新世紀の最初のコンサートは「我が祖国」全曲演奏会です。
オーケストラに今ひとつ魅力を感じなかったのですが、作品の魅力に勝てず、
当日券でもぐりこみました。
冒頭のハープがそろわなかったり、前半はあやしい部分もありましたが、
尻上がりに調子があがり、最後の2曲は全く素晴らしい演奏となりました。
以下、旧サイトの当日コンサート帰りの私の書き込みを転用します。
冒頭「高い城」あたり冒頭のハープが揃わない、弦楽器のざらざらとした肌触り、
金管の他とのバランスなどオーケストラの雑な響きが気になりました。
全体として低弦の厚みに欠け、それがオーケストラ全体の響きを今一つ薄っぺらい物に
していた様に思います。ティンパニが全く活躍しないのも音楽の起伏を奪っていました。
「モルダウ」は手慣れているのか無難でしたが、先に述べた不満は同様です。
おなじみの曲ということで拍手がありましたが、私はさすがにその気にはなりませんでした。
曲もドラマティックになってくる「シャルカ」あたりで、オーケストラの響きがまとまってきました。
クラリネットソロはやや不安定でしたが、トロンボーンパートの活躍するコーダあたりを
聴くとこのコンビにはこうしたドラマティックな曲の方が似合うの様に思えました。
後半3曲、やはり1曲目「ボヘミアの牧場と森から」あたりは、ミュートのついた弦楽器からはじまるフガートの部分などアインザッツなど仕上がりの粗さが気になりますが、後半の盛り上がりから本領発揮となりました。
その結果最後の2曲「ターボル」「ブラニーク」は全く文句のつけようのない名演でした。ビエロフフラーヴェックの柔軟なテンポ運びも違和感なく決まり、オーケストラも充実した響きとアンサンブルを聴かせてくれました。
前半はどうなることか思いましたが、最後2曲を聴けただけでも値ある一夜でした。
前回のPMFを聴き逃しましたので、私にとってはKitaraで初めてのLSOです。
1曲目ベートーヴェンの「レオノーレ」序曲第3番。
ゆったりとしたテンポで進められました。sfなどのアクセントはきっちりとしながら、
ダイナミクスが控えめで、オケに余力を持たせた感じでした。
2曲目のヴァイオリン協奏曲は、ズナイダーのソロが美しく聴き物でした。
これでベートーヴェンらしいスケールの大きさが加われば、言うことなしです。
1975年生まれですから、これからの円熟が期待されます。
後半はチャイコフスキーの交響曲第5番。
すこし期待はずれでした。指揮振り自体そうなのですが、
全体的に低音弦への要求が甘く、ヴァイオリンがよく歌うのですが、
低音弦が聴こえず重心が軽い音作りになり迫力不足でした。
セクション自体は申し分ない演奏だった金管楽器の音が全体に溶け込まないのも
この音作りに起因するような気がします。
アンコールは2曲、
チャイコフスキーの「雪娘」からの弦楽合奏曲。
続いてショスタコーヴィチが編曲したJ=シュトラウスのポルカ「観光列車」。
チャイコフスキーが愛情あふれる温かみのある演奏でした。
LSOの実力の素晴らしさは相変わらず、できれば違う指揮者で聴きたかったです。
1928年生まれというから73歳。クラシックを聴き始めた頃パドゥラ=スコダとの
二重奏をテレビで見た、私にとってはある意味で初めて知ったのピアニストです。
器楽曲というジャンルをあまり聴かない私が、恥ずかしながらはじめてピアノリサイタル
に足を運ぶきっかけになったのは、その懐かしい名前と私が好きなピアノ曲がそろった
プログラム。
3列3番という端のほうの席でしたが、前が空席だったのが幸いして、
奏者の全身はもちろん手許までもよく見えるポジションです。
全体として自由闊達なテンポの音楽の運びで、低音から高音まで実に透明感あふれ
