学研まんが『人物日本史 平清盛』 監修・樋口清之/まんが・田中正雄(学研)

 子供向けの人物別歴史シリーズの一冊。全30冊の中の一つに清盛が当てられているというだけでも五つ★の価値があるのですが、安易に平家物語的イデオロギーに流されず、客観的に歴史の流れを追っているうえ、セリフの一つひとつや作画にも細やかな神経が行き届いていて、内容の充実度は秀逸。さらに場面展開の巧みさ、物語性を持たせるための虚構(殿上闇討における銀箔の木刀は清盛のアイデアだった!)がストーリーに深みを与えており、読み手を楽しませる工夫も凝らされています。一家に一冊!

面白度 ☆☆☆☆
平易度 ☆☆☆☆☆
入手度 ☆☆☆
推薦度 ★★★★★

1981年
定価各760円

学習漫画『日本の伝記 平清盛』 監修・永原慶二/立案&構成・蔵持重裕/シナリオ・三上修平/まんが・リッキー谷内(集英社)

 上記同様、こちらも子供向け人物伝。しかも本書は、何と全十八冊中の一冊。「史実や資料をもとにできるだけ正確に記す」ことを心掛けたというだけあって、歴史認識の正確度は高い。キャラクター同士の絵が似ているので、喋っている人物が誰なのか分からない部分があったりもしますが(セリフの内容で分かる人には分かりますが…)、「悪人として描かれた平家物語の清盛像は正しくない」ことを強調しているあたり、本HPの理念にも共通するところがあり、その明快な編集方針に拍手!

面白度 ☆☆☆
平易度 ☆☆☆☆☆
入手度 ☆☆☆
推薦度 ★★★★★

1989年
定価各780円

マンガ日本の古典10~12『平家物語』(全3巻) 横山光輝(中公文庫)

 日本の古典文学をマンガで描いた一連のシリーズのうちの一つ。さすが手堅くまとめており、劇画的な迫力も十分。冒頭、『平家物語』には描かれない平治の乱から始まるのは、読者サービスの面もあるのでしょうが、壇ノ浦の戦いで幕を閉じるところを見ると、全体の構想として源平の争乱を描くことに主眼が置かれているからかもしれません。大原御幸くらいはきちんと描いて余韻を持たせたほうがよかったのでは。

面白度 ☆☆☆
平易度 ☆☆☆☆☆
入手度 ☆☆☆
推薦度 ★★

2000年
定価各590円

マンガ『平家物語』』(上・下巻) 監修・梶原正昭/脚色・水城昭彦/画・小山田つとむ(平凡社)

 著名な監修者のもとに企画されたマンガ本らしく、律儀なまでに覚一本全章段のほとんどが再現されています。本書を読んで改めて感じるのは、平家物語が多くの人々によって増補・改作されてきたと言うこと。つまり、正確に原典を再現しようとすればする程、話の「流れ」が見えづらくなるのです。古典・平家を無理矢理「再現」しようとするよりも、ある程度エピソードを取捨してストーリーをすっきりさせた方が、初めて「平家」の世界に触れる人にとってはよいのかも知れません。

面白度 ☆
平易度 ☆☆☆☆
入手度 ☆
推薦度 ★★

1995年
定価各1,250円

マンガ『平家物語 清盛篇』』 監修・生形貴重/画・安部高明(河出書房新社)

『清盛篇』と『鎮魂篇』の二部からなる劇画版・平家物語。巻一「鱸」の後に巻六「祇園女御」を挿入するなど、物語が自然な流れになるよう、章段が適宜入れ替えられている点に工夫が感じられます。圧巻はほぼ全ページに配された脚注。歴史用語の解説はもちろん、場面ごとに史実との違いや物語の創作意図まで言及されているところから、平家物語の魅力を伝えようとする製作者の熱意がヒシヒシと伝わってきます。また、監修者による冒頭の解説においても学術的・文学的な解釈が披露されており、ここにもマンガとは思えないこだわりを感じます。「原文の面白さを現代に再生させようという情熱で作られました」という監修者の言葉にもうなづける力作です!

