ついにウィーン・フィルを聴くことになりました。
12,000円!当時としては高い価格でしょうか?
当初父と行く予定だったのが仕事の関係でキャンセル、
親類のお兄さんと行くことになりました。
日本公演初日ということで、両国国歌演奏がありました。
FMで聴いた2年前のベーム指揮での演奏同様どっしりとした重量感。
1曲目は「未完成」。
やはり大変美しい響きのオーケストラだなというのがわかりました。
2曲目は「ティル・オイレンシュピーゲル・・・」
少し前にTVで見たライトナー(?)/N響の演奏のほうが、
かっこよかったように思いました。
後半はベートーヴェンの7番。
これがもったいないことにあまり記憶にありません。アンコールはヨゼフ・シュトラウスの「うわごと」。
「あー、ウィンナ・ワルツだ!!」うかれていたように思います。
後日、あるところでこの日のコンサートをウィーンの評論家(あるいは新聞記者)が、
「広すぎて無味乾燥な音のホールではウィーン・フィル本来の響きは聴けなかった」と
レポートしたという記事を読みまして、「いや、あれはウィーン・フィルだよ」と
心の中で反発したことを思い出します。
ウィーン・フィルの次はシカゴ響です。
随分すごい年だったのですね。
演奏前チェロのトップに座っている風格ただよう老奏者をチェック。
あれがフランク・ミラーだっ!
NBC響のトップとしてトスカニーニの指揮を見つづけていた彼は、
その後シカゴのトップとして、ザルツブルグでトスカニーニのオペラに
アシスタントとして参加したショルティの元で活躍していました。
ちなみにこの日はステージの上は白のタキシードでして、
それが実に目に鮮やかでした。
それから腰に手をあてるショルティの独特の指揮のポーズ、
指揮棒を胸元に掲げるような答礼のときの態度など思い出します。
曲目は「海」と「幻想交響曲」
こちらは今となっては記憶が薄くなっていまして、
「海」の最後の一音がびしっと決まったこと。
「幻想」ではフィナーレの鐘の音とコル・レーニョの音が意外とショボいのにがっかりしたこと。
(「幻想」は当時ストコフスキー盤を愛聴していまして、これがいけなかったのでしょう。)アンコールはなぜか新聞広告で「ボレロ」と予告されていたのですが、
演奏直前にハープ奏者がステージを去り(「ボレロ」にはハープが使われます)、
鳴り渡ったのは小太鼓のピアニシモではなく、金管の「巡礼の合唱」でした。
ワーグナーの「タンホイザー」序曲でした。これは私の聴いてきた音楽の記憶のなかで特別なもののひとつです。
特に後半圧倒的な力量をほこるシカゴ響は、「無味乾燥!」とウィーンのうるさがたに
こきおろされたホール全体を大きくゆるがせました、いわゆる「箱鳴り」というのをこのとき初めて知りました。休憩時間にはショルティのサイン付きでしたので「幻想」のレコードを買ってもらいました。