壇ノ浦で捕らえられた建礼門院徳子は、出家後、阿波の内侍(信西入道の娘)、大納言の佐(重衡の正妻)とともに、ここ大原の寂光院に遁世しました。墨染の衣をまとい、安徳天皇と平家一門の菩提を弔いながら、隠遁の日々を過ごす女院。そんなある日、平家を滅亡へと追いやった張本人とも言える後白河法皇が、わずかな供を引き連れて寂光院を訪れます。一方流語り本「平家物語」の最後を飾る「潅頂巻」は、寂光院における法皇と女院との対面の様子を通して、女院の複雑な心の内を細やかに描き出していきます。
●参考文献 山下宏明・梶原正昭校注『平家物語(四)』(岩波文庫)/ 日下力監修『平家物語を歩く』(講談社カルチャーブックス)