グラディウスV
伝説から神話へ
1997年7月21日作成
最終更新日 2001年2月24日

『グラディウスV 伝説から神話へ(以下グラV)とは』

 『グラV』=難しいというくらい難易度が高い。どのくらい難しいかというと、このゲームに一万円以上のお金を投資して、エンディングに到達したのはわずかに六回だけ。おそらく今プレイしてもクリア出来ないかもしれない。それほど攻略は大変だけど、エンディングにたどり着いたときに得られる達成感は20世紀にプレイしたゲーム中でも一番だと言い切れる。
 何故そこまで喜べるのか、そして難しいのにも関わらずやり甲斐があるのはどうしてなのか。その辺りをこれから説明してみたい。

『難しさの原因』

 『グラV』が難しいと言われる要因のほ一つに敵の配置や行動パターンなど、覚えなければならない場面が非常に多いことが挙げられる。それを最初から最後まで実行しないとクリアはおぼつかない。またエンディングまでの道のりが長く最低でも一時間は集中力を持続させる必要がある。そのため『グラV』をクリアするには長時間集中出来る精神力を要求される。
 使えない兵器が多すぎるのも攻略を困難にしている。通常パワーアップすれば攻撃力が上がり敵を倒しやすくなるはずである。ところが『グラV』の兵器は扱いにくいものが多く、下手すると一面すらクリアするのが困難な場合もある。せっかくたくさんのパワーアップ兵器を用意しても使い勝手が悪いので話しにならない。そのため特定の組み合わせ以外でのクリアは天文学的数字並に難しい。

『「ビッグコアmkV(以下マークV)」について』
「あまりに手強いマークV」

 『グラV』に出てくる一部のボスは異常に強い。それでもきちんと装備を整えていれば大抵はなんとかなる。少なくともある面を除く前半はそれなりの難易度ではある。そのある面とは三面で、登場するのは、あの「マークV」である。およそ三面で出てくるボスとは思えない風貌で激しい攻撃を仕掛けてくる。このボスで諦めたユーザーは数知れない。
 さて、ここからは「マークV」の凄まじい攻撃を紹介しようと思う。これには四つの攻撃パターンがある。一つは殻を閉じた状態で、短いレーザーを何本か束ねて撃つ。これはたいしたことない。問題は殻を開いた時放つ反射レーザーと、「マークV」が左に寄って後ろから短いレーザーを広範囲に撃たれた時、それと前面部のシャッターに通じる二つのコアだけ破壊して残されたコアに新たなシャッターが前面部に現れた時の攻撃である。これがどれほどのものかさらに詳しく説明しよう。

「本気になったマークV」

 閉じていた殻を開いてからが本番である。上下に太めのレーザーを撃ち続けながら、その間を二本の細いレーザーがひし形の奇跡を描くように高速で反射してくる。これをまともに避けるのは至難の技である。何故ならかわすにはひし形の中に入らなければならないからだ。ひし形の広さは丁度自分が操る「ビックバイパー(以下バイパー)」がなんとか入れる程度しかない。さらに反射するパターンが二種類ある上に、「マークV」も上下に移動するので、それらの情報を素早く判断しつつ、微妙なコントロール裁きをする必要があるのだ。
 こんなことをするのは大変なので普通は上下に伸びるレーザー上か下の隙間に逃げてやり過ごす。すると「バイパー」のいる位置に合わせようとする。そのため、じっとしていたらやられてしまう。これを回避するには、ある程度攻撃をやり過ごしたら、画面右端までいかなければならない。そると殻を閉じてくれる。
 この開く閉じるを繰り返していると、殻を閉じたまま画面左に寄ってくるようになる。ここで気をつけるのは寄ってくるタイミングと左側から攻撃されたときどう対処するか、そしていつ元の位置に戻るか、である。これらはある程度パターンなので覚えてしまえば、少なくとも自爆には追い込めるようになる。

「狂喜乱舞モード、そして、」

 中央左にある二つのコアを破壊すると発動する。普通に戦っていると自然とこの状態になってしまうが、これは危険である。まずいつものように上下に太めのレーザーを放ち、その間では短いレーザーをバラバラと連射してくる。こうなるとまともに戦うしかなく、死と隣り合わせの緊張感を味わえること請け合いである。
 こうしたことを頭の中だけではなく、体でも覚えた者のみが、「マークV」を倒すことが出来る。これらの難関を乗り越えて倒したときの嬉しさは格別で、とてつもない達成感を肌で感じられるくらいだ。

『クリスタルキューブ(以下キューブ)について』
「史上最強の敵、現る」

 確かに「マークV」はプレイヤーを苦しめるには十分な存在であった。しかし、それ以上の障害が『グラV』には待ち受けていたのである。それが九面の最後に登場する「キューブ」である。それ自体は無敵で破壊は出来ない。そんな物体が100個飛来してくる。ランダムの要素が多分にあるので攻略法を身につけたからといって、必ずしも通用するとは限らない。それなら、どうすればいいのか、これから説明したい。