かつバランスよい響きに魅せられたひとときでした。
ただし冒頭のハイドンではそれが災いして、ハイドンの持つ端正さにそぐわない、
焦点のはっきりしない演奏に聴こえました。
しかしモーツァルト以降はこちらの慣れもあったのか、あるいはデムスもエンジンが
かかったのか、そうした点は感じられませんでした。
モーツァルトは、第2楽章までは心を洗われるような透明感あふれる音楽でした。しかしフィナーレで”alla turca”を強調したのか突然荒々しい、雑な響きになったのは残念でした。
ベートーヴェンは、普段聴いていたケンプのようなかちかちのドイツのというよりは柔軟なウィーンのベートーヴェン。
期待とは違いましたが、こういうのもありだよなと納得できるだけの力をもつ音楽でした。
後半のシューベルトでは、前半で時折聴かれたフォルテの荒い、雑な響きは消え素晴らしい演奏でした。
絶妙なアタッカ?!で続けられたふたつの即興曲でのロマンティックな雰囲気、そして「さすらい人幻想曲」での力強く、
華やかな演奏。ともに文句のつけようのない演奏でした。圧巻は「さすらい人幻想曲」のコーダのフーガ。聴いていて思わず居住まいを正してしまったほどの堂々たる音楽でプログラムを締めくくりました。
アンコールは3曲、シューマン、そしてデムスの自作、最後にシューベルト。
なんとなく懐かしさがただようデムスの自作「夕べの鐘」が印象に残りました。
1998年PMF以来の来演、指揮はもちろんチョン・ミョンフン。
チケット発売後、ソリストが姉のキョンファに変更になり話題になりました。
1曲目 ロッシーニ「ウィリアム・テル」序曲
冒頭チェロのソロがやや後押し気味の音で深みに欠けます。
「朝」の部分までやや雑なアンサンブルが気になります。ここも女性が担当したイングリッシュホルンのソロも、チェコのオケの奏者に比べ聴きおとりがします。終結の「スイス軍の行進」はさすがにオケの鳴りもよくなり、エンジンがかかってきたようです。
2曲目 ブラームス:ヴァイオリン協奏曲
注目の姉弟共演です。ソロの音の通りが悪かったという評判がありましたが、
第1楽章前半はその感がありましたが、後半からはこちらも慣れたのかそうしたことは感じられませんでした。ナイジェル・ケネディを思わせる、アクティブな弾き振りでしたが、全体的にスケールの大きさに欠けているかなと思いました。
アンコールにバッハの無伴奏パルティータ第2番から1曲。
実に深みのある素晴らしい演奏でした。正直にいいましてこのとき後半のベートーヴェンのかわりに無伴奏から2・3曲やってくれたほうがいいなと思ったりしました。
後半はベートーヴェンの交響曲第7番。テンポやフレーズにユニークな扱いが聴かれそれらが充分にオーケストラが汲み取って音にしています。曲の隅々まで確信に満ちた名演といっていいでしょう。失礼な言い方ですがこれでオーケストラがもうワンランク上の実力であればと思うのは贅沢でしょうか?ドヴォルザークを録音しているウィーン・フィルともそのうちとりあげてほしいところです。
アンコールはマスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲。
けして大げさにならない美しい演奏でした(個人的には歌いまくった演奏もすきなのですが・・・)。
チケットは当初出演予定のソプラノの名前が印刷されています。
たぶん後からチケットを入手した父のチケットはチョン・キョンファの名前になっているかと思います
私にとって初めて聴くロシアのオーケストラです。
指揮はフェドセーエフ。クラシックの聴きはじめの頃ソ連期待の若手として
名は知られていました。
ホールに入って、驚いたのは正面に並んだ8本のコントラバス!