面白度 ☆☆☆☆
平易度 ☆☆☆☆
入手度 ☆
推薦度 ★★★★

1990年
定価各1,200円

MANGAゼミナール『平家物語』 指導・中村穎司/まんが・赤塚不二夫(学研)

 表紙からは想像もつきませんが、これはマンガです。しかも、画は奇才赤塚不二夫氏。平家物語と赤塚氏という取り合わせの妙といい、学習参考書のような装丁といい希代の珍本とよぶべきでしょう。中味は赤塚ワールド全開で、みんなバカボンとかおそ松くんのような顔をしています(実はあまり知らないのですが…)。セリフには「ナウい」「ぶりっ子」などかつての流行語が顔を出し、主殿司(とのもづかさ)と「伊藤つかさ」をかけてしまうなど、時代を感じさせる要素も満載です。

面白度 ☆☆☆
平易度 ☆☆☆☆☆
入手度 ☆
推薦度 ★★★

1987年
定価650円

平家物語シリーズ『きらめく波の飛沫』 佐久間智代作(角川書店)

 源平の周辺人物にスポットを当てて描いた連作短編。1・2巻が平家サイド、3・4巻が源氏サイドという構成だそうで、本作は2巻目にあたります。前半は鎮西八郎為朝を真実の父と知り苦悩する知章、後半が兄通盛との確執に翻弄される教経と教経暗殺のために遣わされた菊王丸との交流が描かれます。内容は突飛ですが、一ノ谷、壇ノ浦の合戦など、ストーリーの背景は史実に沿っていますし、友情や親子の愛などに真正面から取り組んでいるところは好感がもてます。

面白度 ☆☆
平易度 ☆☆☆☆
入手度 ☆
推薦度 ★★

1997年
定価540円

絵本『かえるの平家ものがたり』 日野十成・文/斎藤隆夫・絵(福音館書店)

 「平家ものがたり」といいながら主役のカエルたちが源氏で、平家は悪者の「むねもりネコ」。これでは子どもたちに「平家は悪者」という印象をもたれてしまうのではないかと心配です。しかし、カエルたちの装束も美しく描かれ、また文章も七五調で楽しい絵本ではあります。敗残の「よしなかどの」に代わって「むねもりネコ」を討つのは、やはり英雄「うしわかまる」なんですね。

面白度 ☆☆☆☆
平易度 ☆☆☆☆☆
入手度 ☆☆☆☆
推薦度 ★★★

2002年
定価1,500円


音楽CD『平家物語の音楽』 平野健次監修(日本コロムビア)

 現在、平曲のCDでもっとも手に入りやすいのがこれでしょう(CDショップよりも図書館なんかにあるかも)。収録曲は「祇園精舎」「宇治川」「海道下」「横笛」の四つ。何しろ活字で読めば数分で済むものを十何分とかかけて演奏するわけですから、すべて部分演奏です。やはり一番面白いのは佐々木と梶原の先陣争いを描いた「宇治川」でしょう。なかなか手に汗握る語りで、合戦ものならもっと聴きたいですね。

面白度 ☆☆☆☆
平易度 ☆
入手度 ☆☆
推薦度 ★★★★

1991年
定価3,000円

『NHK人形劇クロニクルvol.8 平家物語』 (NHKソフトウェア)

 1993~95年にかけてNHKで放送された人形劇のDVD。「平家物語」とうたっておきながら収録時間103分のうち約半分は「三国志」の第42話にあてているという不埒さ。「三国志」はしっかりシリーズでDVD化されているんだから、「平家」の映像をもっと見せろと言いたくなります。しかも、肝心の「平家」も木曾義仲の上洛からその最期までという範囲しかカバーしておらず、平家はほとんど出てこない。人形劇の出来がかなり良いので、一層惜しまれます。是非、全編DVD化を期待したい。ちなみに原作は吉川英治の『新・平家』。

面白度 ☆☆☆
平易度 ☆☆☆☆☆
入手度 ☆☆☆☆
推薦度 ★★

2003年
定価4,800円

『平清盛』 工藤栄一監督/松平健主演(TBS)

 1992年にTBSの新春特番として放映された4時間に及ぶ『大型時代劇シリーズ』のDVD。出家後の横紙破りの平相国ではなく、海賊退治などで活躍した前半生にスポットを当てているところが特徴的。登場人物の大鎧姿も美しく、特にマツケンの清盛ぶりは凛々しい限り。史実からはずれていようが、清盛の太刀さばきが剣豪のようであろうが、清盛主役のドラマで特番を組むTBSの英断に賛辞を惜しむべきではありません。

面白度 ☆☆☆
平易度 ☆☆☆☆☆
入手度 ☆☆☆☆
推薦度 ★★★★★

2004年
定価6,600円

HYBRID CD-ROM『平家物語』  櫻井陽子監修(富士通SSL)

 平家物語入門としても最適なCD-ROM(2枚組)です。約100シーン、400カットにおよぶ平家物語絵巻をバックに、わかりやすいナレーションにより平家物語の全容をつかむことができます。そのほか、平家ゆかりの地を400枚以上の写真入りでしょうかいした「歴史紀行」や、再生時間は短いですが平曲や能を動画で見ることもできます。

面白度 ☆☆☆☆
平易度 ☆☆☆☆☆
入手度 ☆
推薦度 ★★★

1997年
定価7,000円



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