからiPhoneを・・・。

 再開を喜ぶうちにやがてブラックモアさんも合流。
 聴く位置はそれぞれだが、ひとつの音楽空間を共にする嬉しさよ!

 ベルリン古楽アカデミー、初めて聴くグループである。
 しかしそれは自分の全くの不勉強。
 メンバーの中に聞き覚えのある「ミドリ・ザイラー」の名前があった。
 後日調べてみると、彼女はインマゼールとの共演など録音も少なくないし、
 この団体自身もルネ・ヤーコブスを指揮者を迎えてオペラやオラトリオの
 演奏をするなど、かなりの支持を得ていて札幌の翌々日の東京公演は完売。
 Kitaraの客席は残席はS席のみで8割方の入りとなった。

 

演奏は番号順に規模の一番大きな1番に始まり一番地味な6番で終わる。
前半は3曲出番のメンバーはステージに引っ込まずに交代メンバーだけの入れ替えだけ。
後半は3曲それぞれでチェンバロの位置が変えられるために曲ごとに全員が一度袖に引っ込んだ。

編成的には古楽器を使いながらも弦楽器のリピエーノは複数人数に弾かせていて、
現代のコンサートホールへの順応も考えられているように思えた。
リピエーノのメンバーは休みとなるソロの部分や中間楽章では楽しそうに身体をゆすりながらソロに聴き入っている。
人の好いドイツのおじさん、おばさんたちの楽しいアンサンブルという雰囲気である。

曲間目立ったのはステージ上でチューニングが熱心に行われたこと。
ザイラーがトップとなった3,4,5の3曲は特に念入り、最後の第6番でも各パートごとに音合わせが行われた。

演奏は総じて速めのテンポでそのためか立ち上がりの第1番冒頭ではアンサンブルの縦線がすっきりせず心配だったが、
やがて調子がでてくると通奏低音もしっかりとリズムを刻み、きっちりとしたアンサンブルで流れのよい音楽を楽しめた。
ただ細部を聴くと随所に魅力的な歌があったり、はっとするようなダイナミクスの仕掛けがあるのだけれど、
それらが散発的で全体としては一本芯になるようなセールス・ポイントに欠けるような思いがした。
またソロの装飾音が歌いすぎて拍の中に納まりきれていないことが多いのも気になった。
このあたりはこのコンサート全体としての責任者の名前がないこのアンサンブル、
リーダーシップ不在?の弱さを感じた。

個々の奏者はこれはという強烈な個性は感じられないが平均点は高め。
弦楽器では3曲のソロを弾いたザイラーの自由で力強い表現が目立った。
第1・2番でヴァイオリン、第3番でヴィオラを弾いたカールヴァイトはより堅実。
第6番では第2ヴィオラにもう少し強さが欲しいところだが、こちらの場所が悪いのだろう。
管楽器では第1番のホルンは派手さはないが力のある響き。
続く第2番と合わせてオーボエ(ベルナルディーニ、この人も有名らしい)の豊かな響きはこの日一番の聴きものだったが、
同曲のトランペットは線が細く技巧的にもつらそう。
第4番のリコーダーは後方の席でもバランス良く聴こえたのがうれしかった。
第5番のチェンバロは明快な響きだがもう細部にもう少し確実さが欲しい。
トラヴェルソは柔らかな響きが美しかった。

この日1番の発見は最後の第6番の第3楽章、
なんともしっとりとした感触の演奏で、コンサートが終わるのに未練を感じてしまうようなせつなさを感じたのだけれど、
最後のリピエーノだけはありきたりの調子で元気よく終了。
私は思わず「なんじゃ?こりゃー!」

最後には全員が登場して終演は21:20。

同伴の息子はカラヤンのCDで予習十分で居眠りせず、
5番のイケメン・チェンバロが気に入ったらしい。

混雑するクロークから抜け出てやっと上着を着るとみんなからはぐれてしまった。
ふらふらしているところを息子が拾ってくれた。

さあー!居酒屋だ!!

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