ファイナルファンタジーZ
2001年1月20日作成
最終更新日 2001年2月24日

『きっかけ』

 いつぞやのゲームショウでもらった体験版で見たCGムービーがとてつもなく綺麗だったので、ちょっと欲しくなった。実際プレイしてみてもファイナルファンタジーZ(以下FFZ)のグラフィックは美しいし、迫力のあるムービーはため息が出るほどだった。とにかく『FFZ』のグラフィックは一見の価値がある。

『魅せるCG』

 背景のグラフィックは本当によく書き込まれている。魔晄炉内の様子や謎の鉄道、街の様子などはそれっぽい質感と暗くて埃っぽい色彩が、丹念に描かれている。これらは見ているだけで圧倒される迫力がある。ただ少し細かく書き込みすぎているので、何がどこにあるのかわからないことが、よく起こるのは痛しかゆしといったところか。
 またポリゴンで作られたキャラクターは見れば見るほど違和感を覚える。今にもちぎれてしまいそうな肘なんかはかなり変だ。だけどそれが売りではないし、CGで描かれたキャラは格好いいから別に構わない。

『圧巻のムービー』

 随所に挿入されるムービーはこのゲーム最大の見せ場である。各ムービー自体の時間は短いものの、そういうことが気にならないくらい素晴らしい。普通のゲーム画面とムービーが違和感なく繋がっているには、正直驚かされた。ムービーと通常の場面の背景のグラフィックの色彩や質感が同じだったからだ。それ程レベルの高いCGだった。
 お気に入りはDISK2になってからジュノン港に襲ってくる「サファイアウェポン」とそれを迎え撃つ神羅カンパニーの攻防は目を見張るものがある。ウェポンは巨大で姿はシーマンそっくり(でも元祖はウェポン)な化け物。対する神羅側も巨大なキャノン砲を中心に威厳のある要塞という感じが良く出ている。そんな怪物のような奴に神羅も数々の兵器で応戦する。そこで流れるムービーがまた素晴らしい。巨大なウェポンは有無を言わせぬ迫力がある。それに対抗する神羅の兵器による派手な総攻撃も見応えがある。などなど、とにかく最後まで目が離せないシーンだった。

『派手な戦闘シーン』

 戦闘シーンも『FFZ』の見せ場の一つである。ただし、最初に約10秒、そして外のフィールド画面では終わり際も約10秒間、読み込み時間がある。戦闘シーンの演出が素晴らしいのでまだ救われるが、それでもかなり気になる長さである。演出の方はというと、まず効果音とともに画面を微妙に歪ませながらホワイトアウトしていく。次第に戦闘画面に突入し、グルグルと画面を回しながら周りの状況を見せるところは、見ていて気持ちがいい。時折違う角度から画面が始まるので、常に新鮮な気持ちで挑めるような工夫もされている。また戦う場所も土地ごとに合わせたグラフィックが多数用意されているので、迫力の臨場感が出ている。
 そんな戦闘でがっかりしたことがある。それは敵に勝利した時流れるいつもの曲が、『FFW』の時と同じような雰囲気にそぐわない変な音程だったからだ。これではせっかく戦闘に勝利しても、この曲を聞くと全てが水の泡である。まあそれでも変だな、と思ったのは最初のジングルだけで、後は無難に勝利の余韻に浸れる曲になっているのは流石といえよう。どうせ変なアレンジしか出来ないのなら、一部のフレーズを中途半端に残さないで、一から曲を新たに作った方がよかった。時間的に戦闘の占める割合は多いので非常にもったいない。

『迫力のある召還マテリア』

 召還マテリアの演出も凄かった。特にバハムート系の召還は見応えがある。まず大袈裟なシチュエーションで登場し、そこから繰り出す派手な攻撃は見逃せない。これも一度は見ておきたい場面である。ただこれだけ派手な演出を施してもいずれは飽きてしまう。そのためにも召還マテリアの演出はスキップ出来るようにしていたらと思う。それなら使わなければいいんだけど、あれだけの演出に見合う攻撃力もあるのでそうもいかない。それでもいずれは改良してほしい点だ。
 また召還マテリアといえば、一回の攻撃に相当時間の掛かる代わりに膨大なダメージを与える「ナイツオブラウンド」という召還マテリアがあるらしい。一度はこの目で確かめてみたいけど、手に入れる条件が厳しいから結局諦めてしまった。

『フィールドマップについて』

 外のフィールドは立体的な構造をしている上、視点を自由に変えられるようになっているので、大変な処理をしているはずである。恐らくこれが原因で、戦闘からフィールドに戻る時間が長いのだと思うのだ。何故ならダンジョンや建物の中など、視点が切り替わらないところでは、戦闘シーンから戻る時間が短いからである。とはいえ、起伏のある地形は確かに珍しいし、視点が切り替わる演出はなかなかのものである。

