びゅうリップロレス
2010.1.16 プロレスリングノア 横浜赤レンガ倉庫ホール
2007.10.25 プロレスリングノア 横浜赤レンガ倉庫ホール
2004.4.11 BATTLARTS 石川屋興行 桂スタジオ
2010年1月16日 横浜赤レンガ倉庫ホール
今回のシリーズは全8チームが参加するタッグのリーグ戦、その名もグローバル・タッグリーグ戦である。横浜大会は、ここ赤レンガ倉庫3階のホールで2連戦となっている。今日のカードは、リーグ戦2試合を含めて全6試合と少なめで、欠場の選手も多く、志賀や井上が試合前からリングサイドに付いていた。
鼓太郎の負傷によるGHCジュニアタッグ選手権の返上がリング上で発表された後、第1試合のコールとともに、ブッチャーのテーマ曲でもある「吹けよ風呼べよ嵐」が流れると、キース・ウォーカーが短めのチェーンを振り回し、ウォウォ言いながら入場してきた。いでたちはブロディというわけで、なかなか強そうな外国人である。対戦相手は若手の青木だが、全くひるまずに睨み返すとは頼もしい。試合は数分で敗れてしまったが、これは仕方ない。ウォーカーは、強豪外国人選手に育ってもらいたいところだ。
続く第2試合は、その強豪外国人バイソン・スミスが登場、小兵の石森と対決した。このカードはもう経過が見えているが、石森が軽快な動きでバイソンを翻弄、しかしそのうちに捕まって大型選手の豪快無比な技を食らってしまうという展開になった。予想通りながら試合内容は悪くなく、楽しませてくれた。
第3試合は6人タッグマッチ、佐々木健介、森嶋、丸藤対クリス・ヒーロー、クラウディオ・カスタニョーリ、リッキー・マルビンの対戦である。リーグ戦に参加中の佐々木&森嶋組、ヒーロー&カスタニョーリ組にジュニアクラスの選手がひとりずつ加わった構成で、、この手のリーグ戦中にはよく見られるカードといえよう。この狭い会場で、でかい選手がリングで暴れると大変な迫力だ。ジュニアでは厳しい戦いをするマルビンが、外国人チームに入ると妙にコミカルなファイトをするのが面白い。決着は丸藤の不知火だった。
試合数が少ないので、次は8人タッグマッチになった。田上社長、秋山、小川、本田対GHC王者杉浦、谷口、金丸、平柳というカードで、いまいちピンと来ないが、一応ベテラン勢と新GHC王者の率いる若手チームということになるだろうか。8人もいると、あまり対決の図式もはっきりせず、バタバタした展開になるのが常であったが、杉浦が秋山に猛烈につっかかっていき、非常な緊張感を醸し出す。やはりGHC王者の振る舞いがノアという団体全体のカラーにも影響するのだろう。受けて立つベテラン勢も、上手くいなしてしまう小川、やっぱりどこかコミカルになる田上社長、がっしり受け止める本田、倍返ししてくる秋山と、さすがのリアクションを見せた。
セミファイナルはリーグ戦、潮崎、斉藤対高山、佐野の対戦である。序盤は斉藤が驚異的な強さを見せ、高山を圧倒、潮崎にも攻撃される高山の姿を見て帝王伝説も終焉かと思ったのだが、これはとんでもない間違いだった。中盤から盛り返した高山組、佐野の蹴りが冴え、高山の豪快極まりない大技が炸裂して前GHC王者を追い詰めていく。斉藤は終盤でも相変わらず強く、激しく抵抗したが、潮崎は抗し切れずにフォール負けを喫してしまった。王座から転落した若い潮崎には、しばらく辛い修行の期間が続くとは思うが、ここを凌いで真のメインイベンターに成長してほしい。
いよいよメインイベント、新日本プロレスから参戦の真壁、本間組が登場してきた。このふたり、新日でも支持はあるがヒール役であるから、今日は思う存分暴れるであろうし、会場は一部の新日ファンを除いて大ブーイングで迎えることができるわけだ。ウォーカーよりはるかに長いチェーンを振り回して入ってきた真壁は、リング上で仲田龍にも注文をつける。そこへ、テーマ曲の鳴る前に力皇、ヨネ組がリングに駆け上がり、早速乱闘から試合が始まった。ヒール側とは言え、真壁と本間は目に余る反則はやらず、やや度を越したラフ殺法という程度であるが、それでも観客のヒートアップを呼び込むには十分である。得意技の自コーナーのコーナーマットを外す作戦も繰り出したりするが、ヨネと力皇はやはりでかくて強い。多少手を焼いているものの、余裕十分で受け、反撃に転じている感じだった。というわけで、蹴散らされた新日勢であるが、TVでは見られない本間のリアクションには注目したい。コーナーで真壁が大技を食らった時のしまったというような表情、コーナーに追い詰められ、力皇が突進してくる時に浮かべた恐怖におののく顔など、まさに名優であった。それはそれとして、今日のMVPは、やっぱりノアの砦を守り、会場を大いに盛り上げた力皇&ヨネ組ということにしておこう。
2009年8月10日 横浜文化体育館
夏の新日・横浜大会はG1クライマックスである。一昨年、あまりにひどい興行を見せられて昨年は行く気にならなかったのだが、直前の広島大会のTV中継を見ていたら割とよかったので急遽、観戦することにした。最近の新日はいい試合をやっているとも聞いた。
会場に入ると、観客は少なくとも以前より多く、そして高揚していた。だいたい2、3階席で4割、アリーナで8割ほど、全体で5割程度の入りだ。
タイガーマスク、岡田かずちか対矢野通、石井智宏の第1試合の後、いよいよ公式戦に入る。大森隆男対バーナード戦である。最近の大森は体系的にも動き的にも田上っぽくなっている。ジャイアント馬場の全日本プロレスを継ぐ者と言えるのかも知れない。そのせいか、先日のTV解説では山本小鉄に酷評されていたが、これはこれでひとつのスタイルなのだ。会場のファンも、以前の「信者」は絶滅したか、大森のプロレスを楽しんでいる。くだらない反則決着には興を削がれたが。
また、G1でこのつまらない展開を見せられるのかとうんざりしたのだが、この後の試合はそうではなく、盛り返した。実は、次のTAJIRI対田中将斗戦もTAJIRIの毒霧による決着だったのだが、TAJIRIの華麗で独特な動きに感嘆させられた。さすがにWWEで活躍した男だ。一方の田中も実力ではそのTAJIRIを圧倒していた。続いて永田裕志対天山広吉の同世代対決、棚橋、中邑らの若い選手に押され気味のふたりにとっては大いにその存在感をアピールすべき舞台となるわけだが、永田は先日の広島大会に続き、地元ベイスターズのユニフォーム姿で登場し、会場を味方につけることに成功する。さすがは試合巧者である。しかも、天山は首や肩のコンディションが悪いらしく、そこを厳しく責め立てた永田が勝利した。今日、公式戦のカードが組まれていなかった後藤洋央紀がジュニア選手との6人タッグマッチを終えたところで前半が終了した。
今日は体育館のステージ上にふたつの大型モニターがある。公式戦の選手入場前には、対戦カード発表を兼ねて選手が登場する映像が流れる。両選手が互いに相手のほうを向いて、なにやら注文を付ける動きをした後、ぴったりのタイミングでこちらを向いてポーズをとる。もちろん、別撮りの合成であるが、両選手の息が完全に合っているので、格好いいと同時になにやら微笑ましい。おそらく、10分の1秒単位の正確さでポージングしたのだろう。しかもたぶん左右1回ずつ撮影したのだろうと思うと、ちょっと楽しい。
さて、休憩明け、新日が協力するがん撲滅運動のセレモニーが行われ、ほんわかしたムードになったのをぶち壊すように飯塚高史がリングサイドを破壊しながら登場した。ヒールはともかく、意図的な反則負けばかりを繰り返している。こういうレスラーがいてもいいかも知れないが、なんであの飯塚が引き受けなければならないのか、昔の彼を知る者にとってはつらい。せっかくの中邑真輔の試合も場外乱闘、そして凶器攻撃、このままで終わるのかと思ったらうんざりだったが、中邑が猛反撃、スピード感あふれる大技の連発であっさり飯塚から3カウントを奪った。
そしてセミファイナル、ノアの杉浦貴が登場、中西学との対決だ。なんか似たタイプのふたり、貴とか学という名前があまり似合わない。ごつい殴り合いに加えて斬れのいい投げ技が交互に炸裂する。ただし、ぶちかまし合戦はでかい中西が圧倒した。やはり体格差がものを言って中西が押し気味だったが、そこは不屈の闘志を発揮した杉浦、オリンピック予選スラムを豪快に決め、中西をぶっ倒した。
セミファイナルとその前でいい雰囲気になったところで注目のメイン、IWGP王者の棚橋弘至対真壁刀義のリーグ戦である。最近の棚橋の人気ぶりは耳にしていたが、会場の声援は、華麗なチャンピオンより無骨な真壁のほうが上だ。しかし、棚橋もあえてヒール的な攻撃を繰り出して客席を挑発する。両選手とも、観客を意識しながらの戦いである。山本小鉄は好まないかも知れないが、会場は盛り上がる。緩急のある30分の戦いの末、時間切れ引き分けに終わった。真壁ファンが多かったせいか、フルタイムで疲れたせいか、棚橋のマイクアピールはなし。と、いうことで、横浜大会のMVPは独断ながら永田裕志に決定。
