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迷い―――――
人には得てしていろいろな迷いがある。
毎日が迷いだという人間もいれば、ふと迷いが生じる人間もいる。
どんな迷いでも、何時かは晴れるから迷いというのだろうか。
それとも永遠に?
僚は傍らに寝ている香を見て思った。
自分の迷いははたしてどちらなのだろうか?
そう考えたところで、僚は自虐的な笑みをうかべた。
考えるまでもない。答えはとうにでているのだ。
この迷いは永遠に晴れることはないのだ。
そう、まるで迷宮にはまったかのように・・・。
僚は香の髪に触れようと手を伸ばした。
「う・・・っん・・・」
絶妙なタイミングで、香が寝返りをうつ。
幸せそうな安心しきった顔。
僚はハッとして、伸ばした手を引っ込めた。
自分は何時から香のこの寝顔を確認してからでないと眠りにつけなく
なったのだろうか。
ここにつれこむ罪悪感を薄れさせる儀式。
「眠れないの?」
不意に聞こえた声に、僚は視線を香に向けた。
「悪い。起こしたか?」
僚はサイドボードに置いてあるタバコに手を伸ばした。
いつもならこの瞬間にごまかしの甘い口付けが降りてくるはずである。
それがないということは、またよからぬ事を考えているのだろうか。
それとも、かまってくれるなということなのだろうか。
香はしばし考えた後、そっとしておくことにした。
なんとなく、声をかけづらい様子だったからだ。
香は後ろ髪引かれる思いで僚にやすむことをつげると、眠りにおちた。