アンコールにはK.201のフィナーレ。これも残念ながらノー・リピート。
けれどもアンコールだから許そう。終演21:10。
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ホールに入って驚いたのは入りの悪さ、6割程度かしら。
席に着くと即オケのメンバーが登場、となりでは息を切らしている。
前半は庄司紗矢香を独奏にブルッフのコンチェルト。
赤ながら清楚なイメージのドレスで才媛は登場。
最初の第一音から演奏の内容に期待ができる響き。
こうした感触というのはそうあるわけではない。
低音から高音までむらのない、美しく深みのある音、重音のバランスのよさ。
年齢、あるいは性別を引き合いにしてはいけない、とにかく大変な大物である。
ただ後半のための大編成のセッティングの中、やや引っ込んだ位置で弾くことになり、
16型のオケにはさすがに音量的にのまれてしまう事があった。
ビシュコフのサポートはオケに任せた感じで、トゥッティでは響きが雑になる感があった。
アンコールにレーガーの作品。 まさしく水を打ったような静けさを作り出した聴き手の集中の中で鳴り響いた。
後半はショスタコーヴィチの「レニングラード」、プロによる北海道初演とのこと。
レニングラード生まれのビシュコフの血とケルンのオケの機能が結びついた名演が期待された。
個人的感想としてはその期待はオケの高い能力によって半ばは満たされたといったところか。
弦楽器群の質感、バランスはすばらしく、冒頭主題をはじめ随所で見事な合奏を聴かせた。
特にヴァイオリンの音色、ビブラートの均一感は見事、これは1月余りで聴くことになるPMFOには
残念ながら絶対に期待できないもの、長年のアンサンブルの賜物である。
管楽器は木管楽器がどのパートも見事なソロを聴かせた。
驚いたのはファゴット。リードも替えるのだろうが、
朗々たるソロがホールに響いた。
ただし金管楽器を含めた全体のアンサンブルでは、完璧というに今ひとつ整理が行き届いていない感じがした。
ビシュコフの指揮は、熱のこもったもので、ダイナミクスは作曲家の指示にそってはっきりと段階付けられる一方、
フィナーレ大詰めをはじめ、随所でテンポの扱いにはかなり自由な変化を付けているように思われた。
ただしそれが即興的なのか、今ひとつオケが付いて行けずにぴたりと決まらないもどかしさもあった。
と文句をつけながらも曲が曲だけに、熱演指揮者と、高機能オケによる演奏は、オーケストラ音楽の醍醐味を
十分に堪能させてくれたことには違いない。
演奏後ほとんど全員がパートごとに立たされた。一番の喝采を受けたのはもちろん!小太鼓奏者。
最初のうちはどこで叩いているのかわからないほどの小さなアクション、しかし恐ろしいほど明晰な音で
チチン・ブイ・ブイを支えた。二番手は先に述べたファゴット。
喝采といえば少ないながらこの日の聴衆の反応は実に熱心。一度始まった拍手は途中静まることなく、
高いテンションでステージに賛辞を送り続けた。
大曲にアンコールは必要なし。終演21:20。
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印象としては、明るく、抜けたような音ではなく、骨太、厚く、暗めの音色、
フレーズはていねいに念を押すように刻んでゆく感じ。
ロングトーンで時折音がぶれるような感がするのはさすがに年齢のせいか?
しかし積み重ねられるように進む音楽に次第に引き込まれていった。
前半はソナタを3曲、最初のビンシはバッハとほぼ同年代の人。
歌謡的な旋律は、ややフレーズが短く整理されすぎて音楽の流れが
悪くなる事が時折あった。続いてはバッハ、先に述べた特徴が生きるのは
やはりバッハの音楽だろう。実に明確、ほどよい緊張感をはらんだ音楽。
3つ目のプロコフィエフはさらに力強さも加わり、この日の白眉となった。
ここまで1時間弱、曲の合間はほとんど休みはなく、74歳という事を全く
感じさせないステージとなった。ブラスバンド所属なのだろう。制服姿が多く
見られる聴衆の集中力は楽章ごとに高まっていく。休憩は10分。
後半はショー・ピースとまではいかないが、ソナタではない作品が4つ、
中では福島和夫の「冥」という作品が日本的な曲想の中で、いろいろな
奏法が試されており聴き手の感心を集めた。
ただルーセルやフォーレなどはもう少しくつろいだ感じがほしかったような気もする。
最後にパガニーニのおなじみの主題によるカプリース。これは自らの編曲でもありノリのいい演奏。
アンコールはそれまでと同様、あまり休まずに4曲、締めの二つはバッハ。
終演まで技術的に安定した演奏で、聴き手を掴んで放さない。
伴奏はソロとのバランスに十分に心を配ったもの、しかし今ひとつの音楽への鋭い切り込みが欲しかった。
終演、21:05。
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声楽はソプラノは女性、アルトはカウンター・テナーが担当しました。
ソプラノ独唱はふたり、曲の内容ににより振り分けていたようです。
演奏自体は、大掴みと言っていいのか、細かい部分のアンサンブルには
とらわれず、速めのテンポで曲間を短くとってぐいぐいと曲が進んでいく感じ
です。その熱気をもった曲の進め方はトスカニーニ風でもあります。
オケは実に整備された響きですが、低音は人数のわりに控えめで、
重心が軽い感じがしました。注目は鍵盤楽器。ハープシコードとオルガンを
一人で弾き分けていましたが、曲間が短い解釈だけにその切り替えの
忙しさは、そのダイナミックな弾き方と合わせてこの日一番の見ものでした。
合唱は声の量、質ともにたいへん高い水準ながら、縦線のそろいは今ひとつの感がありました。
25人が1列に並んだのですが、ソプラノの人数が多い分、各声部の音の広がり方にバランスの悪さを感じました。
70年代後半生まれの人もいる独唱陣はいずれも誠実な、丁寧な歌でした。
しかしそれ以上のものを多く聴かせてはもらえなかったというのも事実です。
ソプラノのディンマンは魅力的な声で、モーツァルトあたりを聴いてみたいと思わせました。
もう一人のソプラノ、イムも可憐で魅力的ではありますが、メリスマ的な歌唱にはやや硬さがのこります。
1979年生まれのカウンターテナーデュモーは押し出し不足ですが、不安のない歌唱。
テノールのベイトンはやや力みが感じられたのが残念。バスのゲーは全体の色彩にあわせたのか、
重心の高い感じの歌唱でした。
細かい部分に文句をつけるときりがないのですが、全体としてはクリスティのダイナミックな曲の運びに
のせられて、全曲退屈することなく聴けたのは間違いありません。
なんとアンコールにラモーの「優雅なインドの国々」から華の四重唱。 終演、21:30。
今年最初のコンサートはウィーン・リング・アンサンブルです。
・・・というはずだったのですが、しっかり忘れてしまいました。
今まで2回夕張まで車を走らせて聴きにいっていたのですが、
やっと札幌にきたというのにまんまとやってしまいました。
気がついたときには開演30分後、どう考えても自宅からは間に合いません。
PMFで待ってるよ〜