2008年6月14日 横浜文化体育館
今年も6月の文体にノアがやってきた。
メインイベントには森嶋対杉浦のGHCヘビー級選手権、やはり大会場のメインはシングルマッチがいい。そのせいもあってか客席は8割程度の入り、満員にはならなかったが、昨年よりは席が埋まった。ゲストは佐々木健介はじめ健介オフィスと高山善廣、外敵というよりノアファミリーだ。
第1試合では健介オフィス対ノアの若手対決、しかしひとりだけ泉田が入っており、このクラスに入ると格の違いを見せつけた。
三沢社長と歴代の付け人が集まったタッグマッチなんかがあって、セミファイナルは小橋・KENTA組対佐々木健介・中嶋勝彦の対戦、小橋と健介はあのドーム対決以降、すっかり友情が芽生えたようで、息のあった激しいチョップのやりとりを楽しんでいる。息が合いすぎて、見ているとひどく痛そうな反面、コミカルな動きにも見えてくる。一方、KENTAと勝彦は若いだけあって闘志むき出しの戦いになる。小橋と健介は、暴走の過ぎる子供または年の離れた弟を抑えつつ、試合をしている感じだ。30分で決着はつかなかった。
メインはGHCヘビー級選手権、森嶋猛に杉浦貴が挑戦する。正直なところ、超ヘビー級の森嶋にジュニアの杉浦がシングルマッチで勝てるとは思えない。実際、両者が組むとどう見ても森嶋が優位だ。当然、杉浦が精力的に攻め込み森嶋がそれを受けるという展開になる。杉浦のほうはとにかく突進すればいいが、森嶋のほうは最終的には軽量の杉浦を説得力ある技で仕留めなけらばならないという、苦しい状況だ。そのためか、森嶋は巨体にもかかわらず、リングから、コーナートップから飛びまくった。最終的には説得力あるバックドロップで勝利を収めたが、
試合終了後はくやしそうな表情を浮かべ、観客席に頭を下げた。しかし、チャンピオンはどんな苦しい状況でもメインイベントを務めあげなければならない。
2007年10月25日 横浜赤レンガ倉庫ホール
最近、プロレスの興行が開催されるようになった赤レンガ倉庫ホール、ノアは今年2度目の大会となる。
1号館の最上階にあるホールだが、思ったより天井が高く狭いとはいえあまり圧迫感がない。
入場前に見た赤レンガ倉庫周辺の光景が投影されるからかも知れない。前回の文化体育館では空席が目立ったが、器がまるで違うので今回は満員だ。
前説はまたもRO&D軍、TAKAみちのくが担当。「おれたちを好きな人も嫌いな人も元気よくコールしてくれ」などと会場を盛り上げてくれる。第1試合の6人タッグ、佐野井上百田という非常に魅力的なトリオが登場、佐野がソバットを放てば百田は全くブリッジを使わない独特の可愛らしいバックドロップを2発披露、仕上げは井上雅央がかついだ。
第2試合でKENTAが登場すると雰囲気は一変する。対するカシラ川畑も奮闘したため、緊張感のある試合になった。KENTAのパートナー石森の動きもいい。
第3試合は明後日に控えた最終戦武道館大会でGHCジュニアタイトルを争うムシキングテリーと金丸が、それぞれマルビンと菊地と組みタッグで直接対決、当然金丸は喧嘩腰だ。テリー・マルビン組が菊地を痛めつけると場内からキクチさん!の声、苛立ったマルビンは「キクチサンじゃねえよ。」と切れた。試合はテリーが勝ったが、試合後に金丸がテリーを叩きのめしてしまった。
休憩後は秋山・アニキ志賀のドリームタッグ、相手はハードな雰囲気を醸し出す斉藤だが、ここに橋が入ってきてなんとも牧歌的な雰囲気が漂う。予想通り、秋山に終始子供扱いされたが、心身ともに打たれ強くなっているようにも見える。
1試合飛ばしてセミファイナルは、やはりGHCの前哨戦、RO&D軍ブキャナン・ブラウン組と杉浦・丸藤組の対決だ。RO&D軍にはTAKAが、杉浦・丸藤組にはモハメドヨネが加勢している。この外人ふたりにジュニアクラスの杉浦と丸藤では少々分が悪い。結局杉浦がやられてしまった。
メインはGHCヘビー級タイトルの前哨戦、三沢・森嶋対ジョー・高山組だ。森嶋は巨体を生かして高山とぶつかり合い、海外サーキットの経験がそうさせたか、かなり緊張感のあるいい顔になってきた。あとはもう少し肉体を絞って精悍な雰囲気を出してほしい。一方ジョーに比べて体格的に劣る三沢社長はかなり苦しい。終盤、孤立して左右の手をジョーと高山にむんずとつかまれ、動けない身体にぼこぼこキックを入れられる姿はチャンピオンとも社長とも思えぬ哀れさが漂った。観客の危ない危ないという声の中、三沢社長は割と簡単にフォール負け、そのまま担がれて退場していった。
2007年8月8日 横浜文化体育館
近年恒例となったらしい新日本プロレス8月の横浜大会、新日の看板G1クライマックスの1試合である。
永田がサイン会をやっているロビーを抜け、会場に入ると、広い文化体育館は半分弱の入りだ。先日のノアより若干多いかもしれないが、カード的に弱かったノアと違い、今日はG1しかもなかなかの好カード揃いなのだ。かつて両国国技館を連日満員にしたG1も凋落はなはだしいと言わざるを得ない。特設の花道はなく、その代わりと言ってはなんだが、ステージに大型のモニターが設置されている。しかし、それほど大きくはないので、3階席からでも直接リングを見たほうが大きい。
寂しい会場に、ワールドプロレスリングのテーマだけが昔と変わらない。そんな雰囲気の中で行われた若手同士の第1試合、逆エビ固めであっさりと試合が終る。第2試合の6人タッグには獣神サンダーライガーが登場、金本浩二やジュニア王者の田口隆祐もいるが、やはりライガーの輝きには及ばない。
第3試合からG1の公式戦、中西学は反則がらみとはいえ矢野通にあっさり負ける。続いて棚橋弘至対ミラノコネクションAT戦。モニターで流されているのは有料放送の中継番組そのままであるが、入場時には各選手オリジナルのプロモーション風映像が流れる。棚橋のそれが実に格好いい。体格で劣るミラノは、棚橋を場外に落とし、場外マットで簀巻きにしてしまう。このままカウント20まで行けばリングアウト勝ちだ。しかし、さすがにそうなっては面白くもなく、なんとか棚橋リング復帰、そして勝つ。
天山広吉とジャイアント・バーナードの試合には、天山のセコンドにGBHが入って試合に介入、観客からは帰れコールだ。天山が反撃に出ると場内は沸く。巨漢バーナードに果敢に挑む天山の姿に観客が拍手を贈っているわけで、他者の介入はいらないのだ。この団体、観客の求めるものを全く理解していない。
休憩後は注目カード、蝶野正洋対曙だ。曙は本当にでかい。入場時の蝶野は非常に格好いいが、ゴングが鳴ると曙の巨体に手も足も出ない。そのうちにようやく反撃を開始、しかし曙を倒す必殺技はいったい…と考えていると、STF、あまりしっかり入ったようにも見えなかったが、ほどなくして曙はあっさりギブアップする。
セミファイナルはこれまた注目の越中詩郎対中邑真輔戦だ。大人気の越中、いきなりケツ5発で先手を取る。越中への声援に、中邑もやりにくそうだ。そして、侍ドライバーが決まると、越中が3カウントを取ってしまった。人気が旬の越中に一本取らせてやろうというのは判らんでもないが、新日の宝ともいうべき中邑をこんな形で貶めてしまっていいものなのだろうか。この埋め合わせで中邑にG1を取らせるのかと思ったが、結局そうもならなかったようだ。ただ、セミファイナルは非常にいい雰囲気で終了した。メインとセミファイナルの結末を考えたら、この試合をメインにしたほうが良かったはずだ。
メインは永田裕志対真壁刀義、またGBHが乱入してくるが、永田はこれを蹴散らし、レフェリーもうまくチェックする。会場の雰囲気からして当然である。特に、リング内で真壁が振り上げた椅子を蹴り飛ばし、それをほうり投げてからフェアな攻撃を繰り出す永田の姿は、ヒール軍団に立ち向かう正統派レスラーそのものであった。が、観客の思いを全く読めないこの団体、最後はセコンドがレフェリーを拘束、毒霧からフィニッシュとなった。永田も文句ひとつ言わずリングを後にする。なんかないのか、このまま終るのかと思って、控室へと引き揚げる真壁を追う場内のモニターを見ていると、会見場に到着した瞬間、画面が切れる。金払わないと、この先は見せないのだ。
2007年7月13日 横浜にぎわい座・野毛シャーレ
