プリンセスメーカー
夢見る妖精
2000年8月23日作成
最終更新日 2001年2月24日


『どんなゲームか』

 プリンセスメーカー・ゆめみる妖精(以下プリゆめ)は子育ての真似事を楽しむゲームである。プレイヤーは10歳の少女を授かる父親となって、娘にあれこれと指示を出して18歳までの間世話をするのである。最終目標は娘を立派なプリンセスにすることだ。
 プリゆめには多くの能力値が用意されていている。その値によっては娘の状態が変わり、エンディングも変わるのである。これによって様々な娘に育てることができる。育てている途中でも数値によっては娘の態度が変化するのである。
 ゲームは2週間単位でスケジュールを組み、さらにお金の許す限り続けて予定を立てられるので、手軽に育てていくことができる。これだけを見ると面白そうなのだが、なかなか楽しいとは思えてこないのである。無数にあるエンディングより、途中にある他愛のないエピソードのようなものをたくさん用意してくれた方が、より感情移入できたかもしれない。それにせっかく最後まで育てたのに、エンディングでの達成感がほとんどないのだ。結局どの数値がどれくらい高いか、というだけでその後の娘の将来が決まるところにも問題があるような気がするのである。

『好きになれなかった原因』

 プリゆめに登場する娘に愛着が個人的に持てなかったのも要因の一つである。娘の第一印象が悪いわけではないが、さりとて好感が持てる程かわいい、というほどでもなかったのだ。もっとも見た目の容姿が多少悪くても、他に面白い部分があれば評価するのだが、ゲームの中で一番大事なシステムの方も今一つのめり込めることがなかったのだ。

『このゲームの不満点』

 ゲームをやっていて、なんだか中途半端な印象しか残らないのである。例えばこのゲームではメッセージの量の多さが売りなのであれば、声に出して喋る演出はなくていいからその分、細かな台詞の量を増やして、娘の多様なイメージを膨らませられる人物にして欲しかった。そしてもし、キャラクターに喋らせたいのであれば、台詞は極力効果的なものを選び、その上で全ての会話で喋るようにすれば大分印象は変わったはずである。
 他にもゲームの設定で個人的に気になるところがあったのだ。それは娘を育てているとすぐにお金がなくなってしまうのである。これだけならまだいいのだが、その埋め合わせは娘が働いて稼がなければ、何もできなくなるのには納得がいかないのである。別に娘が働くこと自体が悪いわけではないのだ。ただこのゲームでは父親の職業がいくつかから選べ、中には収入の安定した職業があるのに、どれを選んでも程度の差はあるが遅かれ早かれ、娘自身が働かなければならない状態になるのである。これでは初期の数値とその後の少ない稼ぎがあるかないかという違いがあるだけなのだ。これでは どれを選んでも要所での台詞が変わる以外は、ゲーム中に大きな変化はないに等しいのだ。これだったら父親の選択なんか初めからなかった方が良かった。
 まだまだ気になるところはあるのだ。娘のグラフィックに違和感を感じるのである。別に容姿がどうといっているわけではないのだ。ここで気になるのは娘の体格である。娘の育て方によって体の成長の数値は刻々と変化しているのだ。ところがどんなに極端な体格をしていても、あらかじめ用意されたグラフィックでしか表示されないので、プレイしていてかなり興ざめしたのである。成長の過程で娘の身長が低いままだったり、体重が増えすぎて太ったりしても、表示されるグラフィックは均整のとれたスタイルのいい姿だけなのである。これでは育て行く経過がぶち壊しになってしまうのだ。グラフィックによる変化をしないのであるなら、体格の成長要素はなくして他の部分に凝った演出をするべきである。こういう何かを育てていくゲームは、微妙な成長の変化を見られるところが楽しいのである。そういう楽しさがないと、ただ作業を繰り返すだけのつまらないゲームになってしまうのだ。
 グラフィックには他にも不満の要素があるのだ。娘の成長を一目で分かるように各年齢極端に違うようにしてしまったのだ。このため18歳に成長した時には異様に背が高く、顔も妙に老けてしまっているのだ。変にアニメ調の絵を意識しているので、とても18歳には見えないおかしな姿に成り果ててしまったのである。これを見ているとなんだか育てていく意欲がそがれてしまうのだ。好みの問題かもしれないが、娘の成長の変化はもっと緩やかの方が、自然な感じがしてよかったと思うのである。さらに、8年間という長い期間をだらだらするのは退屈である。ならばいっそのこと育てる期間 を極端に短くして、製作者が本当にやらせたいことをゲームに盛り込めばよかったのかもしれない。

『BGMについて』

 音楽の方はというと、印象に残る曲がなかったのだ。そんなに悪い訳ではないが、かといって抜群に素晴らしい、というほどの曲でもない。どれもそれなりにその場の雰囲気を表現してはいると思う。ただそれ以上に心を揺さ振る気持ちにさせる音楽ではないのである。そうした中、唯一聞いていて心地のいい気分になったのは、ボタンを押した時に鳴り響く効果音である。これだけはよかったが後はいまいち、という感じである。

『結論』

 結局「プリゆめ」は細かいパラメータに力を無駄に注ぎすぎたせいで、他の部分が大雑把な印象になってしまったのだ。いくら娘を成長させてもそれに見合う報酬が一通りしかないというのが残念である。心理的に育てる楽しさというものがなく、遊んでいる途中で冷めてしまう、それがこのゲームの結論だ。


【今回プレイしたゲーム】
タイトル発売元 発売年度
プリンセスメーカー 夢見る妖精 ナインライブス 1997年