2009年のコンサート

2009年12月27日 札幌コンサートホール
    札響の第9 尾高忠明指揮札幌交響楽団ほか        

  今年もPブロック、1,000円で聴く第9である。
 昨年は空席を作った隣席には息子が初の第9挑戦。
 数日前のHPでは完売必至とあったが、当日売りもあり若干空席も見られた。

 大いに満足した昨年の記憶にに比べると今年は細部の仕上がりの粗さが気になった。
 テンポの運びもなんとなく落ち着かない。
 よく言えば全体的に積極的な勢いのある音楽を目指したが空回りしてしまったという感じ。
 大平さんがトップに座ったヴァイオリンも歌いすぎて遅れがちになったり、
 木管楽器は村祭りのように元気なフルートを筆頭にバランスが悪い様子。

 しかし今回感じた最大の疑問はオケの配置。
 昨年同様尾高さんはヴァイオリンを左側に揃え、続いてチェロ、ヴィオラ、コントラバス。
 思えば最近はこの配置で聴くことが少なくなった。
 こちらも新全集の登場が話題となり、スコアのおよその流れはつかんでいる。
 それだけにこの配置で聴く第9の響きにはかなり違和感が伴う。
 ヴァイオリンが両翼に展開してこそ生きる音楽が実に多いことに気づく。

 細部の表現にも第1楽章再現部を導くティンパニがしりつぼみになったり、
 第3楽章のホルンが技術的には問題ないが、ニュアンスに貧しかったり、
 先に述べたヴァイオリンのアンサンブルなど詰めの甘さを感じた。
 尾高さんと札響との慣れからくる甘さだとすると再来年の全曲演奏には改善されよう。


歌手は冒頭から着席、中途で入場して拍手が沸くよりは気持ちがいい。
後ろから聴く分歌詞も聴き取りづらいのは我慢するとしても、
ソロのある男声二人はややねばりのある歌い方で個人的には感心できなかった。
バリトンの久保は昨年のハニーサッカーとは違い"fre-uden"と一息で歌っていた。
このあたりは尾高さんは歌手任せなのか、原典回帰なのか。
ちなみに女声陣お二人は「美人!」
合唱はなかなかの充実。今年も終演後盛大な拍手を受けていた。

文句ばかり並べたが、なんといっても「第九」である。
熱のこもった二重フーガからハイ・テンポのコーダを聴けば大いに満足。
前半は尾高さんの目の前で白河夜船状態?の息子もフィナーレでは生で聴く第九の迫力に満足した様子。

終演16:25

2009年 1月16日 札幌コンサートホール
    ニューイヤークラシックコンサート2009 高関健指揮札幌交響楽団        

  今年も1発目は、無料コンサート。
  例によって、本格的にクラシックを聴きそうな方はやや少なめか?

  階段につまずきながら確保したのはCBブロック1列目ほぼセンター。 

  第1ヴァイオリンの後方にはコントラバス、チェロが展開。
  そろそろ札響の古典派演奏にはヴァイオリン両翼配置が定着するのかしら?

  前半の交響曲はベートーヴェンの第7番。
  第1楽章は「のだめカンタービレ」のテーマとして、
  最近ではソーセージのCMに使われ坊主もよく知っている。

  第1楽章の序奏を速めのイン・テンポで入り、
  各楽章でリピートを励行した高関さんではあるが、
  全体の雰囲気はピリオド奏法より、グランドマナー風の色合いが強かった。
  しかし、第1楽章の付点のリズムの扱いや、スケルツォのブリッジ部分など、
  細部へのこだわりを感じさせた場所も少なくない。
  この日の演奏は、練習なしのゲネプロと本番だけ行われたという話もあるから、
  高関さんと札響がある程度の妥協をしての結果かもしれない。

  弦楽器はやや混濁気味で、
  フォルテでは第1ヴァイオリンが背後のチェロ・バスに埋もれ気味だったが、
  第2ヴァイオリンが健闘して両翼配置の面白みを聴かせたと思う。

  管楽器はフルート、オーボエを筆頭に軒並みの絶不調。
  スカッと決まったソロはほぼ皆無といったら失礼かしら・・・。

  忙しい1月、ゲネプロだけで本番に臨まねばならない事情はさておき、
  高関さんの指揮ぶりからして、もう少しピリッとした音楽が聴きたかった。

  後半はお約束のシュトラウス・ファミリーの名曲。
  「『ドナウ』以外はバレンボイムの選曲と同じものはありません。
  私は彼と全然性格が合わないんでしょう」という高関さんだが、
  「こうもり」序曲に始まり、「チク・タク・ポルカ」で終わるというのは、
  オペレッタの序曲に始まり、その旋律を使ったポルカで終わるという点では同趣向なのである。

  前半のベートーヴェンが速めのイン・テンポだったのに比べると、総じてゆったりめのテンポ。
  ワルツではさらに変化を付け、濃厚な味わいを目指したかのように思われた。
  「こうもり」、「春の声」あたりはなかなか立派な演奏、それでも重くならないのが良かった。
  ただ個人的好みとしてはポルカに濃い味が欲しかった。
  「観光列車」の中間部のリズムが単調だったり(ホイッスルがショボかった!)、
  「新ピチカート・ポルカ」のダイナミクスの対比が弱かったりしたのは残念。

  最後にお約束の2曲。
  リピートきっちりの「ドナウ」に比べ、
  「ラデツキー」の後半は一節で終わったのはなぜかしら?

  終演20:50

   この日の後半の曲目
   「こうもり」序曲、「観光列車」、「春の声」、「新ピチカート・ポルカ」、「チク・タク・ポルカ」、
   「美しく青きドナウ」、「ラデツキー行進曲」

   追記
   坊主の反対側の隣には久しぶりに若い女性でした。
   ベートーヴェンあたりでは、曲にあわせて足が動いてました・・・。  

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