3回のプレ旗揚げ戦を無事消化し、横浜プロレスがいよいよ正式旗揚げとなった。ロビーで、ぶた軍曹選手がいきなりビールを売っている。ぶた軍曹は、今日は試合が組まれていないので見ることができないかと思っていたのに、ビールまで買えるとは楽しい。
今日もリングアナ・パーク山下の前説で興行が始まるが、もはや肉声である。リング上ではレスラーも全員マイクは使わない。これからしばらく、オープニングで新人大橋篤のプロレス入門マッチが行われるという。相手は謎のマスクマンに扮した先輩レスラーである。今日の相手はエル・バリエンテス・デ・ヌマ。あ、ヌマか。これは判りやすい。
そういったわけで、お馴染みばか兄弟「さとるとゆういち」は第2試合に昇格した。今日の相手は因縁のイケメン大卒GENTAROだ。前回はニヒルな感じのGENTAROだったが今日は喋る喋る。パートナーには本当の大卒、大黒坊弁慶をセレクトしてきた。いつものように呑気な試合となるが、最後はGENTAROが漢字の読めない中卒兄弟の弱点を突いてふたりを分断し、弁慶がゆういちからフォールを奪った。楽しい試合でいいのだが、明らかにギャグに走ったフィニッシュには多少異議もある。
続いて、正式旗揚げにも参加することになったアイスリボンの6人タッグマッチ、李日韓も正式選手デビューらしい。しかし、アイスリボンの選手はさらに若くなり…というより、まだ子供だ。当然プロレスのできる身体も技もな。さくらえみと李日韓ふたりのファイト以外、とても金を払った客に見せるようなものではない。
休憩後の第3試合には、前回の完敗にもまだ進撃を諦めない横浜マッドネスファクトリーの登場だ。しかし、今日の司会は今井君ひとり、試合をやるのは牛軍曹だ。相手になるのは人気者の趙雲子龍、期待通り、軽量同士のスピード感溢れるレスリングが展開されるが、趙雲が見事勝利を収める。すると、NUMAZAWA所長がぶた軍曹を伴って登場、不甲斐ない今井君と牛将軍にダメ出し、牛将軍は追放されてしまう。これを見かねた趙雲が中国語交じりの日本語で口を挟むと突然ゴングが鳴り響き、今井君・ぶた軍曹組対趙雲・牛将軍組によるタッグマッチがあたかも予め用意されていたかのようにすかさずコールされる。試合後、マッドネスファクトリーによって袋叩きにされる牛将軍だったが、そこに趙雲が手を差し伸べる。
メインは、ハマプロ初のヒーロー(ベビーフェイス)対決、オリエンタルドラゴン・ウェスタンタイガーの東西龍虎マスクマンチームと、人気者関本大介・井上勝正の横浜マッスルファクトリーが激突する。150人満員のハマプロのリングでは勿体ないほどの好カードだ。激しい攻防の末、ドラゴンが井上を下したが、横浜プロレス旗揚げを締める好試合になった。
2007年6月15日 横浜にぎわい座・野毛シャーレ
前説にリングアナウンサー、パーク山下が登場。派手な蝶ネクタイに赤いブレザーというお笑い系衣装で、会場を盛り上げる。関係者に、お前が盛り上げろと云われたらしい。そのせいもあって、今日は客席のノリも悪くない。
そして迎えた第1試合、義務教育しか受けていないばか兄弟、さとるとゆういちが「横浜G30」テーマ曲にのって登場する。やる気満々の中卒兄弟に対し、「学歴のないやつはバカだ。」と公言するGENTAROと今井の大卒コンビが相対する。が、試合が始まるとどうも様子がおかしい。今井に大卒らしい動きが全く見られないのである。ばか兄弟に追及され、今井は商業高校卒であることを白状してしまう。それでも、ばか兄弟より高学歴なのであるが、怒ったGENTAROはコーナーでふてくされている。孤立する今井の苦戦を見かね、レフェリーのランドマーク大橋も「助けに行け」と注意するが、GENTAROは「あいつ高卒じゃねえか」と言って試合を見ようともしない。そのうち、ようやくタッチしてGENTAROがリングイン、高学歴らしいクレバーな動きと大卒パワーででばか兄弟を圧倒する。が、今日はダブルの「発車ー」も決まり、商業高校卒の今井からばか兄弟が勝利する。
続いてさくらえみと李日韓が加わったアイスリボンの第2試合、休憩を挟んで、いよいよ関本大介と井上勝正、横浜マッスルファクトリーズの出番だ。しかし今日の相手はリベンジを狙う強敵、MASADA(アメリカ人)と大黒坊弁慶のタッグだ。MASADAのパワー殺法にリーダー井上が捕まり、苦戦を余儀なくされる横浜マッスルファクトリーズは、客席の大声援をバックに必死の反撃を試みるが、結局井上が弁慶にフォール負けを喫し、悔しそうにリングを降りた。
メインイベントには、NUMAZAWA所長率いるマッドネスファクトリーが登場、横浜プロレスの正式旗揚げを阻止せんとするマッドネスファクトリーは、最強といわれるNUMAZAWA牛をベースに製造した新戦力、牛将軍にぶた軍曹、NUMAZAWA所長を加えたトリオでハマプロ正規軍、オリエンタルドラゴン、佐々木貴、趙雲子龍に挑む。牛にしては妙に小さい牛将軍だが動きはよい。正規軍は小柄の趙雲がしばしばピンチに陥るが、カンフーファイターらしい痛快な動きで局面を打開、最後は佐々木貴の鋭いひと蹴りで勝利を収める。
敗れたNUMAZAWA所長は潔く負けを認め、それどころかハマプロとハマプロの観客を賞賛、さらに今日もう1試合提供するため、試合を終えたばか兄弟と横浜マッスルファクトリーズに協力を呼びかける。控室に戻ってから10分以上たっているのになぜかコスチュームのままでスタンバっていた関本と井上がドラゴン組に、ばか兄弟がマッドネスファクトリーに加わっての10人タッグが始まる。ハマプロオールスターズによるスペシャルメインイベントはオリエンタルドラゴンの勝利で終了、最後には出場全選手がリングに集合してひとりひとり挨拶、普段大日本のリングでいがみ合っているレスラー同士も仲良く並んでの記念撮影、だが、最後の最後に一番目立ったのは、なぜか胴上げから落とされる自称司会者のパーク山下なのであった。
2007年6月8日 横浜文化体育館
GHCタッグ選手権をメインにそれなりの好カードを揃えたノアの横浜大会であったが、それでも若干のインパクトの弱さは否めない。入場してみると、客席は5割程度の入り。しかも今までの大会と違って1階アリーナの後方には席を用意していない。平日とあってその後少しは増えたがそれでも5割を少し超えた程度、2階3階はほとんどガラガラである。赤れんが倉庫大会が先日あったばかりとはいえ、ノアにしてこの動員では、あまりに寂しい。
試合前、ノアに参戦中のRO&D軍がリングに乱入、マイクを持ったTAKAみちのくが軽妙なアピールを施す。一応アジテーションなのであるが、つい「ノアのリングを盛り上げよう」と云ってしまったりする。ノアのファンは大人なので、今日の興行のために一生懸命前説をするTAKAに拍手を贈る。
第1試合からいきなり、先日三沢のGHCに挑戦し善戦した佐野が登場する。パートナーは井上雅央、相手は本田、菊地組とくれば主役は雅央と菊地になる。佐野はソバットを何発か出しただけで、彼らのプロレスに付き合い、懐の広いところを見せつける。
続いて田上が登場、若手の谷口とコンビを組んでヨネ、金丸と対戦したが、今は完全に休火山である。他の3人は闘志十分だ。第3試合にはいよいよRO&D、TAKAみちのくとKAZMAが、KENTA、石森組と激突した。KENTAはもはやイケメンというより、ノアファンにとってジュニアながら頼りになる若き闘将という趣で、RO&Dも歯が立たない。RO&Dは、レスリング自体にはケレン味がなく、真面目に試合を進める印象だ。
第4試合前に休憩、売店に行ってみると、昔馬場さんがいた位置にはジョー樋口さんがいる。ノアノアくじも好調のようだ。
ここで今晩初のシングルマッチ、斉藤彰俊対潮崎豪戦である。悪い試合ではなかったが、潮崎の奮闘も及ばず彰俊に敗れるという展開と結末は予想の範囲から全く外れず。次は地味ながら注目のカード、アニキ志賀、カシラ川畑の白GHCタッグ選手権チーム対高山、杉浦組の対戦である。やはり、アニキカシラは高山にぼこぼこにされてしまう。杉浦に対してもほとんど歯が立たなかったのだが、最後はアニキが杉浦を押さえ込んで勝利した。あまり負けさせるわけにもいかないのだろうが、この強引過ぎる結末に場内のアニキファンも少々面食らっていたようだ。
地味ながら注目という点では次の試合もひけをとらない。ジュニアヘビーで一時代を築いた三沢小川がムシキングテリー、マルビン組を迎え撃つ。試合自体は、こういった試合になると真価を発揮する小川が、いやらしいテクニック全開で多少相手の技は受けながらもジュニアチームを翻弄する。ここまでは予想どおりだったのだが、小川は試合後、テリーの不甲斐なさに怒ったか、ムシキングテリーのマスクを剥がしてしまう。意外な展開に、場内は盛り上がるというより騒然となる。
