HLHS INFORMATION


自分で読んで興味深かった海外の情報を翻訳いたしました。私と同じ状況にある方で、英語の苦手の方のために訳したものですのでご参考に留めてください。医学の専門家ではないので、不明な点は担当医や専門家の意見を聞いてください。


参考翻訳 No.1 次の子供がHLHS(左心低形成症候群)に生まれる可能性は?
         遺伝カウンセラーの見解
       

●訳者注 OVER VIEW●
第一子をHLHSで亡くした夫婦が、遺伝カウンセラーに相談し、受け取った回答の書簡の翻訳。

遺伝カウンセラー・Trine L.S. MS(理学修士)よりダイアンとジェフへ

このレターは、1995年11月7日、ユナイテッド・ホスピタルの胎児医療科で持たれた我々のディスカッションをまとめたものである。あなたの息子、ジョンはHLHSを持って生まれ、生まれてから幼い人生を通して何回もの手術を受けた。彼は2歳ちょっとの年で亡くなった。彼は、HLHS以外のシンドロームや兆候も示していなかった。あなた方は、本日、HLHSの考えうる原因と、次の子供がHLHSで生まれる可能性を尋ねにきたのですね。

あなたの息子の染色体は検査されていないので、染色体異常の可能性に関しては明言は出来ない。あなた方はHLHSに関してよく理解されているが、ここで再度述べると、HLHSというのは左心の未発達に象徴される多くの異なった状態の集まりである。胎児期には、肺は使われていないので、胎児は左心の関わりがさほどなくても生きていける。しかしながら、生まれてからは、HLHSの赤ちゃんは、心臓移植もしくはノルウッド手術といった外科的処置無しには生きることは不可能である。

先天性心疾患は、珍しいことではない。1000人の新生児の8人、つまり0.8%が先天性心疾患を持って生まれる。新生児の3%から4%が、何らかの先天性異常を持って生まれるので、その中の先天性心疾患の占める0.8%という割合は高いことが分かる。

先天性心疾患とHLHSは、さまざまな要因によって引き起こされる。次の子供がHLHSを持って生まれる危険性は、最初の子供のHLHSの発生原因による。染色体異常によるものか、環境によるものか(例えばウィルス感染)、一つの遺伝子の異常、もしくは、殆どの場合が複合した影響によったものである。複合原因というのは、いくつかの遺伝子が関与しているもので、ただ一つの遺伝子が原因ではないということだ。遺伝子が関与しない場合は、環境の影響もしくは外部からの特殊な影響が引き金になっているようだ。

あなたの息子には、明確なシンドロームや染色体異常が見られなかったので、考えられる原因は複合的な理由と言える。家族的に見ると、一人の子供がHLHSだと、次の子供がHLHSで生まれる確率は0.5%である。これは言ってみれば99.5%は、HLHSを持って生まれないということだ。しかしながら、その他の心疾患の可能性は2.2%となる。

我々は簡単に遺伝子、染色体そして遺伝のコンセプトを話し合った。人間の細胞は23対、トータル46本の染色体を持っている。それらの染色体は我々体の構造を伝える遺伝子がひも状に連なっている。卵子と精子のフォーメーションの過程において、エラーが生じることがある。一番よく起こるのがダウン症候群で、21番の染色体が一本過剰の3コピー存在する。ダウン症候群の子供には特徴的な顔をあらわし、その40%に心奇形がある。さまざまな程度の知的な遅れやその他の疾病も持ちうる。そのほか、トリソミー13や18といった、よりシビアなタイプもある。この過程は遺伝性ではなく、まったくのチャンスによるものだが、女性の年齢により頻度はあがる。

遺伝子のコンディションは常染色体優性と常染色体劣性という形で受け継がれることもある。HLHSの常染色体劣性遺伝の原因遺伝子のパターンの可能性を報告したレポートもあり、遺伝子が原因ならば、4分の一、25%の高さで発症の可能性もあると述べている。(しかし、これに関しては実証がなされていない。)

