平家物語には、宇治を舞台にした印象的な二つの物語があり、いずれも物語中の名場面として知られています。一つは以仁王の乱における三井寺堂衆による橋合戦です。橋板をはずした宇治橋の上で、三井寺の悪僧たちが曲芸的な戦闘を繰り広げるエンタテインメント性の強い場面ですが、源三位頼政や以仁王の敗死など戦争の悲惨さも見ることができます。もう一つは京都に侵攻した義経軍と義仲軍との戦闘における佐々木四郎高綱と梶原源太景季との先陣争いです。両者名馬を駆使して、だまし合い、功名を競うスリリングな展開は、平曲で聴いても手に汗握ります。







平等院は藤原氏全盛期の関白頼道が父・道長の別荘を寺院に改めたものです。平氏軍に宇治川を越えられた頼政一行は、平等院の中で最後の一戦を繰り広げます。ここで頼政は子息の仲綱・兼綱等を失い、自らも辞世の句を詠みながら自刃したと、平家物語は伝えています。




鳳凰堂から阿字池を眺める。








●参考文献
日下力監修『平家物語を歩く』(講談社カルチャーブックス)