セミファイナルは村上和成対丸藤であるが、村上の姿が花道に一瞬現れたかと思うと、すぐさま逆サイドに姿を消す。そちらには丸藤がいるはずである。果たして、報道陣の動きが慌しくなったかと思うと、花道の反対側のスタンド下から、丸藤を掴んだ村上が現れた。もちろん丸藤は流血している。そのままリングに上げて試合開始、ダメージの大きい丸藤は反撃に転じるが、やはり敗れてしまった。あまり噛みあうとは思えなかった両者の対決、このような形になった。試合後も怒った丸藤が引き揚げる村上に襲いかかり、乱闘が続く。ヨネも臨戦態勢である。
メインはGHCタッグ選手権試合、王者秋山、力皇組に挑むのは、RO&Dのブキャナン、ブラウン組である。外人組は大型で迫力があるが、まだどっちがブキャナンでどっちがブラウンか判らない。そのへんがちょっと苦しいが、秋山は外人パワーに終始押されっぱなしとなる。場外でやりたい放題の外人組に、管理委員長のジョー樋口が注意を与える。セコンドについたTAKAたちもエキサイト、セコンド同士での乱闘騒ぎも勃発する。強豪外人に対し、体格で引けをとらない力皇は非常に頼もしい。ただ、森嶋同様動きやたたずまいにもう少し鋭さ、スマートさがほしい。最後の無双はイマイチ迫力不足だったが、相手の体重もあってかなんとか王座防衛に成功した。敗れたRO&Dは特にアピールすることもなく潔く退場していく。勝利者インタビューで、アニキカシラが挑戦を表明したが、秋山は「さっきの試合振りじゃだめだろ」とひとこと。さすがだ。
2007年4月13日 横浜にぎわい座・野毛シャーレ
大都市横浜で、地元密着という全く新しいコンセプトで始動した大日本プロレスの別働部隊「横浜プロレス」その第1回公演である。しかし、まだ試行錯誤の段階ということもあり、6月まではプレ公演と称して開催される。会場の野毛にぎわい座は、落語や演芸など古典芸能の拠点であるが、横浜プロレスはその地下にある小規模のイベントスペース「野毛シャーレ」にリングを設置した。狭い会場であって、南側に数段の仮設スタンド席があるほか、東西は折りたたみ椅子が2列ほど、北側は全く席がない。リングサイドにほとんど余裕はなく、ひな壇になった南側からリング上の選手はまさに真ん前である。
試合前には、今日は出場しない現大日本プロレスデスマッチヘビー級王者の佐々木貴と、メインイベントに「オリエンタルドラゴン」として出場予定の伊東竜二がリングに登場して観客に挨拶する。伊東はもちろん素顔、オリエンタルドラゴンは謎のマスクマンと称されているのだが、あまり気にしていない。
第1試合は、まず「ハマの義兄弟」と称するさとる&ゆういちがリングに登場する。リングに上がったふたり、「おい、今日の対戦相手聞いてねえぞ。」などと言葉を交わす。小さな会場なので、普通の会話が全部聞こえる。急な旗揚げで多少段取りに不備があったようだ。そして、反対コーナーに登場したのは、なんと大黒坊弁慶&アブドーラ小林のスキンヘッダーズであった。なるほど、これでは対戦相手を義兄弟に教えなかったのも道理である。試合前に逃げてしまうかも知れない。もはや逃げるわけにも行かず、困惑することしきりの義兄弟、それでも頑張ったがやっぱり敗れてしまった。選手の声がよく聞こえるこのリングでは、観客のリアクションが他の興行以上に重要なのだが、客席ががおとなしいのが気になる。
続いては、アイスリボン提供の6人タッグマッチである。アイスリボンとは女子の団体で、普段はリングではなくマットの上で戦っている。選手のうちアイスリボンの中核である4人はなんと12〜18歳の若さである。一方のリーダーにさくらえみ30歳70kg、もう一方にレフェリー李日韓が入っている。さくらえみ以外のメンバーはジャージ、もしくはストリートファイトのようなスタイルで、プロレスの試合という感じがしない。練習を見ているようでプロレス特有の非日常感に欠けるのが残念である。
ここで休憩になる。短い興行でもいろいろな意味で休憩時間はあったほうがいい。オリジナルのTシャツなど購入してみる。あまりいいデザインとも思えないが、これは旗揚げのご祝儀だ。
休憩明け、マッスルファクトリーズ関本大介&井上勝正の登場だ。「横浜」のサインも入ったトリコロールの派手派手なコスチュームに身を包んだふたり、関本など明らかに無理をしている感があるが、それでも一生懸命やっている。対戦相手は、第1試合とは違った意味でシークレットだったのだが、ヒロキ、GENTARO組であった。今までとは一転、シビアで激しいスタイルの試合になる。あわや場外乱闘かというシーンもあったがさすがにそれは避けられた。闘志を前面に押し出し、迫力ある大技が炸裂する試合に観客も満足する。全4試合のうち、メインを含む3試合がエンタメ系プロレスとなったため、シリアスな第3試合が非常に効果的だった。それでも、勝利を得た関本と井上は観客に大アピールを敢行して大きな拍手を浴びていた。
いよいよお待ちかねのメインイベント、真新しいマスクのオリエンタルドラゴンがリングにあがる。ドラゴンに対するは、試合前から対戦アピールを施していたNUMAZAWAである。ドラゴンを見くびったNUMAZAWAは、子分格の今井君をリングにあげるが、ドラゴンは今井君を一蹴してしまう。追い詰められた博士はいよいよ秘密兵器を繰り出してくる。中華街の協力によって作り上げたモンスターその名もぶた軍曹である。巨漢のぶた軍曹は、遠めに見ると第1試合に登場した引越の手伝いを得意とするレスラーに酷似しているが、この会場では遠目と言っても10メートル未満である。ぶひぶひいいながら怪力で攻めてくるぶた軍曹に苦戦しつつも、逆襲に転ずるドラゴンだったが、ぶた軍曹危うしと見たNUMAZAWAは、今井君ともどもリングに乱入、3対1でドラゴンをいたぶる。ドラゴン絶体絶命、そのとき。
突如場内が暗くなると、マイクを通した力強いデスマッチヘビー級王者の声が場内に響く。颯爽とリングに登場した佐々木貴はドラゴンに加勢してNUMAZAWAと今井君を蹴散らし、ドラゴンの勝利を好アシスト、そしてマイクをとって次回大会への参戦をアピール、気がつくとおいしいところをすべて持っていった。さすがはチャンピオンである。全試合が終り、チャンピオンとドラゴンは連れ立ってそのまま場外の売店へ直行する。集まってきたファンの求めに応じ、快くサインに応じようとするオリエンタルドラゴン、だが今日は伊東ではないのだ。それに気づいて固まってしまうドラゴン。まさかサインを考えていなかったとは…。
2007年3月31日 横浜市金沢振興センター
この会場は、埋立地の工場地帯にあり、その名のとおり企業の研修などに使われる施設である。その中にある体育館でプロレスが行われるのだ。手頃な大きさのせいか、最近頻繁にプロレス団体に使われるようになったが、元来プロの興行を行うための設備ではないので、選手控室ひとつとってもかなり苦労しているようである。もちろんロビー的なものもなく、雨の降る中、会場前に到着した観客は体育館入口の廊下で入場を待つ。ブルーシートが無造作に敷かれた会場内に7〜8列の折りたたみ椅子が並ぶ。前方がリングサイド指定席、後方が自由席だが、こういった会場なので全てがリングサイドといってよい。
一応、入口の横に売店スペースが設けられ、パンフレットやTシャツを売っている。しかしゼロワングッズより、隣のプロレスリングSUN(女子)のほうが元気がいい。なにしろこっちは選手自身が販売員をやっているのだ。ちなみにこのプロレスリングSUN勢、大会ポスターにはエースの大谷に次いででかでかと顔が載っているのだが1試合も組まれていない。しかし、選手数の少ないこの団体では、彼女たち今日はセコンドで大活躍することになる。
いじめ撲滅を訴えているというゼロワンMAX、今日は小中学生入場無料とあって、会場にはこどもたちの姿も目立つ。さらに話す相手のいない悩める子供は、大谷自身が相談に乗るというのだからたまらない。そんな雰囲気で始まった第1試合、オーソドックスな赤パンツと黒パンツの若手対決、ドロップキックが飛び出し逆エビ固めで試合が決まる。なかなかいい掴みである。ガチャピンを称する外国人と菊タローが笑わせてくれた第2試合が終ると、早くもエース大谷晋二郎の登場である。後半、大物ゲストの登場する試合や選手権が組まれているため、ここまで押し出された格好だ。しかしパートナーは村上和成、さらに相手の崔領二とは因縁があるようで、両軍闘志剥き出しのファイト、狭い会場での場外乱闘は大迫力である。リング上の戦いは、後半の試合のために軽く短めに切り上げ、それでいて熱気と乱闘で観客に十分なインパクトを与えるファイトを心掛けるあたり、さすがは大谷といえよう。