「キューブの性質」

 まず、「キューブ」自体は直径2〜3pの立方体で、画面の左から右に向かってくる。この物体には5種類の性質がある。一つ目は左端までまっすぐ進み、左端に着くとその場に残る。二つはバイパーの位置を確認して方向を変えるタイプ。これには3つの種類(「バイパー」を直接狙う、手前をかすめる、後方を狙う)がある。五つ目は「バイパー」の位置からある程度左側に進んだ途端に、こちらに突っ込んでくる。いずれも画面端、もしくは障害物にぶつかるとそこに留まる。これらは2〜3個まとめて現れる。登場する性質、順番、数は決まっている。ちなみに数は丁度100個出現する。
 「キューブ」には一応パターンがあり、順番通りに出現する。ただし、どの高さから出現するかはランダムなので予測しづらい。また、出現順番は決まっているけど途中でやられても順番はリセットされない。次からはそのずれた順番から再スタートしてしまう。また、行き当たりばったりで避けても「キューブ」は画面に残るので次第に逃げ道がなくなってしまう。これだと一見手詰まりのように思える。

「攻略法」

 そこで編み出されたのは『「キューブ」が残るのを利用して壁を作ってしまう』である。理屈はこの通りでも現実にはなかなか上手くいかない。完全なパターンがないので計画的に積み上げるのは不可能といっていい。この面に関しては運と実力を兼ね備え、十分な経験を積むことでようやく勝利の道が開ける。そのくらいこの難所をクリアするのは難しいのである。

「キューブ面で思うこと」

 ここに来るときはいつも手に汗握って挑んでいる。そのせいだろうか、数多くの失敗を繰り返した後、上手く積み上がるキューブを見ていると妙に嬉しくなる。そして、一度として同じ形に積み上がらないキューブを見ては「なんて凄いんだ」と感心してしている。『グラV』でもっとも苦労したこともあってどこかカリスマ的な魅力も感じてしまう。正直言ってこのアイデアを考えた人はとんでもない人物だと思う。
 さて、これだけ難しいステージだが、唯一安心したのはたとえ100個のキューブでやられても、この面に限っては面の始めから再スタートすることだ。そのためある程度パワーアップしてボスや次の面に進められる。それ自体は簡単ではないものの、キューブほど難しくないので、慣れればかなりの確率で復活できるはずだ。

『グラVの魅力』

 こうして見ると、どうして自分はこんなにも大変なゲームをプレイし続けたのだろう。最初は「グラディウス」シリーズの最新作というだけで喜んでいた。だから、序盤の地味な展開でも「きっと後で凄いことが起こるはずだ」と期待していた。そして、実際はどうだったかというと、自分の中では期待以上の内容だったといえる。
 とはいえ、ゲームを攻略するのは確かに厳しいものがある。他のシリーズものであれば諦めていたかもしれない。それでもエンディングまで続けられたのは『グラV』にしかない魅力があったからだ。
 他のゲームとどこが違うのか、それはボスキャラの造形と攻撃に工夫が施されているからである。『グラV』に登場するボスの姿には大抵の場合意味がある。そして姿に見合った攻撃を繰り出してくる。当然今までの知識は通用しない。ただ反射神経を頼りに挑んでいたら到底クリアは出来ない。普通はここでギブアップしてしまう。それでも諦めなかったのは、お気に入りのパワーアップの存在とゲーム中にウェイトが掛かってくれたからである。
 その兵器はタイプセレクトの「Bタイプ」と呼ばれている。「Bタイプ」は強大な敵の攻撃に対抗できる唯一の兵器といえる。これを自在に扱えるようになると、見事なまでに敵を一掃してくれるようになる。この気持ちよさのおかげで最後までやってみようという意欲が沸いた。  また『グラV』では「バイパー」がフル装備で挑んでいればほとんどの場面で「ウェイト」が掛かり、ゲーム展開が遅くなってくれる。自分は反射神経に自信がないけど、これのおかげでたくさんの敵に囲まれてもなんとか避けることが出来る。もし、このような事がなかったらこのゲームはクリア出来なかったかもしれない。
 これは『グラV』に限らないけど、『グラディウス』シリーズには共通した決まり事がある。それは、常にバイパーを見てどうするか判断していることだ。ほとんどのボスキャラは常にバイパーのいる位置に合わせようとする。小回りの利く雑魚キャラはバイパーを倒せる位置まで移動する。これを見ていると「敵は考えながら攻撃している」ことがよく分かる。これを利用すれば効率よく倒すことも可能になる。この法則があることも大好きな理由の一つだ。

『BGMについて』

 『グラV』は曲も良かった。特に女性のハーモニーを基調とした曲は、聞いてて非常に心地いい。隠しではあるが、途中で過去のシリーズの曲がアレンジされたメドレーを聞いたときは「なんて素晴らしい演出なんだ」と心の中で叫んでいた。これによってやる気はさらに膨れ上がった。

『最後に』

 一筋縄にはいかないが、特別優れた反射神経がなくても攻略可能なところが『グラV』最大の長所といえる。幾多の難関を乗り越えようやくエンディングまでたどり着いた時、しみじみ思う「ああ、このゲームをやってて良かったな」と。それくらいクリアした時には並大抵のレベルではない達成感を味わえる。今ならPS2版も出ているので興味があればやってみてほしい。


【今回プレイしたゲーム】
タイトル発売元 発売年度
グラディウスV 伝説から神話へ コナミ 1989年

【参考資料】
『ゲーム』
タイトル対応ハード 発売元発売年度
グラディウスV&W
〜復活の神話〜
PS2 コナミ2000年

『雑誌』
雑誌名 〜月号出版社 発売年度
ゲーメスト 4月号新声社1990年

『ビデオ』
タイトル発売元 発売年度
グラディウスV 伝説から神話へ キングレコード1991年