『BGMについて』

 曲全般はどうかというと、素晴らしい出来とまではいかないが、よくまとまっていて安心のできる内容にはなっている。各場面の雰囲気を壊さないところは評価出来る。

『いろんな表情をするキャラクター』

 今回も登場するキャラクターは、事あるごとにいろんな仕草をしてくれる。口に手を当てて笑ったり、両手を広げて驚きの表情や無関心を装うなど、多くの反応は見ていて楽しい。相変わらず手際よく作られているなと思い感心した。

『独特の世界観』

 『FFZ』の世界はかなり不思議なところである。一応は剣と魔法が両立しているファンタジーの世界だが、中を見ているといい意味で奇妙な気持ちにさせられた。それはファンタジー世界の中に、現在(2001年)の日本にあってもおかしくない素材があるからだ。よく見るとあちこちに、ちりばめられている。中でも魔晄炉と呼ばれる工場にある鉄骨は実際の倉庫などにある屋根を支えるのに使われているのとそっくりなのだ。そのためこれを見ているとなんだか不思議な気持ちになる。また街一つを取っても非常に細く作り込まれているのがよく分かる。それらを見ていると「いろういろと研究しているんだろうな」と考えてしまう。それくらいいろんな発見があった。
 さらに先に進むと、遊園地のような施設まで登場する。入り口にくると華やかな建物とともに、かつてのディズニーランドで流れていた、エレクトリカルパレードのテーマを彷彿させる曲が流れ出す。中に入るといろんな乗り物に乗ることも可能で、それぞれに専用のムービーやゲームが用意されている。他にもたくさんのミニゲームが用意されているので息抜きには丁度いい。

『システムについて』

 システム面ではキャラの成長で一部変わったシステムを採用していた。その一部とは、魔法の成長に関するシステムのことである。『FFZ』ではそれぞれの魔法に経験値を設けている。経験値は「マテリア」と呼ばれるアイテムを装備した状態で、戦闘に勝利することで増やすことができる。それが一定の数値に達成すると、より強力な魔法が使えるようになる、という仕組みになっている。  今回から登場した「マテリア」という道具は非常に面白い。「マテリア」にはたくさんの種類があり、大抵の場合は各種類ごとの魔法が使えるようになるのだ。中には戦闘の間だけ、特殊な効果をもたらすものもある。さらに「マテリア」には組み合わせ、ということも出来る。これによって魔法や武器・防具がパワーアップさせることも出来る。いろんな組み合わせが可能なので、それを考えるだけでも十分楽しめる。

『シナリオについて』

 FFZのシナリオにはあまり期待しない方がいいと思う。序盤こそ巨大組織と小さな反乱軍による戦いには興味をひかれた。ところがストーリーが進むうちにだんだん、つまらなくなっていった。その上イベントをクリアするのに相当な時間が掛かることでイライラはさらに増していった。
 序盤では随所にムービーが挿入されていたので、それ程気にならなかった。ところが、次第にムービーのないイベントが増えて来るにつれて、だんだん嫌気がさしてきた。その上テンポよく話が進んでくれないので余計にストレスが溜まってしまう。台詞によるやりとりも無駄な話が多くつまらない。極端に言えばストーリーなんてなくても良かったのではないかとさえ思えてくる。  それでも唯一の救いは物語の三分の二を過ぎて(DISK2以降)からだけど、再びムービーによる演出が増えてくれたことだ。どれも迫力のある映像が多く、それに関しては満足している。ただこれを見てしまうと、それまで(三分の二以前)のダラダラした展開はやはりなんとかしてほしかった。

『一通り終えて』

 DISK3の始めからからエンディングまでを見たけど、あれはないよ。途中までの伏線は無視され、無理矢理終わらせた感じがする。あまりの強引さに最後はどうでもいいとさえ思えてきた。しかし、これではエアリスが浮かばれない。彼女の死はなんだったんだろう。そもそもエアリスは死ぬべきではなかった。一番重要な役割をもったキャラだからだ。エアリスが死ななければならない理由があればこんな文句は言わない。そうではなく、誰が死んでもいいような状況で殺されたことに腹が立つのだ。だったらエアリスの身代わりにティファ(もしくはユフィー)が死んでいた方が(それぞれのファンには申し訳ないけど)よっぽど良かった。  エアリスが死んだことでストーリーそのものが破綻してしまったような気がする。本来彼女でなければ世界を救えないはずだったのにいつの間にか誰でもいいようにすり替わっていた。こんなことをするくらいならエアリスを殺さないで欲しかった。でなければあの場面で誰が犠牲になるか選択できるようにしていたらまだ納得していたと思う。

『結論』

 ムービーを含めたCGは一見の価値がある。極端に言えば、ムービー以外は飛ばしてもいいとさえ思っている。それくらいムービーは目を見張るものがある。確かにストーリーは強引なところが目立ち退屈かもしれないが、そこさえ我慢出来れば十分に満足のいく内容だと思う。


【今回プレイしたゲーム】
タイトル発売元 発売年度
ファイナルファンタジーZ スクウェア1997年

【参考資料】
『攻略本』
タイトル 出版社 出版年度
ファイナルファンタジーZ 解体新書
ザ・コンプリート 改訂版
エンター
プレイン
2000年