インパクトといえば続いて登場の高山善廣もさすがの存在感だ。こういった会場で等身大で見る高山は本当にでかい。佐々木義人も気合を漲らせてこの巨大な壁に挑むがあっさり粉砕されてしまった。テンポよく試合が進んでいくゼロワンMAX、続いてはAWA世界ジュニアヘビー級選手権である。当初はセミファイナルに予定されていたのだが1試合繰り上がった。何か事情があったのか、あるいはメインも日本人対外国人のシングルとあってずらしたのかも知れない。挑戦者はチャド・マレンコ。80年代末期に全日マットを席巻したマレンコ兄弟と関係があるのかどうかはわからないが、彼らを髣髴とさせる小柄ながら鍛え抜かれた豹を思わせる肉体である。そのマレンコは、AWAに加えてGHCのジュニアヘビーベルトまで持って入場してきた高岩竜一にすぐさま襲い掛かる。ラフだけでなく、テキサスクローバーホールドを執拗に繰り出して高岩を追い詰めるマレンコだったが、ここでチャンピオンが負けては三沢社長に会わせる顔がない。
ここで5分休憩。ずいぶん短いようだが、セコンドで活躍していたプロレスリングSUN勢も売店に戻って営業に専念する。やっぱり5分は短か過ぎ、結局10分ほど休憩時間をとってからセミファイナルが始まる。いよいよノアから参戦の「兄貴」志賀賢太郎の登場だ。相手は日高郁人&藤田ミノルの善玉人気コンビだが兄貴志賀は全く臆すところがない。それにでかい。秋山にぼこぼこにされていたあの新人が、これほどまでにふてぶてしく頼もしい姿になるとは本当に感慨深い。
メインはAWA世界ヘビー級選手権、王者スティーブ・コリノに大森隆男が挑戦する。コリノは、かつてのニック・ボックウィンクルやリック・フレアーを髣髴とさせるショーマンなダーティチャンピオンだ。しかしテクニック、パワーともに大森に勝るとも劣らないだけのものは確かに持っている。しかし、ここはしっかり大森がハッピーエンドの王座奪回を演出する。最後マイクを持った大森が礼儀正しく観客に挨拶、そしてチャンピオン自らが、ゼロワンMAX恒例のシメすなわち「3、2、1、ゼロ、ワン、ウー(ためてー)マックス!」を懇切丁寧に説明してくれるのであった。ちょっと古いがプロレスらしいプロレスを堪能した500観客(どう見ても1,300はいない)は、さらに出口でひとりひとり大谷晋二郎の見送りを受けるのであった。
2005年11月3日 横浜アリーナ
狂言師和和泉元彌の参戦、ハードゲイレイザーラモンHGの参戦など、さらに猛威を増すハッスルの横浜大会、
混雑するフロアを抜けて入場すると、アリーナの長辺方向、東側に巨大なスクリーンと入場口、花道が設置されていた。
ハッスルでは、長く感じる開演前の時間も最近の試合のダイジェストをガンガン流してくれるため、全然退屈しない。
後楽園ホールで元彌とケンゾーが言いあうさまなど眺めてビールを飲んでいるうちに時間が過ぎ、
GM草間氏の挨拶が始まる。前任のササハラほど喋りに慣れていない上、場内からひっきりなしに飛ぶ「禿げ」の声に動揺した
かたどたどしいものとはなったが、挨拶とカード発表が終わるや否や、場内に「8時だヨ!!全員集合」のオープニングテーマが流れ、
ハッスル軍のメンバーがハッピ姿で入場、キャプテン・ハッスルの「起立!手拍子お願いします。」の声とともにドリフの北海小唄に
あわせハッスル軍が踊り出した。いきなりハッスルワールド全開だ。観客もみんな嬉しそうに手拍子をしている。会場を見渡すと、
3階席の最後方にはやや空席もあるが、広いアリーナ、1階席はほぼ埋まっているように見える。最近この会場で行われた
プロレス興行では見たことのない光景である。
「オープニングハッスル」は、カズ・ハヤシ、ジミー・ヤン組が飯伏幸太、石森太二組に勝利、しばしばハッスルにゲスト参加
しているメンバーで、これは普通のプロレス試合であった。しかし、空中殺法を多用して判りやすいプロレスを展開するあたり、
なかなかよろしい。
これからいよいよファイティングオペラのスタートという意味か、次の試合は「第1ハッスル」とコールされた。 Erica、マーガレット
が高田アマゾネス軍と戦うタッグマッチである。デビル夫人の援軍を得て上機嫌のふたりであるが、高田軍にはデビル夫人とは旧知の
仲であるジャガーYが加わっている。Yは、ジャガーっつうより猫的な動きでEricaらを翻弄、さらに往年の…もとい初めて見る
素早い動きで高田軍を引っ張る。が、やはりErica、マーガレットが可憐な巨体を生かしてブランカXをぶっ倒した。
第2ハッスルは、最近仲の悪い長州力対坂田亘、マーク・コールマン組の対戦である。長州が連れてくると宣言した大物Xとは
藤原喜明だった。そういえば、去年はバトラーツの大会で藤原組長の姿を見たのだった。去年は観客100人そこ
そこの桂スタジオ、今日は1万5千人を超える横浜アリーナ、さすがは組長、レスリング同様活躍の場も幅広い。石頭、逆エビ
返しなど、いつもの芸を見せてくれる組長であったが、最後はコールマンのパンチを食らって負けてしまった。試合後は、坂田と
コールマンがリング上でビールを開けて乾杯、後の掃除は大変そうだ。
第3ハッスルの和泉元彌対鈴木健想、フィニッシュの空中元彌チョップはワイドショーまで話題にしたが、実はその直前、元彌
は健想のダブルニードロップをまともに食らっている。目立たないが大したものである。体重が直接かかってくるダブルニー
ドロップで手加減するのはなかなか難しいはずである。嘘だと思ったら誰かにやってもらうといい。それにしても、あまりによく
でき過ぎていて、終了後にマニアックな笑いが止まらない試合ではあった。
第4ハッスルはハッスル仮面レッド、ハッスル仮面ブルー、 ライオセイザー組対ザ・ネオ・デビル・ピエロ1号、ザ・デビル・ピエロ
2号、ジャスティライザーグレン組、マスクマン6人によるルチャリブレ的な楽しい試合である。ライオセイザーとジャスティーライザー
グレンっつうのは、どちらも正義のヒーローなんだが、ジャスティライザーのほうは高田総統のビターンを浴びて悪漢になってしまった
んだと。そこで、今日はライオセイザーがジャスティライザーを目覚めさせるために戦っているとこういうわけなんだが、どちらにも
リング外に加勢する仲間がいる。我々大人には全然判らないが、例えるならアカレンジャーと仮面ライダーV3が戦っているような
異常事態らしい。しかし、もちろん正義が勝ち、観客の協力でジャスティライザーも正義の心を取り戻し、12月公開の映画に全力投球
だとか。
セミファイナルいやセミハッスルは天龍さんと借金王安田が金村キンタロー、田中将斗組を破ってハッスルのタッグチャンピオン
になった。本来は相手の領分たるハードコア的な試合にも天龍さんはむちゃくちゃ強い。ここで気がついたのだが、天龍、長州、
鈴木健想、さらにこの後登場するアン・ジョー司令長官と、2003年3月のWJ旗揚げ戦に参加した
メンバーが4人もいる。たった2年半前とは思えない。時の流れは早いものだ。
そんな感慨にふけるまもなくお待ちかねのメインハッスル、ハッスルあちちのテーマ曲が変更されていると思ったら、
あっっそうか「ゴールドフィンガー99」(あちちはヒロミゴウ版)はハードゲイのテーマだからかぶってしまう。
あちちに似合ってたのに惜しいが、ここは仕方ない。なにしろ、
HGはキャプテンハッスルまで差し置いて最後に登場、しかも観客はそのときだけ総立ちという有様なのだ。
暇でもてない横浜のプロレスファンのためにやってきたインリン様も、ハードゲイの勢いに押されて失神してしまった。
さて、負けたのに大威張りで登場した高田総統は開口一番「辺鄙で不便な横浜アリーナにまた来てしまったよ。」などと言う。
「お前の地元じゃねえか。」という声も飛んだが、当地の出身者といって思い浮かぶのは、あの
プライドの高田統括本部長くらいである。なにか勘違いしているようだ。しかし、その高田総統も弁の立つHGには圧倒され、早々に
退散、1万6千人の観客はHG、キャプテンハッスル、ハッスルあちち3人と思う存分「3、2、1、ハッスル、ハッスル」を
満喫するのであった。
2004年6月6日 桂スタジオ
バトラーツ2ヶ月振りとなる桂スタジオでの興行である。入場時に、対戦カード表を手渡
される。手作りの簡素なものだったが、この弱小団体では、対戦カードのスタンプが入ったパンフレットなど販売しておらず、
しかも馴染みの薄い選手が続々登場し、前回は試合の途中でも戦っている選手の名前が判らなくなったほどなので、これは嬉しい配慮だ。
さて、入場すると、試合開始前なのに早くもリング上に選手の姿が見える。早速対戦カード表を見ると、U‐FILE CAMPと