あなたが次回妊娠した際のベスト・マネッジメントは、20週頃にレベルII超音波検査と20週から24週の間に胎児心エコー診断を受けることである。

ハイ・レゾルーション・レベルII超音波では20週から診断がつく。この超音波では、脊髄、腹膜、心臓、脳、といった、胎児の体の構造の隅々まで診断することが可能である。このタイプの超音波では、多くの大きな奇形を発見することができる。胎児心エコーは、胎児の心奇形を診断する特別な超音波である。

HLHSの赤ちゃんを持った両親や兄弟はたびたび危険のない心奇形を持っていることが発見される(6%)。私は、あなた方が心臓をチェックすることを勧める。もし、あなた方の心臓に何らかの異常が見つかった場合は、先に述べたように、次の子供のHLHSのリスクは2.2%になる。

男児の方に女児より高い割合でHLHSが起こる。ジョンに関して何か追加の記録や染色体の情報が新たに得られたなら、私に知らせて欲しい。

(その他、家族の糖尿病歴に関して話し合う。)

他の点では、あなた方の赤ちゃんのHLHSの危険性を上げる要因はないようだ。他に質問などあればどうぞ。また次回妊娠した際に、なにか助言出来ることがあれば知らせて欲しい。

このレターをあなたが関係する医者にも渡して頂きたい。




参考翻訳 No.2 HLHSの子供には「何もしない」という選択がベスト
       テキサスUTヘルスサイエンスセンター胸部・循環器専門医のオピニオン
          
 
●訳者注 OVER VIEW●
米国ではHLHSの患者家族を支える団体があり、そこが出版しているハンドブックの序文を寄せた医師の意見の翻訳。この団体は手術や移植を推進する立場をとっているが、一方で「何もしない」といった対極する意見を序文に載せている。このあたりも、さまざまな選択肢を示し、その上で個々の判断が尊重される米国風のやり方と感心した。

John Calhoon MD

子供がHLHSを持って生まれた両親は、この病気が恐ろしい力とスピードをもって、子供の命を奪い去っていくという緊急の状況に置かれてしまう。Mrs.ジョワスキ(訳者注:この団体の代表でハンドブックの著者)は、このハンドブックの刊行向けて偉大なる尽力をつくした。彼女はこの複雑で混乱した心奇形を分析し、誰にでも分かる言葉に置き換えた。

それぞれが違った意見をこの病気に対して持っているであろう。医師、両親、周囲の人たち、そしてさまざまな聖職者たち。私は自分自身の意見を述べることが大切と感じている。基本的な処置法、説明、そしてこの病気の子供が生まれた親に与えられる選択肢に関した本書の内容は、全く同意出来るものである。しかし、それでも私は何もしない、という選択肢が一番と感じており、親として子供に対して手術など医療措置を施さなければと、と強要される感じを持つべきではないと思う。この病気は、子供に対して心にも、肉体的にも大きな苦痛を長い間強要するものである。私はこの病気によって、素晴らしい家族が根本から破壊されてしまった例をいくつか見ている。Mrs.ジョワスキは、いくつかの中の、手術の成功例を載せているが、いくつかの成功しなかったケースは知らないのだ。

私のサジェスチョンとしては、この病気の子供の親全てがこの本を読み、出来るだけ早く病気を理解することだ。そして、医師との話合いに備え、必要な質問をし、夫婦で十分話あうのだ。その上で、自分達にもっとも適した選択肢を選べるようにする。その際、最終的な措置の決断を出す前に、両親が判断に関わってもらいたいと感じる人々も同席させ、医師を交えてグループセッションの形をとって話し合うことを勧める。措置を決めるのは両親だが、この病気が色々な形で家族に影響を与えるので、両親を支える家族や親戚、兄弟などの理解も得るのは大切だと思っている。

最後に、ジョワスキ夫妻の小さな息子アレキサンダーに対する限りない愛情に拍手を贈りたい。本書が、この病気をもって生まれた赤ちゃんのケアーの決断に、より多くの情報を提供する手助けになるテキストとして今後長く読み継がれていくことと思う。

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