そして舞台上手にならぶチェロ!!初めて見るヴァイオリン両翼配置です。
プログラムはチャイコフスキー「第4番」、「第5番」。日本公演初日です。
トップに書いていたように、かつてのレニングラード・フィルやソヴィエト国立響などの
イメージが強くて大音量のコンサートを期待しましたが、これは以外にはずれまして、
骨太でありますが、圧倒されるような音量というのはほとんど聴かれませんでした。
また全体的に濃い表情付けというのもなく、いわゆる(偏見かもしれませんが)「ロシア的」
なイメージは少し薄いかなと思いました。
2曲とも速めの第1楽章、ゆったりとした第2楽章の対比がとられ、後者の表情が豊かに
感じられました。またユニークだったのは両曲とも中間の2楽章をアタッカで演奏したこと。
それ自体は面白いのですが、後半2楽章をアタッカにしないと曲全体として緊張感に欠けてしまうように思います。
両翼配置の印象としては、やはり対位的な弦楽器の扱いの聴こえ方が効果的です。一方でヴァイオリンの音が薄手に
聴こえ、粗が目立ちやすいという印象は否めません。これはN響がブロムシュテットの指揮でベートーヴェンをとりあげた
映像でも感じたことです。
木管楽器はずば抜けた印象はありませんが、よく整っています。金管は先に述べたように常に大音量というよりは
メリハリをつけて勝負している感じです。第4番の第1楽章で「運命の主題」の扱いがしだいに隈取りのきついものに
なったのは偶然ではないように思います。しかし第5番の第2楽章のホルン・ソロがメロメロだったのはいただけません。
アンコールは2曲、まず外山雄三の「管弦楽のためのラプソディ」から後半(フルート・ソロから)。
これには驚きました。フルート(美人!)・ソロはなかなかの健闘でした。打楽器が拍子木ほか和楽器がないので、
乾いた、切れのある日本的な音にならなかったり、フルート・ソロの伴奏の弦楽器がチャイコフスキー調にどんよりと
するのはご愛嬌。2曲目は打楽器が活躍するにぎやかな曲。これがなかなか好評で聴衆も盛り上がりました。
チャイコフスキーの「雪娘」から道化師の踊りとのこと。「雪娘」は先のロストロさんもとりあげていたので、魅力的な
曲が多いのでしょうか?
大阪フィルというよりは朝比奈隆指揮のコンサートであります。
コンサートツアーの一環ではないようで、プログラムが販売されてません。
そんなわけで画像はチラシです。
プログラムはオール・ベートーヴェン、「皇帝」と第7番です。
「皇帝」
ソロの伊藤は明快で力強いなタッチのベートーヴェンを聴かせてくれました。
第一楽章では力みすぎのところもありました。むしろ第二楽章での叙情的な
演奏の美しさに惹かれました。
フィナーレでは先の二つの楽章の音楽作りがバランスよく表現された好演。
テンポの自由な扱いも決まっていました。
オケは前半はヴァイオリンの鳴りの弱さが気になりましたが、
曲のせいかしだいに気にはならなくなりました。
交響曲第7番
演奏全体として予想より速いテンポですすめられました。
低弦がしっかりと音楽をささえたこれぞベートーヴェンといった骨太の演奏。
細部の表現も長い両者の関係が裏付ける確信に満ちた音楽。
一番印象に残ったのは美しく磨かれた第2楽章。
しかしやはりヴァイオリンの鳴りが弱い、物足りません。
ここでは管楽器全パート倍管のためその弱さが余計気になりました。
その倍管だが、スケールの大きさへの効果絶大でした。
しかしトランペットまで倍にする必要があったかなということと、
フルートも時折全体のバランスから浮きすぎたところがあり気になりました。
フィナーレで作曲家の指示のオクターブ上を4本で吹かせましたが、そこまで必要あるかな?と思いました。
さて、やはり朝比奈の指揮について語らねばならないでしょう。
指揮台に上がる一歩がつらそうな老匠の肉体的な衰えは明らかでした。
ピアノの陰になる「皇帝」ではあまり気がつきませんでした。
後半の「第7番」、美しい第2楽章の後、後ろ手に手すりにもたれて休みをとっていました。
それでこちらが気にしてしまったのでしょうか。
明らかにコンマスがアインザッツや音楽の流れをリードしている部分が多くみられました。
もちろん、是非はさておき、そのことで長年にわたる関係で育まれたであろう音楽のスタイルが
揺らぐことはなかったことを付け加えておきます。