B-CLUBのアマチュアマッチらしい。Uは元リングスの田村潔司が主催する道場だが、もうひとつの方は知らない。女子を含め、
3試合が対抗戦形式で行われたが、グラウンドで組み合ったままひたすら膠着する面白くもなんともない時間が過ぎるうちに、
全て引き分けに終わった。
アマチュア選手がリングを降り、入場式が行われる。例によって簡素なものだが、レスラー全員おとなしく、行儀がよく順番に
並んでいく。退場時には先を譲り合ったりして、スポーツマンらしく礼儀正しいうちに式が終わると、いよいよ第1試合、
佐々木恭介対XNo.2が始まる。佐々木はU‐FILEの選手、XNo.2は「エックスナンバー2」と読み、K-DOJOの
マスクマンである。さすがにアマチュアの試合の後だと、グラウンドもきびきびとした動きに映る。第2試合は竜司ウォルターズ、
ジョー・ヴァスコ組対倉島信行、タナカジュンジの対戦、ヴァスコは胴衣を着用してのファイト、時折鋭い投げを見せた。ぽんぽん
進んで第3試合、仮面シューター・スーパー・ライダーの登場である。コスチュームから見ても要は仮面ライダーのようだが、
対戦するのは実力者の臼田勝美、ライダーはコーナーからのライダーキックも見せたが、最後は敗れてしまった。すると、なんと
ライダーがマイクを取って喋り出した。「私は引退していたようなものでしたが、今日は地元で試合があるということで声をかけて
いただき、出場しました。義理は欠かせないものですから。それで、やっぱり負けてしまいました。しかし、私よりずっと若くて強い
二代目がいます。今日は、別の団体にいますが。私が、ここバトラーツのリングで戦ったように、二代目が戦えるのもバトラーツだと
思います。ぜひ、よろしくお願いします。」後輩思いで、非常に謙虚な仮面ライダーに暖かい拍手が贈られる。
第4試合は原学対真霜拳號、前大会にも登場した二人であるが、今回は格闘技色を抑え安定感のあるプロレスを見せてくれた。
熱さを全面に押し出す原と、冷静な面持ちに闘志を漲らせる真霜の対照も面白かった。20分の戦いが引き分けに終わると休憩時間。
入口付近では、仮面ライダーのサイン会が行われる。
休憩後は、いよいよ藤原喜明の登場、場内に「ワルキューレの騎行」が
流れ貫禄十分の入場だ。存在感が違う。今日の相手は大日本の関本大介、若手ながらオーソドックスなレスリングを指向する選手だけ
に、楽しみな対戦である。余裕の藤原組長は往年のグラウンドテクニックを披露しつつ、笑いも取り入れて試合を楽しむ。関本に
とってもいい勉強になったはずである。それにしても組長の石頭は凄い。コーナーの金具に打ちつけられても不敵な笑いを浮かべる
のみである。一方、気の毒なのは、組長の頭の固さを強調するだけのために、同じように頭をぶつけられた関本だ。いくらレスラーでも頭の外側は鍛えようがない。メインは、向井の怪我で延期になっていた石川雄規対チョコボール向井戦である。向井も技のキレは決して悪くないが、試合の組み立てというものができない。開始のゴングから同じリズムで試合が進行する。石川も、向井の持ち味を引き出そうとしていたのか、付き合うファイトに徹したため、特にメリハリがないまま終了してしまった。試合後、敗れた向井は、石川にカードを組んでくれたことに対して感謝の言葉を述べる。そして、今度はミックスドマッチを組んでくれとの要求を快諾した石川にまたも感謝、このクラスのレスラーは、試合ができるかどうかに生活がかかっているので、実にリアルな話ではある。会場に哀愁が漂ったところで今日の興行は終了。
2004年4月11日 桂スタジオ
ほとんどひとりバトラーツ状態となった石川雄規社長の興行である。桂スタジオとは一般には全く聞き慣れないが、埼玉県越谷市にあり、インディー団体の興行がさかんに行われている会場である。駅から歩くこと十数分、バイパス沿いに突然現れる倉庫然としたイベントスペースが桂スタジオだ。「プロレス会場」と巨大な看板が建っているが、どう見ても元は倉庫のようだ。
倉庫の入口がそのまま会場入口となり、直接地面がつながっている。机ひとつの受付兼当日券発売所があり、机を並べてグッズと飲食物を扱っている。奥には車が止まっている。試合前だというのに、若手はともかく、石川社長まで手持ち無沙汰にうろうろしている。親しみやすいにも程がある。リングは、仕切りの向こう側にあり、開口部は暗幕を垂らすことができるようになっている。内部は天井は高いがスポットなどの照明はなく、蛍光灯と普通の電球である。団体や大会名を示す看板もない。リングを中心に、長手方向の入口に近い一方だけ7列、他の三方には3列椅子が並べられている。無論、観客は半分も入っていない。リングアナウンサーは、元JWP社長のヤマモ、試合開始前には、入場式も行われる。もっとも、かつてのUWFやリングスでのショーアップされた華やかなものを想像してはいけない。テーマ音楽が鳴り響く中、観客もまばらな倉庫の中を見たことも聞いたこともない選手が走ってきて、なんとなくリングに整列するばかりだ。出てくる選手出てくる選手あまり大きくなく、ジャージ姿でもあり普通の若者にしか見えない。
さて、対戦カードは次のとおりである。金村キンタローvs旭志織(K-DOJO)、タナカジュンジ(TEXUS BODY SHOP)VS真霜拳號(K-DOJO)、原 学(バトラーツ)VS竜司ウォルターズ(バトラーツ)、倉島信行(フリー)関本大介(大日本) VS 黒田哲広(WEW)下田大作(大日本)、TAKAみちのく(K-DOJO) VS 臼田勝美(バトラーツ)、石川雄規(バトラーツ) VS 冨宅飛駈(パンクラス・ミッション)。今回の試合は全てバトラーツ・ルールで行われるという。どんなルールかと、ヤマモのアナウンスに注目すると、「勝負はフォール、ギブアップ、10カウントのKOで決まり、一方が場外に落ちて10カウントで戻れなければ負け。」とのことである。なんだ、両者リングアウトやリングアウト勝ちというのがないだけで、普通のプロレスルールと大差ないらしい。
第1試合は、お笑いの要素をたっぷり取り入れた余裕のベテランに真摯な若手が挑むといった、よく見る図式の試合であった。キンタローは、いかれた風の落ち着きがない兄ちゃんを伴って登場、何者かは判らなかったが、期待どおり試合にちょっかいを出す。すかさずキンタローが押さえ込むがレフェリーはカウントを取らない。すると兄ちゃんが「そうか、バトラーツルールだからカウントは取らないんだよ。」と大声で言っている。なんのことか判らなかったが、実はヤマモの言い間違いで、バトラーツルールは3カウントでは勝敗が決まらなかったのである。格闘技色の強いプロレスというスタイルを標榜するためのルールと思われるが、この格闘技でもない、純プロレスでもない中途半端さが、このあとの試合にも大きな影響を及ぼすことになる。
続く第2、3試合は、キックと関節技を主体に時折プロレス技を繰り出すというスタイルの試合であった。が、関節技の攻防は互いに悲鳴をあげるばかり、キレも高さもないキックにもんどりうって倒れるなど、まるで説得力のない展開であった。そのくせ、モーションの大きいプロレス技が簡単に決まってしまう。あり得ない。テーマのない中途半端な試合にうんざりするばかりであったが、第4試合は一転純粋なプロレススタイルの試合となった。黒田だけは少々異質だったが、他の3人、無我出身の倉島、大日本でストロングスタイルを追求する関本と下田、特に倉島と関本は、中肉中背の地味な顔で、寡黙ながら力持ちという古き良き時代の中堅レスラーといった風情であった。4人は、思い切りプロレス技を放ち、受けて観客を沸かせていった。黒田のオーバーアクションとアピールだけが浮いていたが、地味な試合のスパイスと考えればなんとか許容できる範囲といえた。
セミファイナルとメインで、ようやくバトラーツスタイルを飲み込むことができた。関節技の攻防を中心に据えたレスリングに、コブラツイスト、ドロップキックなど純プロレス技を否定せずに折り込んでいくというものらしい。しかし、こう団体所属外のスタイルが違う選手を参加させてカードを組まなければならないようでは、団体のスタイルをアピールしていくことなど至難の技だろう。
2003年12月6日 横浜文化体育館
チケット入手の際、既に2、3階席ソールドアウトとなっていたノア久々の横浜大会であるが、当日の試合開始前に、リングサイドから3階席後方までほとんどの席が埋まっている。文化体育館と横浜アリーナとではキャパシティに大きな差があるとはいうものの、小さめ(それでも4,500はあるが)の会場を堅実に満員にするノアのやりかたには好感がもてる。満員の会場は興行の盛り上がりもやはり違う。東京ではK−1の大会が行われているようだが、ノアの集客には全く影響がない。
