戻る   進む

労働組合とは?

労働組合ができて職場が変わった

 A県B電機は、労働組合ができるまでは、社長のやりたい放題でした。社長の奥さんが庭石の位置が気に入らないからと、休みの日に電話で従業員を呼び出して、大きな庭石の移動を手伝わせる。会長が選挙に出るといっては、従業員に選挙活動をさせる。
 こうした会社のやり方をなんとか変えたい、自分たちの気持を会社に伝えたいと若い人たちが労働組合をつくりました。それからは、選挙活動や私用に駆り出されることはなくなりました。賃金も、世間にくらべ低い実態を会社に認めさせ、格差をなくすことを約束させました。

 C県D社では、オーナー社長が会長になるとき、2億円もの退職金が支払われましたが、その年の賃上げはゼロでした。ここでも若い人を中心に労働組合がつくられ、家族手当新設、毎年の賃上げなどの改善をかちとりました。

 コンピュータ関係のE社では、赤字続きの会社の将来への不安と低い賃金や一時金への不満から労働組合結成となりました。組合は労働条件改善と合わせて、会社をよくする施策も提言しました。会社も組合の意義を認めて良い労使関係がつくられ、労働条件の改善はもちろん、企業の業績も回復しました。

 ある職場の機関紙に若い女性がこんな手記を寄せてくれました。「組合ができたら、いままで会社が決めていたことも、これからは組合との話し合いで決まることになります。私たちの気持を会社に伝えることができるなんて夢のようです。その夢を現実にできるようがんばりたいと思います。」

 いずれも,JMIUが相談をうけ、いっしょに労働組合(JMIUの支部)をつくって、職場が変わりはじめた例です。

組合があるからいまの労働条件がある

 会社のやりたい放題がまかりとおっていた職場で、労働組合をつくった人たちには、労働組合の大切さは理屈ではありません。

 しかし、労働組合ができてから新しく会社に入った人には、「労働条件がよく、自由にものがいえる」のは労働組合が努力してきた結果なのだ、ということが見えません。「ものわかりのいい会社だからだ」と考えがちです。組合の大切さが実感できず、組合費をとられたり、会議や行動で自分の時間がとられるなど、わずらわしく思えるのも当然です。

 でも「組合なんて」という前に、もう一度考えてみましょう」
 組合はあっても組合員の気持がバラバラで、みんなで要求をつくりみんなで行動するという労働組合の原点がよわまったらどうなるか。会社の攻撃がはじまり、組合が会社のいいなりにされたり、組合があってもないのと同じ状況がうまれ、いつのまにか未組織の職場のようにされてしまう、そんな例も少なくないのです。

 あなたの職場にも、B社やD社、E社のような歴史があったのです。組合をつくって、人間としての尊厳をとりもどした――そんな仲間のいきいきした姿に学んで、労働組合の原点とはなにかをいっしょに考えてみようではありませんか。

(全日本金属情報機器労働組合編 学習の友社刊『くらし・職場・政治と労働組合』より)