境界線

                プロローグ

“You get mail!!”
 機械音声のメール着信音が鳴り響き、野上冴子はコンピューターのメールボックスを開いた。
「唯香のやつ〜また勝手に人のパソコンいじって・・・」
 冴子は妹が設定した着信音にため息をついた。
 先日、これが夢だったのといいながらこの着信音をセットしていった唯香の姿を思い出しながら、知らず知らずの内に文句が口から出る。
「そんなにやりたかったら、自分のパソコンでやれっていうの!」
 そういいながらも、冴子は慣れた手つきでメールをチェックしていく。
「麗香に、唯香・・・」
 メールの送信相手を確認していた冴子の目が止まった。
 差出人不明の一通のメール。
「ウィルスか何か?」
 冴子が警戒しながらメールを開く。
 もしも、中身がウィルスなら絶対犯人を見つけてやると固く心に誓って。
 開けたとたん、よく知っているメロディーが流れ出す。


野上冴子様
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  この人物を探してください。

ヒントです。  
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          おおきな古時計

「・・・何なのよ、これ・・・」
 冴子は意味不明のメール内容に驚いた。
 下手をすればいたずらにも取りかねない暗号めいた内容。
「新手のいたずらかしら?」
 冴子はそのメールをごみ箱に捨てようとマウスを動かす。
 が・・・どうも気になってしかたがない。
「まぁ、調べてみるだけなら暇な時にでもやるか」

 冴子はそう呟くと、コンピューターの電源を切った。

   
「ま・・・待ってくれ!頼む殺さないでくれ!!」
 必死になって懇願している男を、冷ややかな目で見つめる人物。
「あの男の居場所は?」
 手に持っていた銃を怯えている男に突きつける。
「し・・・知らないんだよ!本当に!!」
「・・・なら、上に行くにはどうしたらいい?」
 質問の仕方を変える。
「し・・・新宿だ!そこに行けば情報が入るかもしれん。この手の情報は大概新宿に集まる」
「それは、ありがとう」
 ニッコリ微笑むと、なんのためらいもなしに引き金を引いた。
「新宿・・・CITY HUNTERのいる町か・・・」