前座の第1試合から土曜日限定のIZUが登場、続く第2試合では、井上雅央選手会長が一生懸命ながらコミカルなファイトで盛り上げる。対する田上明、池田大輔も、それを自らのスタイルは守りつつ、しっかりと受け止めるプロらしさがいい。第3試合は丸藤正道、KENTA、鈴木鼓太郎のイケメントリオ対菊地毅、百田光雄、橋誠の個性派トリオのジュニアヘビー対決である。近々、丸藤、KENTAのGHCジュニアタッグに菊地、百田組が挑むとあって、ベテランふたりは大いにのっている。なお、先日のキャバクラ禁止と断髪をかけたGHCジュニアヘビー級選手権に敗れたKENTAは、潔く坊主頭で登場した。しかし、坊主でもイケメンであることにに変わりがなかった。試合中、ふと横を見ると、楽屋裏に通ずる扉の横で小川良成が観戦していた。こちらも非常なイケメンだ。
第4試合は、秋山準、斎藤彰俊、金丸義信のスターネスと外人トリオの6人タッグマッチだったのだが、スターネスの3人はマスクをかぶり、妙なチーム名とリングネームで登場、このキャラクターの意味するものはっぱり不明であったが、たぶん本人たちも面白がっていたのだろう。ちなみに秋山は、白い和風のマスクと衣装に身を包み「シュラ」と名乗っていた。試合は、真面目に戦う外人選手をスターネスが余裕であしらうという展開であった。
休憩時間、とりあえずロビーに出てみると、仲田龍リングアナウンサーの声で、「当たるかも知れない。当たらないかも知れない。たぶん当たらない。ノアのなんとかくじ。1回○○円、挑戦してください。」などとやっている。豪華賞品のあたるくじ引きがあるらしい。ほとんど空くじなのだろうが、正直でよろしい。
休憩明けにいよいよ高山善廣が登場、佐野巧真、GHCジュニアヘビー級選手権者でキャバクラ王者の杉浦貴を率い、格好いい小川良成&外人軍団と対決である。小川軍は、全員小型なので、小気味のいい動きで高山を翻弄する場面も見られたがやはりパワー負け、リチャード・スリンガーが佐野に屈した。最近、ノアではタイトルなどに絡まない高山であるが、その分、奔放にやっているように見える。こんな高山のほうが、らしくていい。
第6試合は、今日初めてのシングルマッチである。崇高で重厚なテーマ曲が響く中、スモークのたかれた花道奥から、宇宙的規模の崇高なGHC王者小橋建太がその崇高なる姿を現した。やはり崇高な王者は存在感十分である。崇高な小橋は、会場全体に音が響き渡る崇高なチョップで試合の主導権を握り、崇高な垂直落下のブレーンバスターで、崇高じゃないモハメド・ヨネから崇高に3カウントを奪った。
さて、注目のセミファイナルは、三沢光晴が、自らのデビュー戦の相手であり、全日出身、元ドラゴン・ボンバーズ所属の越中詩郎と対決する。スパルタンXのテーマに乗り、三沢が入場してくる。越中も確かに全日、新日、平成維震軍、WJと渡り歩いたつわものではあるが、エースとして全日を永年支え、ノアの社長兼トップレスラーとして活躍する三沢とでは、やはり格の違いは厳然という感じである。そのためか、会場から越中に対する敵意はほとんど感じられず、拍手や声援が飛ぶ。外敵というよりも、ノアのリングにやってきたゲストというような受け止めかたであろうか。越中に対する声援は、相変わらず「ケツ!」である。越中の奮闘も、三沢社長にほとんど危ない場面は訪れなかったが、三沢社長は粘りの越中に敬意を表する必殺エメラルドフロウジョンで止めを刺した。
メインは、新GHCタッグ王者となった新日の永田裕志、棚橋弘至組に力皇猛、森島猛のワイルドUが挑む選手権試合である。王者組はノアファンから大ブーイングを受ける。おれは特に新日を嫌いというわけではないし、特に棚橋の気合溢れるファイトは買っているほうなのであるが、郷に入っては郷に従え、ここはワイルドUをもっぱら応援することにする。棚橋は、女性に人気で各所から「タナァー」という黄色い声が飛ぶ。特に、東側リングサイドにいた女は9秒置き(誤差プラスマイナス4秒)に「タナァー」である。棚橋が攻めようが苦境に陥っていようが、特にメリハリはなく、味方の永田がリングに登場したときは無視している。この女はもちろん不細工であるが、あまり馬鹿みたいなので、周囲の連中に揶揄されたり真似されたりしていた。こういった馬鹿女の存在に加え、やはりタイトルのかかった対抗戦であり、ワイルドUも闘志を剥き出しにして王者チームに立ち向かっていく。ノアファンで埋め尽くされた場内もヒートアップだ。しかし、ワイルドUの巨体を生かした奮闘も、海千山千永田の牙城を崩すには至らなかった。ふたりには、ここ一番というときに繰り出す説得力ある決め技が欲しいところだ。試合後、勝ち誇る王者に突っかかっていったのは、ノア一番の熱い男池田大輔であった。退場する王者にペットボトルが飛ぶが、プロレスの会場においては、そういった行為に対して特に注意は与えられない。永田などは投げつけられたボトルを投げ返すのはもちろん、試合後でちょうどよかったとばかり、それを飲んでしまうほどである。
メインイベント終了まで3時間の純粋プロレス。K-1の結果など、おれは関心が全くない。
2003年11月3日 横浜アリーナ
先日のドーム大会もそうだったが、新日のビッグマッチは、第1試合からメインイベントまで、それぞれのアングルがリンクしないカードが取り合わされ、観戦の焦点がぼやける興行が多い。どれも注目すべきカードが組まれるが、異なる因縁や背景から派生した試合が続くと、いちいち頭を切換えねばならず、だんだん疲れてくる。1日の興行に繋がりがないのだ。今回もIWGPの選手権試合に加え、ドームから引き続く真猪木軍対新日軍、さらには2種類のルールによるK-1との対決まで加わっている。それでも、仕掛けたばかりのジュニアヘビー級の抗争を取り込まず、魔界も一歩引いているので、まだまとまっている方かも知れない。などと注文をつけていても、暗転した場内にワールドプロレスリングの旧テーマが流れ、田中リングアナの張りのある声が響くと、気分が高揚してくるものである。
第1試合は、星野総裁率いる魔界倶楽部の前に、獣神サンダーライガー、新崎人生、西村修のトリオが立ち塞がった。まさに究極のベビーフェイストリオである。魔界も星野総裁自らリングに乱入して必死に防戦するが、正義を後ろ盾にした3人に敵う筈もなく、最後は西村修がうまく魔界の同士討ちを誘って安田忠夫を見事宝刀逆さ押さえ込みに斬ってとった。決着後、西村修がマイクを取り、場内の観客へ礼儀正しい挨拶と魔界撲滅の訴えを行う。
第2試合は、魔界の村上和成の出番である。当然のことながら、第1試合に続き、星野総裁の先導により南東の花道を入場してくる。ところで、試合終了後、勝者は、堂々と花道を通って引き揚げることができるが、負けたほうは地味な業務用の通路を通ってこそこそと帰らなくてはならない。しかも魔界の青コーナーは花道と反対側の北東の通路である。したがって、星野総裁は、第1試合終了後、広い横浜アリーナのバックステージを急いで約3分の1周して、また花道から入って来たことになる。お疲れ様である。さて、この試合は、村上狩りの賞金マッチであるが、しぶとい村上のために賞金は400万まで跳ねあがっており、金本浩二がこれに挑戦することになった。両者はオープンフィンガーグローブを装着、打ち合いで金本浩二が最初のダウンを奪う。村上和成は、カウント9でふらりと立ち上がるが、格闘技であれば当然ダウンカウント継続の状況である。が、プロレスではそうはならない。しかも、直後に村上和成はロープにもたれてしまうが、プロレスなのでKO負けにはならない。もちろん、金本も400万円がかかっているのに文句ひとつ言わない。結局、この試合は魔界の乱入もなく、最後までパンチの打ち合いで村上が勝利を収めるが、プロレスとも格闘技ともつかない中途半端なものになってしまった。
第3試合と第4試合は、プロレス対K-1である。しかし、プロレスルールなので、対決ムードは薄い。第3試合は、225cmの巨漢シウバに吉江豊が挑んだ。闘志満々のシウバは、開始早々からラッシュ、レフェリーを突き飛ばして吉江を殴り続ける。K-1であれば、角田プロデューサーが登場して苦渋の表情で反則負けを告げるところであるが、プロレスではそうならない。観客の声援は当初吉江に集中していたが、シウバがプロレス技を使い始めるとシウバにも声援が飛び始める。そして、吉江のボディプレス攻撃に耐えたシウバは、なんとトップロープからのローリングギロチンドロップから逆十字固めという信じられない攻撃で勝利を収めた。客席も盛り上がる。第4試合は、K-1と言ってもすでに新日のシリーズに参戦しているTOAの登場、棚橋弘至の持つU-30のベルトに挑む選手権試合である。もっとも、30歳以下限定というこの選手権、サッカーからのインスパイアであろうが、さほど興行の柱になるとも思えず、意義の感じられないベルトである。TOAは、もはやプロレスラーといったほうがいい選手で、白熱の攻防が展開された末、棚橋がベルトを防衛した。選手権の意義はともかく、気合の入った棚橋のファイトが気持ちのいい試合であった。
リング調整のため20分休憩、おれもビールを補給したあと、いよいよK-1ルールによる3試合が始まる。しかし、今日の観客は、あくまでプロレスファンであるので、純粋なK-1の試合にはほとんど反応がない。第5試合など、K-1ファイターとモンゴルプロレス協会員の対決となり、どこを楽しめばいいのかさっぱり判らない。セコンド陣が一番盛りあがり、客席は静まり返っている。その空気を察してか、第6試合に登場した新日出場経験のあるノルキヤは猛ラッシュから秒殺で試合を終わらせ、観客の喝采を浴びた。第7試合、今回最も注目のカードのひとつである柴田勝頼対天田ヒロミの対決だったが、柴田は1ラウンドにパンチで2度のダウンを奪われ、2ラウンドにはパンチ主体のファイターという天田の膝蹴りで3度のダウンを喫してKO負けとなった。情けない限りの完敗であるが、格闘技ルールでの戦いにおいて、防御もなにもなく遮二無二突っ込むばかりでは、実力も経験もある一流の格闘家に勝てる道理がない。長井満也がついていて、いったいなんのトレーニングをしていたのか。格闘技は気合より技術で上回る者が勝つのである。
広いアリーナの観客席がどう見ても八千人ほどしか埋まらぬまま、興行は終盤の新日軍対真猪木軍の3試合に入っていく。まずは、西村、中西学対サップ、中邑真輔組である。注目はなんといっても西村とサップの絡みであるが、西村はサップを相手にしても普段どおりのレスリングを貫き、期待どおり、そのテクニックで超重量のサップをも自在にコントロールしてみせる。一方のサップも、パワーを織り交ぜながらレスリングで西村に対抗する。サップの客席の反応を見極めたサービス精神と、それを可能にするセンスはさすがである。中西もサップに真っ向立ち向かい、それぞれの持ち味を十分に発揮した展開に会場は盛り上がる。しかし、試合は4人入り乱れての乱戦から西村の卍固めを抜け出した中邑が逆さ押さえこみ、カウント2でかわされるもすぐさま脇固めを決めて、西村から勝利を収める。あまりに唐突なラストに、客席のテンションは急降下である。
セミファイナルは、鈴木みのる対永田裕志。厳しいムードで試合が始まる。グラウンド主体の一進一退の攻防が続くが、永田の奮闘もやはり鈴木が押し気味のまま、試合が進んでいく。しかし、永田の繰り出したキックが鈴木の左腕を直撃、大ダメージを与えることに成功する。永田の引出しもまた多い。ドクターチェックをさせようとするレフェリーを振り払って永田に向っていく鈴木だったが、永田は腕折りからアームバー(猪木がジャイアントからギブアップを奪った技)で鈴木を下した。試合後、永田は得意の敬礼ポーズで鈴木を挑発。鈴木が嫌がるのを見て、わざと何度もやる永田がおとなげなくて面白い。
そしてメインは、高山善廣対天山広吉のIWGPヘビー級選手権試合である。試合直前、2度目の挑戦となる天山に、「天山、3度目はない」とVTRのナレーションが言い切る。慎重な長い睨み合いから両者組み合う。体格もあろうが、高山の技はひとつひとつが豪快で、チャンピオンらしい説得力がある。一方の天山は高山の左足を標的にして対抗し、大技の応酬から主導権を握って最後はムーンサルトプレスでフォール勝ちを収めた。試合後、高山は、らしくもなく自ら天山にベルトを巻いてやって退場していく。いかにもあっさりとした負けかたでもあり、NWFのタイトルを持っているとはいえ、新日での活躍はひと区切りさせるつもりなのかも知れない。一方、高山の去ったマット上では、天山を中心に蝶野や社長サンも出てきて、ノーテンキな喜びようである。当の天山はもちろん喜んでも大いに構わないが、誰か新チャンピオンに挑戦の声をあげるやつはいないのか。
2003年3月1日 横浜アリーナ
長州力のワールドジャパンプロレスは、「ど真ん中」をスローガンにして旗揚げした。
「ど真ん中」とは、プロレス界の真ん中を進むということらしい。佐々木健介ら、長州と親交の深いレスラーが団体に投じたが、
旗揚げ戦のカードを見ると、天龍、ザ・ロードウォリアーズ、谷津ら昭和のプロレスで活躍した強者が勢揃い、さらにふたりの国会
議員に安生、ドン・フライといった曲者も加わり、ど真ん中かどうかはやや疑問ながら、なかなか楽しみな団体となった。
旗揚げ戦とは言え、横浜アリーナには一本の花道とその真上の三階席部分に「WJ」のロゴが輝いているだけ、派手なオープニング
セレモニーもなしと、長州らしい質実剛健振りであった。PPVの生中継もあり、おなじみの高柳アナウンサーと柴田さんの解説、さらに
王道全日本から渕選手がゲストとして放送席に座っていた。
WJの若手対決の第1試合は、意外にもマウントポジションからのパンチ連打でレフェリーストップの決着となった。第2試合は
全日の本間がWJに勝利、試合後、若手同士でプチ乱闘となる。第3試合は谷津対安生、いよいよ昭和のプロレスで活躍した谷津の
登場である。試合は、谷津の懐かしい監獄固めが決まる。第4試合も昭和の大物、ザ・ロードウォリアーズの登場。「アイアンマン」
に乗って登場するも、かつてのスピードやパワーはなく、全盛期とは別のレスラーのようで少し寂しかった。が、スカイハイラリアット
で、新チャンピオンとなった。ホークとアニマルがリング上に残ったまま、マサ斎藤も登場して先ごろ急逝したカート・ヘニングの
追悼10カウントゴングとなる。セレモニーが終了すると、「前半戦終了、これより30分休憩。」と、あっさり告げられ、場内どよめく。
長い休憩の間に電流爆破の準備が終わり、いよいよひとり目の国会議員が登場する。敵地にもかかわらず、大仁田への声援は、
WJ所属である対戦相手越中へのそれを上回る。開始から数分後、そこそこに爆発もあり、越中の得意技もいくつかでたところで、
いつもの火吹きで反則フィニッシュである。そしてこれもいつものとおり「WJさんよ。これで反則か。」とのマイクアピールを
敢行する。よく考えると大仁田は負けたのだが、場内には当たり前のように「ワイルドシング」が流れ、大仁田はリッキーフジとともに、
花道を退場していく。
ところが、今度は電流爆破の撤収があるため、場内の大画面には、バックステージでレポートのアナウンサーに絡む大仁田の姿が
延々映し出される。大仁田も、試合直後にもかかわらず、進行に気を遣っていろいろとパフォーマンスを続けるが、そのうちに間が
持たなくなって控室に引き揚げてしまい、リングの準備が終わるまで、場内の観客とPPVの契約者は、解説席のだらだらとした時間
繋ぎの会話を聞かされる。なお、そこかしこに空席も目立つ会場の入場者は1万3千人と発表される。だいぶ水増しの感もあるが、
まあ旗揚げ戦だし許容範囲としておこう。
ようやく始まった第6試合は、鈴木健想と大森隆男、懐古主義的なカードの中で、唯一現在進行形のレスラー同士が戦う注目の
一騎討ちである。が、場内の期待ほど盛りあがらず、アックスボンバー一発で勝負は決まる。
そしてセミファイナル、ふたりめの国会議員が華やかに登場する。やはり、馳は大人気、スターである。試合は、とにかく強い
ドン・フライとやたらにでかい外人が健介と馳を圧倒し続けたが、最後は半ば無理矢理に健介が勝利する。しかし、試合自体は
盛りあがった。試合後、馳が「大仁田、お前は国会もプロレスも中途半端なんだよ。」とマイクでやると、場内は大仁田ファンも含めて大笑い、続いて健介が「雨の中、ご来場ありがとうございます。」と、団体を代表して礼儀正しい挨拶で締める。
お待たせのメインイベント。53歳の天龍と51歳の長州、旗揚げシリーズシングル7連戦のスタートである。天龍にも大歓声だが、さすがに長州への歓声は大きい。まさに蘇る昭和のプロレスであるが、当時のとにかく勢い良く攻めまくる長州とひたすら受けて耐える天龍という図式が、完全に逆転しているのは興味深かった。強烈なインパクトの水平チョップとパンチ、さらに若い選手から盗んだ新しい大技で押し込み続ける天龍に、長州は防戦一方である。しかし、一発のラリアット、わずか7分で天龍は大の字となり、長州の勝利、唖然とする場内に「パワーホール」が鳴り渡った。